グッドワイフ最終回感想|杏子の選択は離婚?復縁?気持ちいい後味のハッピーエンド

TBS日9ドラマ「グッドワイフ」

2019年1月期のTBS日9ドラマ「グッドワイフ」。

最終回(2019年3月17日放送分)を見た視聴者の感想をお届けします。

また、ネタバレを含むあらすじや、次回の見どころも紹介していきますよ。

「グッドワイフ」最終回のあらすじ

壮一郎(唐沢寿明)の指揮により、神山多田法律事務所に現れた脇坂(吉田鋼太郎)は、多田(小泉孝太郎)を贈賄容疑で逮捕する。

壮一郎の私情が絡んでいるのではないかと、神山(賀来千香子)に指摘される杏子(常盤貴子)だが、多田は、過去に担当した案件の判決から、小宮裁判官(野間口徹)との関係を怪しまれていたのだ。

負ければ、神山多田法律事務所が潰れてしまいかねないと、神山と杏子を中心に、事務所一丸となり、検察を相手に裁判で戦うことに。

一方で、朝飛(北村匠海)は不穏な動きを見せる。
 

そんな中、いよいよ多田の裁判が始まる。

しかし、多田にとって不利な証拠が次々と出てくるばかり。さらに検察側はさらなる隠し玉を控えていて…。

さらに、杏子との関係が悪いままの円香(水原希子)は、脇坂と会っていた。そして、思わぬ行動をとってしまう…。
 

次々と追い込まれていく中で、どん底だった自分を救ってくれた多田を信じ、杏子は多田のピンチを救うことができるのか?

そして、亀裂が入った壮一郎との夫婦関係はどうなるのか?

妻として、女性として、杏子がする決断は…?

引用:ドラマ公式サイト

 

「グッドワイフ」最終回の感想

当サイト読者の方から寄せられた、「グッドワイフ」最終回の感想をご紹介します。

ヒラリー・クリントンにならなかった杏子

『グッド・ワイフ』最終回を見終えて頭に浮かんだのが、ヒラリー・クリントンである。夫のビルは元アメリカ大統領であり、3年前には自身もトランプと大統領の座をかけて戦ったことでもよく知られた女性だ。

ヒラリーは私人としてある有名な決断を下している。ビル・クリントンはかつて世界中を騒がせた不倫スキャンダルを起こし、最終的には若いホワイトハウスの実習生との性的な関係を認めるに至った。

しかし、ヒラリーは夫を許し離婚をしなかった。この決断は、世間からは寛容だとして大いに称えられることになった。

だが、『グッド・ワイフ』最終回を見ると、別の見方があることに気づかされる。

ドラマの中、ヒラリーと同じように夫の不倫スキャンダルに見舞われた蓮見杏子は、最終的に離婚を選ぶのだ。

杏子は、不倫を許して“いい妻”になる道もあるが、自分の気持ちにウソをつきたくはないと言う。
 

ここで『グッド・ワイフ』というタイトルの重みが出てくる。それ以前にも布石がある。杏子の上司である弁護士の神山は杏子にこんなセリフを口にする。

「女が立派過ぎると、男は弱みを見せられないから」

それは杏子と夫の壮一郎、そして神山自身と部下の多田の関係を示唆する言葉だった。

杏子と神山は実際、理想の妻であり理想の上司だった。そのため、壮一郎も多田も自らの弱みをさらしづらくなっていたのだ。

そこで壮一郎は自らの弱みを受け止めてくれる若い女と関係を持ち、多田は数多くの証言者に多額の謝礼を渡していた汚職の過去を隠すことになった。
 

理想の夫婦よりも寄り添え合える仲

一連のトラブルの元には、理想の女、いい妻やいい上司がいたことがあるのではないか。

深く読み込めば、ドラマは最後にそう訴えかけてくる。
 

杏子が壮一郎との離婚を決意したのも、その負の連鎖を断ち切りたかったからではないかと読み取れる。

もし、彼女が壮一郎の不倫を許し、理想の妻、グッド・ワイフに返り咲けば、また壮一郎に重圧がかかり、何らかの問題を引き起こしたのではないか。
 

そこでヒラリーの決断は正しかったのかという疑問が出てくる。

もしかすれば彼女は自分の気持ちにウソをつき、夫の不倫を許す理想の妻である自分自身を世間にアピールしたかっただけなのではないか。
 

『グッド・ワイフ』の原作はアメリカのドラマである。

脚本家がヒラリーへの疑問から物語を着想した可能性もなくはない。ヒラリーとドラマのヒロイン、日本版の杏子には大きな共通点がある。

どちらも弁護士を辞め、夫のキャリアアップのために主婦を続けた末に、不倫によって裏切られてしまったのだ。

ドラマは裁判ものだったが最終的には『グッド・ワイフ』という名の通り、いい夫婦像とは何かということを訴えかける。

切磋琢磨して高めあう理想の夫婦関係もいいだろう。だが、それよりもどちらも本音を言い合い、弱みをさらして寄り添いあえるような、そういう関係こそが真に理想の夫婦像なのではないか、そんなことが浮かび上がってくる。
 

佐々木の仇討ちをやり遂げた壮一郎

最終回の核心にはもう1つ、壮一郎による自殺した佐々木の仇討ちがあった。

最終盤まで、視聴者は壮一郎が妻に思いを寄せる多田を追い詰めようとしているのだと思い込まされる。

だが、最初から壮一郎の狙いは、検察内部の汚職摘発にあったのだ。

クライマックス、特捜チームと共に現れた壮一郎が、多田の脇を通り過ぎ、その先にいた検事正の元にゆくシーンは胸を打つ。
 

おそらくほとんどの視聴者が、巧みにミスリードされ、「なるほど、そうだったのか」と爽快な気分にさせられたことだろう。

逮捕した検事正は大物政治家、南原の不正隠しを後押しし、暗黙のうちに佐々木にもそれに協力させていたのだ。

「強い検察を作ってください」そう言い残して自殺した佐々木の意思を、壮一郎はみごとに果たしたのだった。
 

気持ちよい後味を残すハッピーエンド

全般的にも無理のないハッピーエンドであり、よい後味が残る。

夫と不倫関係にあった円香みちるに対し、杏子はずっと冷たく振舞っていた。

だが、「あなたを嫌いにはなれない」と言って、最後は許すことになる。
 

ここには理想の上司を演じている感はない。不倫の一点を除けば、みちると杏子の間には深い心のつながりがあった。

壮一郎との夫婦関係のように、長期的なトラブルの中で冷め切ったものにはなっていなかったのだ。
 

また、新人弁護士、朝飛の改心も気持ちいい。

彼は事務所をクビになった腹いせから訴えられた元上司、多田を敵に回して不利な証言をしていた。

だが、それでも自分を気遣ってくれる多田を見て、こころを入れ替えるのだ。
 

難点がありながらも、珠玉の名作ドラマ

ただ、いくつか難点もある。

グッド・ワイフが一大テーマになっているが、杏子が理想の妻だった過去がほとんど描かれていないのだ。

そこで苦悩して不倫に走る壮一郎の姿なども描かれていれば、テーマはいっそう際立った事だろう。
 

また、8話目までシリーズの核心エピソードだった大物政治家、南原の不正疑惑の収拾がなされていない。

9話目にニュース報道があっただけであり、その後、南原がどうなったのかが最終回では全く触れられていない。

ここにはカタルシス不足を感じた人が多いだろう。

壮一郎の主眼が検察改革よりも、大物政治家落としにあったほうがより盛り上がったのではないか。
 

そして、何よりも杏子と多田のラブストーリーが発展しないことが挙げられる。

杏子が壮一郎と離婚した後、数ヶ月先の展開があるが、2人が先に進んだような描写がまったく成されていない。

2人が肩を寄せ合うような1シーンがほんの1つでもあれば、ドラマはもっと良い後味を残したことだろう。
 

しかし、全般的には本当に素晴らしい珠玉の名作ドラマだった。

裁判ミステリーや政治サスペンスと深い人間ドラマがここまでみごとにブレンドされたものは、中々見ることはできないだろう。

多くの視聴者は真冬の三ヶ月、いい日曜の夜のひと時を過ごせたと思えたのではないだろうか。

「グッドワイフ」これまでの読者の感想

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