「グッドワイフ」2話の感想|法廷のリアリティより人間ドラマを描く演出の誠実さ

TBS日9ドラマ「グッドワイフ」

2019年1月期のTBS日9ドラマ「グッドワイフ」。

第2話(2019年1月20日(日)放送分)を見た視聴者の感想をお届けします。

また、ネタバレを含むあらすじや、次回の見どころも紹介していきますよ。

「グッドワイフ」第2話のあらすじ

事務所の名誉顧問であり神山佳恵(賀来千香子)の父、神山大輔(橋爪功)が事務所を尋ねてくる。大輔は、酒酔い運転を起こし、さらに警官に抵抗し公務執行妨害を起こした罪で起訴されたのだ。

大輔は無罪を主張するが、状況証拠からは、どうみてもクロ(有罪)。

その弁護を杏子(常盤貴子)は大輔から依頼される。多田(小泉孝太郎)は、新人には無理だと反対するが、杏子は自ら担当することを決意する。しかし、大輔から、新人で自分の言うとおりになるから指名されたと聞かされて愕然とする杏子。自由奔放な大輔に翻弄される。しかも、神山から大輔が妻を殺したという衝撃の告白を聞かされる。

 
そんな中、特捜部長の脇坂(吉田鋼太郎)が杏子に接触してくる。脇坂から聞かされる話から、壮一郎(唐沢寿明)の疑惑がますます深まっていく。杏子は疑いを持ちながら壮一郎と接見して、壮一郎に核心の部分を問う。

そこで衝撃の告白をされる。杏子は壮一郎とのことも、そして担当する大輔の弁護でも窮地に立たされる。絶体絶命な状況の中、杏子は大輔の事件での些細な異変に気づき…

引用:ドラマ公式サイト

 

「グッドワイフ」第2話の感想

当サイト読者の方から寄せられた、
「グッドワイフ」第2話の感想をご紹介します。

名誉顧問による新人弁護士へのムチャぶり裁判

東京地検特捜部長の夫の汚職逮捕により、16年ぶりに復帰した弁護士・蓮見杏子(常盤貴子)を主役に立てたテレビドラマ。

第2話は神山多田弁護士事務所の名誉顧問、神山大輔(橋爪功)が起こした事件の弁護に新人の杏子が大抜擢されることから始まる。大輔は多田の共同経営者である神山佳恵(賀来千香子)の父親でもある。

事件は限りなく黒に近い

ある夜、大輔は車で町の掲示板に衝突した後、駆けつけた警官に抵抗し、その後に体内からアルコールが検出された。そのため酒酔い運転、器物損壊、公務執行妨害が問われる。

しかし、大輔が器物損壊以外の罪を否認したために裁判沙汰になる。酒は車をぶつけた後に飲んだという主張だが、どうも信じられない。

 

「黒を白に」の予定調和からの逸脱

そこで多くの視聴者は、この名誉顧問が自分の地位を利用して罪逃れ、つまり黒を白にしようとしているのではと思わされるだろう。大輔は杏子に自分が命じる通りに弁護しろとも言う。

そこで、彼が杏子を選んだのも、彼女がまだ事務所預かりの身であるため、自分の言うことを聞きやすいと思ったからだということが暗示される。

展開としては、まるでモリカケ問題に関する国会の証人喚問のように、明らかな罪人がずる賢い弁護戦略で罪を逃れるような重く暗い筋が予想される。
 

しかし、事はそう進まない。裁判が進むにつれ大輔は黒よりも白に近づく。

杏子は裁判で、証拠映像から警官が大輔を違法に逮捕したことを見抜き、公務執行妨害の罪を退けさせる。映像には大輔が警官に暴行したシーンが映っているが、違法逮捕後の証拠はすべて無効になるため、証拠にならなかったのだ。

こういうことは裁判ドラマの大きな醍醐味である。見ている側は、「え、明らかな証拠があっても罪を問えないことがあるんだ」と大いに感心させられるだろう。

 

コミカルな裁判、魅力的な人間ドラマ

ただこのドラマ、裁判での争い自体は弱い。裁判ではその後、花粉症の警官が主観で大輔を酒よい運転だと判断していたり、最初の検査ではアルコールが検地されていなかったことを検事が知らなかったりすることが明らかになる。

裁判ものとして明らかにお粗末な展開だが、製作者にはその意図が感じられる。裁判シーンにはあえてコミカルにしようとする演出があるのだ。

まず裁判長がヒステリックな女であり、杏子の相手の検事もリアクションが大きすぎる。また証言台に立った、たい焼きやの店主はお笑い芸人が演じていた。こういったことには裁判もの特有の重みを抜こうとする意図が感じられる。

では裁判ドラマとしてダメなのかと言えば、そうではない。裁判の争点が弱くても、裁判を取り巻く人間ドラマが優れているからだ。

 

一大テーマは弁護士の誠実さ

新人弁護士が名誉顧問で大先輩の弁護士の弁護をする。弁護士にとっては家族を弁護するよりも、ひいき、忖度に走りやすい状況だと言える。今回のこのテーマの中核には、弁護士がいかに公正であれるかというものがある。

だが杏子は一貫して真実を知ろうとする。終盤、大きな転換点として、大輔が自損事故を起こしたのは酒ではなく初期の認知症だったからだということが分かる。事故を認知症の薬のせいだとすれば、酒酔い運転疑惑は容易にぬぐえる。

そこで杏子は認知症の公表を迫るが、大輔は弁護士としての保身、また娘、佳恵への気遣いからそれを拒否する。杏子はそれを受け入れ、別の線で裁判に勝とうとする。そこが今回のドラマの最大の見所ではないだろうか。
 

預かりの身の杏子は裁判に負ければ解雇される可能性が高い。しかしそんな状況でも、勝訴のために楽な道を選ばなかったのだ。依頼人の誇りを守ることが弁護士の使命だ。裁判後、守秘義務を最後まで貫いた杏子は大輔にそう言う。

こういうドラマを見て、実在の検事や弁護士、政治家たちは何を思うのだろう。大半が結果至上主義の彼らには、ただのナイーブな女だとしか思わないのかも知れない。

杏子は保身のために黒を白にしたのではなく、倫理観と共に”黒に近い白”を白にしたのだ。
 

また、初期の認知症の大輔が娘にそれを打ち明けた後、退職するのかと思いきや逆に独立して新たに頑張るという筋も意外でおもしろい。大輔が階段を駆け上がってゆく姿には、多くの高齢者が元気づけられただろう。

 

シリーズ全体を引っ張る壮一郎の闇の深さ

『グッドワイフ』には一話ごとのエピソードと共に、シーズン通してのストーリーラインもある。

杏子の夫、壮一郎(唐沢寿明)の贈収賄疑惑を巡る話だ。それが2話目で興味深い展開になる。疑惑は富岡精工の社長が彼にワイロを送ったと公表したことで明らかになる。が、その後、同社は倒産してしまう。

そこでなぜ社長は自社の倒産を引き換えにしてまで、壮一郎を貶めようとしたのかという大きな疑問が出てくる。壮一郎の顧問弁護士は、裏に政治的な力があるのではと壮一郎に問う。

また壮一郎が杏子に贈ったネックレスが富岡精工の製品だったことも明らかになり贈賄の疑いが強まる。こういった展開はシリーズ・フックにふさわしい深い闇があり、目が離せない。
 

そう言えば、ネット上で大いに騒がれていた元フィギュアスケーター、村上佳奈子の出演には少々ガッカリさせられた。ドラマの最後の最後、ジュエリーショップの店員としてカメオ出演するだけで、セリフもセールストークのみ。

それでもシーン的には、壮一郎の疑惑が深まる決定的な所なので大役とも取れるかも。事務所の経営者、多田(小泉孝太郎)は杏子に思いを寄せているが、それもいまいち進展しなかった。恋愛として朝飛(北村匠海)とみちる(水原希子)の若いカップルの行方も気になる所。

そういった豊かな群像ドラマが彩りを与えれば、この裁判ドラマはさらに輝きを増すだろう。
 

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「グッドワイフ」これまでの読者の感想

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