グッドワイフ7話|目立たなかった脇役が輝き出す…ファンの心を掴む上質な弁護士ドラマ

TBS日9ドラマ「グッドワイフ」

2019年1月期のTBS日9ドラマ「グッドワイフ」。

第7話(2019年2月24日放送分)を見た視聴者の感想をお届けします。

また、ネタバレを含むあらすじや、次回の見どころも紹介していきますよ。

「グッドワイフ」第7話のあらすじ

杏子(常盤貴子)への多田(小泉孝太郎)の告白を聞いてしまった夫・壮一郎(唐沢寿明)は、怒りに満ちていた。しかし、多田の告白自体を知らない杏子は、壮一郎の弁護人として、事件の全容を聞くことになる。

1年前、特捜部長時代の壮一郎のもとに、大物政治家・南原(三遊亭円楽)の汚職のタレコミが入った。

佐々木(滝藤賢一)と共に極秘捜査をし、匿名の情報提供者から汚職を証明する決定的な “ある文書” をもらう約束を取り付けたが、その直前に逮捕されてしまっていた。南原の汚職を暴くためには、1年前の匿名の情報提供者を見つける必要があるのだが…。
 

一方、神山多田法律事務所には、カリスマ IT 社長・剣持(浜野謙太)から大きな案件が持ち込まれ、多田、杏子、朝飛(北村匠海)の3名で担当することに。

剣持は SNS を駆使し、自らが広告塔となり若くして成功を収めている人物。最近、彼がモデルと思われる主人公の映画が無断で公開されたうえ、剣持を誹謗したかのような内容だった。

自分のイメージも、さらには企業イメージまで下がったと憤慨し抗議するが、映画会社は一貫して剣持をモデルにしたことを否定。剣持は名誉毀損で映画会社を訴えることにしたのだ。
 

のらりくらりとかわす映画プロデューサー(田中要次)らを相手に杏子たちは裁判に臨むが、思うようにいかず窮地に追い込まれる。

そんなとき、杏子と打ち合わせで事務所に来ていた壮一郎と多田が鉢合わせる…!

引用:ドラマ公式サイト

 

「グッドワイフ」第7話の感想

当サイト読者の方から寄せられた、「グッドワイフ」第7話の感想をご紹介します。

久しぶりにスッキリした筋

杏子の夫、蓮見壮一郎の贈収賄疑惑が『グッド・ワイフ』の核心であり、シリーズ通してのエピソードである。

今回7話目にして初めて、そこが重点的に描かれることになった。対する1話限りの各回エピソード、今回は浜野謙太演じるカリスマIT社長の件は何の裏もなく、スッキリした終わり方をした。

ドラマは過去2回とも、多重構成や3段オチなどで複雑極まるものになっていたので、制作陣にはもしかすればその反省があったのかも知れない。今回はとても見やすかったし、シリーズ・エピソードにも魅了された。
 

政治家と癒着か反旗か、ゆれる脇坂

ドラマの核心、壮一郎の贈収賄疑惑は、大物政治家・南原によるでっち上げである。南原は、自身の不正を暴こうとする地検の特捜部長・壮一郎を排除するために、いくつかの企業を使って疑惑を捏造したのだ。

ここでおもしろいのは、事件後、壮一郎に代わって特捜部長になった脇坂(吉田鋼太郎)である。名前通り脇役だった脇坂だが、ここに来て興味深い点が出てくる。

脇坂は壮一郎と敵対してどうにか彼を有罪者にしようとしている。一方、脇坂の部下、佐々木は秘密裏に元上司である壮一郎に協力している。だが、脇坂はその佐々木の裏切りに見てみぬフリをしている可能性がある。

壮一郎もそれに気づいているが、なぜ脇坂が佐々木を泳がせているのかが分からない。また今回、脇坂は南原の不正の証拠を握った内閣府の職員を捕まえることに成功する。その後、彼は南原にそれが入ったUSBメモリを手渡す。

だが、そこには何か裏がある。脇坂は内閣府職員の取調べの際、何らかの駆け引きに出たのだ。
 

そこで、脇坂が実は南原を落とそうとしているのではないかという推測が生まれる。脇坂が佐々木を泳がせていたのは、彼と壮一郎を協力させることで南原の不正の証拠を握る情報提供者をおびき寄せるためだったのではないか。

実際、脇坂は2人より先にその者を押さえた。そして、それは南原の不正の証拠を独り占めしたかったからではないか。

そもそも、南原を落とそうとしていたのは壮一郎だった。脇坂に、その姿がうらやましく映ったと考えてもおかしくはない。大物政治家を告発し裁判で勝てば当然、大出世につながる。

これは私の推測に過ぎず、どうなるかは分からない。だが脇坂の存在はドラマの核心、シリーズ・エピソードを豊かに広げてくれる。
 

夫の不倫相手ながら救世主にもなりうる亜紀

また、もう1人、急におもしろくなってきた脇役がいる。壮一郎の不倫相手だった亜紀(相武紗季)である。彼女は新聞記者で、ある大事件の独自取材をしていたが、浮気騒動によって記者を辞めざるを得なくなった。

その事件が南原の不正疑惑だったのではないか。杏子と壮一郎はそれに気づき、亜紀もまた不正の証拠を握っているのではと推測する。

そこで、杏子が亜紀に直接、会いに行く。杏子に対するこの亜紀の位置づけがおもしろい。亜紀は夫の収賄疑惑の無実を証明してくれるかも知れない大切な存在である一方、夫を奪った悪女でもある。

そして、亜紀は杏子に会うなり、「本当に聞きたいのは私とご主人の関係じゃないですか?」といきなり挑発する。杏子がアンビバレンス*な感情の中、この後、どう亜紀と付き合ってゆくのか、目が離せない。

このように何人かの脇役が急におもしろくなってくるサスペンスは、上質のものになる可能性が高い。脇坂と亜紀というこれまでほとんど目立たなかったキャラが、今後の展開を大きく担っているのである。

*アンビバレンス

同一の対象に対して,愛と憎しみのような相反する感情や態度が同時に存在していること。両価性。両面価値。

出典:weblio辞書

三角関係の行方と表現の自由

消された真実というタイトルは二重にかかっている。南原の不正と共に、多田の杏子に対する愛の告白である。

それは杏子のケータイの留守録に入れられたが、彼女がそれを見る前に壮一郎の手で消去されたのだ。そのため杏子から返事をもらえなかった多田は、ふられたと思い込むようになってしまった。

いずれそれは明らかになるハズであり、そうなればこの三角関係は大きく揺らぐだろう。多田と杏子の恋の行方も、今後おもしろくなってきそうだ。
 

今回はかなり縮小された各回エピソードも光っていた。まずカリスマIT社長・剣持を演じた浜野謙太が超ハマリ役で、見ているだけで笑えるくらいだった。

剣持は自身をモデルにしてこき下ろした映画『成り金』の作り手を訴える。代理人の多田は裁判で剣持の実人生と映画の内容との数多くの類似点を挙げて追求する。だが物語のアイデアの出所を特定するのは難しく、難航する。

そこで多田は映画の外に打開策を見出した。『成り金』には有名俳優が一切出ていないのに多額の資本金を集めるのに成功している。それは制作前に映画スタッフがスポンサーに対して、有名な剣持の名前を使ったからではないか。

多田のこの推測は当たり、剣持は勝訴する。この発想の転換は気持ちよい。いつもなら裏がある所だが、今回はここでキリよく終わっているのもいい。

虚構でも映像には力があり、直接、人の人生を狂わせることがある。そのため表現の自由にも制約がある。そういうテーマが浮かび上がり、深い余韻を残す。
 

水原希子演じる円みちるの線も、ナゾの男が登場しておもしろくなってきている。彼女には自暴自棄な面があり、その過去には興味がわく。

『グット・ワイフ』はクライマックスに向かう中、見るものを離さない磁力を放つようになってきている。
 
 

「グッドワイフ」これまでの読者の感想

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