「グッドワイフ」4話の感想|恋愛に踏み出せない杏子、朝飛の中身を見抜いたみちる

TBS日9ドラマ「グッドワイフ」

2019年1月期のTBS日9ドラマ「グッドワイフ」。

第4話(2019年2月3日放送分)を見た視聴者の感想をお届けします。

また、ネタバレを含むあらすじや、次回の見どころも紹介していきますよ。

「グッドワイフ」第4話のあらすじ

杏子(常盤貴子)が以前住んでいた家の近所の男子高校生・荻原翔平(佐藤緋美)が傷害致死容疑で逮捕された。翔平の母・奈津子(須藤理彩)は、かつて杏子の親友だったが、壮一郎(唐沢寿明)の逮捕後、真っ先に杏子との連絡を絶った人だった。

杏子は、奈津子のことを考えて、この事件を朝飛(北村匠海)にメインでやってもらうようにお願いする。翔平は容疑を否認するが、指紋や目撃証言があり、無実を証明する手がかりが見つからない。

朝飛は早々と情状酌量にすべきだと主張。本人が否認している限り、裁判で争うべきだという杏子と対立する。そんな中、朝飛が隠していたある事実が発覚する…
 

一方勾留中の壮一郎の起訴が決まる。脇坂(吉田鋼太郎)は、壮一郎を何としても有罪にすべく、さらに追い込みをかける。そんな時、壮一郎のもとにある男が会いにやってくる。

それは杏子を想う多田(小泉孝太郎)だった…。

引用:ドラマ公式サイト

 

「グッドワイフ」第4話の感想

当サイト読者の方から寄せられた、
「グッドワイフ」第4話の感想をご紹介します。

高校球児の殺害疑惑

いきなりだが、今回、第4話を見て、「まるでタカ親方だな」と思った人は結構いるのではないか。あの一連の大騒動と同じブーメラン現象とでも言えることがこの話でも見られるからだ。

今回の裁判は高校球児による傷害致死事件であり、そこには杏子(常盤貴子)との私的な因縁も絡んでいる。
 

事件は2人の高校球児が息抜きにマンションの屋上でタバコを吸っていたことをキッカケにしてて起こる。管理人に見つかり、1人は逃げ、1人はもみ合いになる。その末に非常階段から管理人を落として死なせてしまう。

そのため管理人ともみ合った球児が殺人致死の容疑者になる。逃げたもう1人の目撃証言、管理人のベルトに付着した指紋、現場に落ちていたクツ、この3つの決定的な証拠によって容疑は固まる。
 

セレブ地区の村八分

だが、当の容疑者の少年はそれを否認している。そして彼は、かつて杏子の近隣住民であり、母とはママ友の仲だった。だが、夫、壮一郎の逮捕劇によって杏子は地域のセレブ系ママたちから村八分にあい、引越しを余儀なくされた。

杏子は自分をひどい目に合わせたママ友の息子のために弁護するという立場に置かれる。結果、真犯人はマンションでタバコを吸っていた2人ではなく、その仲間に加わろうとしてやって来たもう1人の球児ということになった。
 

そしてその球児の母親も最初の容疑者の母と同じく、杏子のかつての近隣住民だった。しかもボスママ的な立場で、壮一郎の事件後にセレブ地域の品格を落としたとして、杏子をひどく非難していた人だった。

要は、被害者意識に駆られて責め立てていた人が、今度は自分が罪人の立場になって責められるということになったのだ。
 

一連の貴乃花騒動とリンクする因果応報ストーリー

そこでタカ親方こと元貴乃花親方を思い浮かべる人は、決して少なくないだろう。

タカ親方もまた弟子が暴行されたことでカッとなり、よく事情を知らないままに警察沙汰にした。結果、暴行した横綱は有罪者になり、引退はもちろん日本で相撲部屋も持てなくなった。

が、それからまもなくタカ親方の2人の弟子が暴行事件を起こし、今度はタカ親方の方が責められる立場になった。結果、タカ親方も相撲界から追放される。当時、これを受けたマスコミは「ブーメラン」という言葉をよく使っていた。

たとえ被害者でもごう慢になれば、自らの立場が危うくなるものだ。ごう慢が招く因果応報ブーメランとでもいうべき事だろう。『グッド・ワイフ』の第4話は米国ドラマよりもタカ親方ベースの話なのではないかと疑いたくなる。
 

忖度は共犯である

真相発覚後の杏子の厳格な態度もいい。最初に容疑をかけられた球児の母は、息子を救ってくれたことに感謝し、杏子とまた昔のようにつきあいたいと言う。となれば大抵は、仲直りしてハッピーエンドになるものだ。

だが、杏子は「口だけだ」としてきっぱり断る。これには多くの視聴者もビックリしたのではないか。それ以前にその女は杏子をいじめたのは、ボスママなどセレブ系住民から仲間外れにされたくなかったからだと打ち明けていた。

が、それでも杏子は許さなかった。その態度には忖度する人もいじめや不正の共犯者だという厳格な思いが見て取れる。ここで「過去との決別」というタイトルの真意も浮かび上がる。

これに感心した若い同僚のみちる(水原希子)は、それまで杏子と距離を置いていたが彼女を飲みに誘う。そこで杏子は、事務所代表の多田(小泉孝太郎)に、過去を捨てれば新しい未来がやって来るのかもと思わせぶりなことを言う。

職場恋愛ならではの愛とプライドの葛藤

このように、メインテーマにうまく、2人のラブストーリーを絡めている。こっちの線も今回は大いに進んだ。みちるとの話の中、杏子は多田が自分を好きであることに気づいていると告白する。

だが、杏子は事務所預かりの身であり、多田と恋愛関係になれば自分の力でポストを勝ち取ったことにはならなくなる。なので踏み出せない。ここには職場恋愛をしたい女子たちの愛とプライドの葛藤があり、多くの共感を呼ぶだろう。

一方、多田は拘置所まで杏子の夫・壮一郎に会いに行く。しかもそれは弁護士としてよりも、杏子を心配する1人の友人として臨んだものであり、1人の女をめぐる男同士の熱いやり取りが見れる。
 

仕事の成果よりも優しさという中身でキュンとくる女子

恋と言えば、若いみちると同じく若い新米弁護士の朝飛の線も発展する。朝飛は示談交渉が得意ながら裁判弁護は超不得意であり、みちるも傍聴席で見守る中、裁判でとんだ大失態をさらし、杏子にバトンタッチするハメになる。

普通であれば、みちるは朝飛にあきれるだろう。だが、彼女は逆に彼に魅かれてしまう。なぜなら、朝飛が裁判を杏子に任せたのは、依頼人を守るためであり、自身の出世を優先している人には決してできないことだからだ。

みちるはそこを見抜いて、朝飛を前にして初めて好意を示す。男を成果ではなく中身で判断する。脇役や筋のサイドラインもまた光っている。
 

同一先入観をくつがえす真相

一方で、ミステリーには興味深い仕掛けがあった。真犯人の球児が発覚したのは、現場に残された足跡とクツがキッカケになった。足跡とクツは同じものだという先入観を与えるが、ここではそこが崩れる。

この2つの成分検証の結果、塩化カルシウムの有無の差があった。2人の住むセレブ地区では雪の日に塩化カルシウムを散布する規則があり、最初の容疑者の少年は直接マンションに行ったため、残されたクツにはそれがなかった。

一方、足跡にはそれがあったことから、別人の線が出てきて別の球児仲間が自白することになる。人の同一先入観を逆手にとった巧妙な筋と言える。

今回は裁判自体も裁判にまつわる人間ドラマも、そしてラブストーリーも厚く本当に見応えがあった。その分、シリーズ・エピソードである贈収賄疑惑が進まなかったが、ここはしょうがない。

『グッド・ワイフ』は最高の形で、次回・5話目で折り返し地点に入る。
 

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