大河ドラマ 真田丸 第10話『妙手』あらすじとネタバレ

春日山城へ

上杉は新発田の反乱をいまだ鎮圧できず、さらには隣国・越中の佐々成政との戦が今にも勃発しようとしている。そんな緊迫した状況の中、信繁は越後の春日山城に景勝を訪ねた。
「実は、私は信尹の息子ではありませぬ。父は真田安房守。源次郎信繁と申します」

上杉においては、真田と名乗っただけで命がいくつあっても足りない。現に直江兼続など、今にも刀に手をかけようとしている。信繁は危険を承知のうえで現れ、敵将の前で背筋を伸ばしている。
景勝は、信繁の清新さに引かれた。
「言いたいことを申してみよ」
「今、徳川が上田平に城を築いております。完成した暁には、真田が入りまする」
信繁は、築城の経緯を包み隠さず話した。表向きは上杉の信濃攻めに備えた城だが、本当は徳川に備えた城を家康に造らせている。
「真田が徳川の家臣になることはありませぬ」
徳川は理不尽にも、真田が正々堂々と戦で勝ち取った領地を、北条と分け合った。
「真田には、真田の意地がございます。武士としての誇りを守りたいと存じます」

むろん、上杉に加勢を願うほど厚顔ではない。
「芝居をしていただきたいのです。虚空蔵山城にて、戦芝居を」
真田が虚空蔵山城を攻め、上杉が見事に撃退する。次に、勢いに乗った上杉が、上野の北条を攻めるという噂を流す。それを耳にした北条は、沼田城ばかりに関わっていられずに撤退する。この結末を導くための、戦芝居だ。
「おもしろい。殺されるかもしれぬのに、わしのところへやって来た、お主の勇気に免じて、この話、乗ることにした」
信繁は深々と頭を下げると、春日山城の廊下を胸を張って歩いて行った。

兼続はまだ真田への警戒を解いていないが、景勝は真田信繁という武将に興味をかきたてられた。
「今、真田を敵に回すのは、得策ではない。ならば、試してみようではないか。あの男に真があるか否か」
景勝は、信繁に賭けてみたくなった。

芝居

それからまもなく、虚空蔵山城で真田と上杉の戦芝居が演じられた。真田が攻め、上杉が圧勝したという情報は、瞬く間に各地に広まった。沼田城近くの北条の陣では、北条の兵に変装した佐助が、上杉勢が勢いを増して上野に向かってくるという噂をまことしやかに話している。

小田原城の氏政に知らせが届いたときには、信憑性が高まっていた。
「上杉にまだそんな余力があるとはのう。いったん兵を引いて立て直しじゃ!」
氏政が苦々しく命じた。

北条が沼田の件で徳川に力添えを求めたが、家康はこの一件にあきあきしていて、考えるのもおっくうだ。

側室の阿茶局が、正信に困った顔を向けた。
「殿は西のことで頭がいっぱいなのです」
秀吉が急速に力を付け、旧織田家臣の誰が敵で誰が味方か、家康は勢力地図と首っ引きだ。
正信が、事も無げに言う。
「しかしながら、西に集中するためにも、東の憂いは取り除いておいたほうがよろしいかと。真田安房守、そろそろ死んでいただきましょう」

信繁は今回の作戦を、昌幸からも信幸からも手放しで褒められた。この喜びを梅と分かち合いたくて、夜、作兵衛の家に駆け込んだ。一兵も死なせずに敵を追いやる策は、梅やおなかの赤子の命を守るためにもと、知恵を絞った成果だ。
「そなたは、なくてはならぬ人だ。私の妻になってくれないか」
「……そのお言葉、お待ち申しておりました!」
信繁と梅は、ひしと抱き合った。
その同じ夜。室賀正武は浜松城に呼ばれていた。

(続き:第11話

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