6月4日放送の大河ドラマ おんな城主 直虎
第22話「虎と龍」の詳細なあらすじです。
前回(第21話)はこちら。
おんな城主 直虎 第21話のあらすじ「ぬしの名は」
ネタバレ注意!
おんな城主 直虎 第22話「虎と龍」あらすじ
龍雲丸(柳楽優弥)を頭とする一団が井伊谷にやってきた。
一団はすぐに山に入って作業を始めた。
その様子を見に行って、激高したのは中野直之(矢本悠馬)だった。
直之「あれは、井伊の木を盗み、逃げ出した輩ではないですか!」
さらに、直虎(柴咲コウ)をさらった賊でもあると聞かされた直之の勢いはとどまらない。
直之「ならず者を引き入れて、何かあったらいかがなさるおつもりですか!」
方久(ムロツヨシ)がすかさず助け舟を出した。
方久「荒くれ者を手懐け、家来とする話もあるではございませぬか」
直虎「そうじゃ、屈強な家来衆ができるかもしれぬぞ」
武芸に秀でた直之は、普段から井伊家の武力不足を嘆いていたこともあり、受け入れることをしぶしぶ認めた。
続いて直虎は、政次(高橋一生)を伐採している現場まで連れて行った。
龍雲丸たちが材木の引縄を結んでいる様子を見た政次は、龍雲丸に問いかけた。
政次「これは珍しい結び方だな」
龍雲丸「ああ、これは船乗りの知恵でして。固く留まるわりに、ほどきやすいんでさ」
政次「皆、船に乗っておったのか」
龍雲丸「金山で穴掘りをやっておった者、木の仕事をしていた者などもおります。バラバラでさぁ」
政次は、男たちの働きっぷりを見やった。
政次「大した働きぶりだ。しかし、領地境へは近寄らぬようがよかろう。近藤殿の目につかぬとも限らぬゆえ」
木を盗んだことを釘をさすことを忘れなかった。
政次「何かあれば、いつでも引き渡せるということを忘れぬようにな」
龍雲丸が気分を害した瞬間を、直虎は見逃さなかった。
龍雲丸「ご案じいただかずとも、いつでも姿を消せますんで」
直虎は、男たちをかばうように言った。
直虎「あの者たちの技は目を見張るものがあったろ。味方につければ、きっと力になってくれると思うのじゃ」
政次「…殿があの者たちを飼いならせるなら、何も申しませぬ」
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それから、龍雲丸たちの一団はよく働いた。
直虎「よく、あのような木が切れるの」
大きい木が倒れる様子を感心していたところ、龍雲丸がやってみますか、と声を掛けた。
大きな鋸を使って、六左衛門(田中美央)と二人で両方からひいてみるが、うまく切ることができない。
その様子を見かねた龍雲丸は、直虎の背後に回ると、直虎の手に手を重ねた。
当然、体は密着した格好になった。
直虎はドキッとし、胸が高鳴ったのを感じた。
龍雲丸「いいですか。手はこう! 聞いてますか?」
直虎のすぐ横に、龍雲丸の顔がある。
龍雲丸「そうそう。そして、腹の下に力を込めて」
鋸の歯が木に食い込んだ感触がわかったが、直虎はそれどころではない。
男の匂いと体温を感じて、フラフラになりそうだった。
その瞬間、龍雲丸をはねのけ、体を離していた。
それ以降、直虎は伐採現場に行くことを控えていた。
直虎「煩悩など、滅したと思うておったが…」
しばらくすると、彼らの悪評が聞こえてきた。
男たちの誰かが、博打場を開いているというのだ。
そこには百姓までも入り浸りになってしまった者もいるのだという。
そんな話を聞いた直之が、龍雲丸の手下を引っ立ててきた。
直虎は仕方なく龍雲丸を呼びつけた。
龍雲丸の顔を見るなり、身体は火照り、心臓が高鳴っているのを必死に隠しながら言った。
直虎「頭。井伊の者たちはこういったことに慣れておらぬのじゃ。その分、のめり込みやすい。一年ほど前は徳政を求め、一揆すら起こりかねぬ様子だったのじゃ。それをさまざま手を打ち、ようやく落ち着いたところでな。…博打は控えてもらいたい」
龍雲丸「俺らがやんなくても、陰でやってるやつもいると思いますがね」
直虎「…控えてもらいたい」
龍雲丸「へいへい。分かりましたよ、お殿様」
直之「なんじゃあ、その口ぶりは!」
怒った直之が詰め寄りそうになるが、それを無視して龍雲丸は帰っていった。
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男たちの悪評は、その後も続いた。
どぶろくを盗まれた者や、娘が追い回され襲われかけたという話もあった。
そのたび、犯人と疑われた男とともに龍雲丸も呼び出された。
男「俺らを疑う前に、そいつらが嘘ついてねえかどうか調べたらどうなんだよ!」
直之「ただの百姓と海千山千の賊がおったら、まずお主らから疑うのが常道であろう!」
龍雲丸が半笑いで応じる。
龍雲丸「なら、そもそもこんな話なぞ持ってくるなって話じゃねえですかね」
龍雲丸「今日までのもん頂ければ、こちらは引いてもかまわねえんで。そちらで話し合っていただけやすかね」
井伊の居館に家臣たちを集め、評定を開いた。
政次「井伊の領内に分かる人間がおれば、次からはよそ者を頼む必要はなくなる。百姓にやらせれば、冬場の小遣い稼ぎにもなる」
六左衛門「確かに、ちょうど野良仕事も休みですしな」
方久「まぁ、井伊を潤すという意味では、それが最も理にかなっておりますな」
六左衛門が同意し、方久も納得して頷いている。
そこに、直虎が割って入る。
直虎「われは、あの者たちと役目を通じ、助け合う間柄になりたいのじゃ。使い捨てることは本意ではない」
政次が冷たく軽蔑したような視線を向けたが、直虎は引き下がらない。
直虎「堀を造るに長けた者、船に乗れる者もおるという。あの者たちと通じておくことは、井伊の民にとり、どれだけの助けになるか分からぬ」
政次「その井伊の民が苦情を訴えてきておるわけです」
直虎は言い返すことができない。
政次「つながりを保ちたいと思うておるのは、殿だけなのではございますまいか」
政次は、直虎が龍雲丸に対して抱いている感情を見抜いているかのように、鋭く指摘した。
政次「去らせるほうがお互いのためかと思います」
その後も、直虎は男たちを留め置く方法がないか、懸命に考えた。
しばらくして、直虎は宴の席を設けた。
直之「猪を落とす穴を掘ったのですが、落ちたのは仕掛けを忘れたこいつだけで」
満面の笑みで直之がそう言うと、百姓の一人を指差した。
龍雲丸の手下の男たちや百姓たちも大声で笑っていた。
離れて見ているだけでは、恐れや思い違いが生じてしまう。
何かのきっかけでお互いに近づけば、すぐに打ち解ける。
そして、同じ敵に向かえば、手を結んで仲良くなるはずだ。
そんな直虎の思いが、井伊の民と男たちの距離を縮める結果になった。
どぶろくを盗んだのは、百姓仲間同士だったこと、娘を追いかけたのは、落としたお守りを渡すためだったことが、この宴の席で明かされた。
龍雲丸は、直虎に近付き、一礼した。
龍雲丸「今度、猪を取ってきますんで」
直虎「(…ということは、井伊谷に残るということか…!)」
目を輝かせる直虎に龍雲丸が笑顔を向ける。
龍雲丸「お役目、続けてよろしいですかね?」
直虎「もちろんじゃ、もちろん! よろしく頼む!」
その様子を離れて見ていた政次は、感情を飲み干さんばかりに酒を飲むと、足早に席を離れた。
直虎は、完全に目が据わるほど酔っていた。
龍雲丸に絡んで離さないが、巻き添えを恐れて誰も近づかない。
龍雲丸「猪を獲りにいってきますね」
直虎「そうやって、われの元から去るつもりであろう。どうせそなたは…どうせどこかに子でもおるのであろう!」
なんとか逃げ出そうと、龍雲丸は必死だ。
龍雲丸「あ、酒とってまいりますね」
直虎「ある!」
そう言うと、さらに盃に注いだ。
直虎「そなた、このまま井伊に残れ」
さらに真剣な表情になって龍雲丸を見つめる。
直虎「われのものになれ!」
大河ドラマの小説版はこちら。
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