6月18日放送の大河ドラマ おんな城主 直虎
第24話「さよならだけが人生か?」の詳細なあらすじです。
前回(第23話)はこちら。
おんな城主 直虎 第23話のあらすじ「盗賊は二度仏を盗む」
ネタバレ注意!
おんな城主 直虎 第24話「さよならだけが人生か?」あらすじ
龍雲丸(柳楽優弥)たちが井伊を去って数日。
直虎(柴咲コウ)はうわの空の日々を送っていた。
自由にどこへでも行けるのは、あの男が何にも頼らず生きているからだ。
直虎は、そんな男たちが羨ましかった。
やがて直虎は、井伊の百姓たちに自活をもたらす取り組みを始めた。
龍潭寺で読み書きや、薬草の知識を教えた。
護身術や銭の取り引きも教えて、百姓の子らの手習いも許すようになった。
井伊の百姓になれば、暮らしが変わる。そんな評判が少しずつ広がり、井伊にやってくる人も増えていった。
そんな仕組みを取り入れた領主・井伊直虎の名は、徐々に世間の耳目を集めるようになっていた。
永禄10(1567)年。諸国で大きな動きが相次いでいた。
今川が武田への塩の供給を禁じた「塩止め」である。
きっかけは、同盟を破棄した武田信玄への報復措置だったが、逆に信玄は駿河へ侵攻を始め、今川は追い詰められることになった。
この「塩止め」で多大な影響を受けたのが、駿府の商人たちである。
塩の売買を禁じられた結果、裏で武田家と通じて塩を扱う者も現れる始末だ。
この影響は、井伊家にも及ぶようになった。
直虎は、材木の商売を駿府から引き揚げ、気賀で行うことを決めた。
もう一つ、大きな問題が駿府から届いた。
政次(高橋一生)「実は、駿府より縁談が参りました」
祐椿尼(財前直見)の姪で新野家の三女・桜を、今川家の重臣・庵原家へ嫁がせるという話だ。
直虎「降って湧いたような話じゃが…」
政次「国衆の離反を防ぐための策にございます。縁談という名で、今一度、人質を集め直しているということにございます」
庵原家というのは、今川義元(春風亭昇太)の軍師を務めた太原雪斎(佐野史郎)の生家でもある。
直虎「さような家に嫁がせれば、いざというとき全く動きがとれぬようになるのではないか」
政次「もしも渋るならば、徳政令を今一度発布せよと」
直虎「…蒸し返すのぉ」
直虎は新野の屋敷に出向いた。
長女のあやめ(光浦靖子)、次女の桔梗(吉倉あおい)、そして当の本人の桜(真凛)に縁談について話した。
今川家の筆頭格の重臣であって、藤原氏の流れもくんでいる家に嫁ぐという話に、桔梗は満面の笑みを浮かべている。
ところが、あやめと桜は困惑した表情を浮かべた。
桜「あの、さような立派なお家で、私などがやっていけるのでございましょうか」
直虎「新野とて、本家は今川の親戚ではないか」
桜「はい…」
妹を案じているあやめの暗い顔が気になる。
急な話なうえ、今川との婚儀で申し訳ない直虎は、奇策を思いついた。
直虎は龍潭寺に向かった。
[2/3ページ]
南渓(小林薫)「わしに、庵原殿のご嫡男との密談を取り持てという話か」
直虎「表立って面会を申し出れば、いらぬ角を立てますゆえ。和尚様ならうまく誘い出し、お話しすることができるのではないですか?」
南渓「それはできようが…どうにもこうにもこの方ではという折には、どうするつもりじゃ?」
直虎「一度は嫁がせるにせよ、何かしら理由を見つけ、下がらせるという手も考えられましょう」[pc]
ある寺で、庵原助右衛門朝昌との面会の場が設けられた。
南渓が初対面の挨拶をしている最中、朝昌は直虎をじっと見つめていた。
朝昌「このお方が、あのおとわ様かと。先代の太守様の下知を書き換えさせた、あっぱれな女童と」
直虎「お恥ずかしい…あれは皆様のご恩情あってこそのお沙汰と身にしみておりまする。まさか、さようなことをご存知の方がおられるとは」
朝昌「今、直虎様を知らぬ者は駿府ではおりませぬ。女だてらに家督を継ぎ、一風変わった策で井伊を治めていらっしゃる。おもしろきお方、そして、捨て置いては恐ろしいことになるかもしれぬ、と」
直虎よりかなり年下にもかかわらず、朝昌の落ち着いた物腰に、直虎は驚いた。
朝昌「それがしは、直虎様のお目にはかないましたでしょうか」
直虎「お見通しでございましたか」
朝昌と直虎はともに笑った。
朝昌「どうか井伊様には、泥舟から逃げ出すばかりではなく、泥舟を今一度堅い舟にすることもお考えいただけませぬでしょうか」
直虎「われなどをさように思うていただいて、ありがたいことでございます。ご期待に沿えるよう、微力ながら尽くしてまいりたいと存じます」
笑顔のまま、直虎は続けた。
「と、言うはやすいが、人というのは弱いものじゃ。さて戦となり、己の命すら危ういとなったときに、忠義を貫き通す自信があると、われには言い切れぬ。…庵原殿は自信がおありか」
朝昌は迷うことなく、ございます、と言い切った。
朝昌「最後まで忠義を尽くした者こそ、敵にすら惜しいと思うてもらえるのではございませんでしょうか。それがしはそう思うております」
直虎たちは居館に戻り、桜と話をした。
直虎「実にまっすぐな、気骨のある若者であった。今、庵原の家に嫁ぐことは、諸手を挙げて喜べることではない。じゃが、あのお方を夫に持つことは幸いなことではないかと思うた」
直虎が晴れやかな顔を向けると、桜は深々と頭を下げた。
桜「ありがとうございます。頼りなき私にございますが、庵原のお家のため、そして井伊のお家のため、できるかぎりの働きをいたしたく存じます」
桜が去ったところに、高瀬(高橋ひかる)が着替えを持ってきた。変な違和感を感じた直虎は、高瀬に尋ねた。
直虎「…たけは?」
高瀬「里に下がりました」
近くにいた祐椿尼が付け加えた。
祐椿尼「耳も遠くなり、勘違いも多くなったからと。後ろ髪を引かれるゆえ、殿には会わずに行くと」
[3/3ページ]
すぐに馬を駆り、直虎はたけ(梅沢昌代)の後を追った。
すぐに、背中を丸めて歩く老女を見つけた。
たけ「姫様…!」
直虎「許さぬぞ、たけ! われのもとを去るなど!」
たけ「なれど、もうお役に立てませぬし」
直虎「役になど立てずともよい。井伊の館でよぼよぼになり死ねばよい。たけはわれが看取ると決めておったのじゃ!」
たけ「姫様じゃ。怒りっぽうて泣き虫で、たけの言うことなど一つも聞いてくださらぬ猪で。なれど、それはそれは情の深い…私のとわ姫様…」
たけは涙を浮かべながら、直虎の手を取った。
直虎も込み上げるものを堪えている。
たけ「なれどもう、姫様は姫様ではございますまい。井伊の殿として、ご決心をされねば。乳母一人とはいえ、きちんと役に立つ者をお召し抱えになるべきかと」
直虎「さようなこと、指図されるいわれはない!」
たけ「最後に一つくらい、私の言うことを聞いてくださいませよ、姫様…」
たけの決意は堅い。涙を拭いながらも笑顔を絶やしていない。
直虎「…たけ、馬に乗れ。里まで送る!」
たけ「そんな、めっそうもない…」
直虎「これ以上、言うことは聞いてやらぬ。乗れ!」
たけを馬の背に乗せると、直虎は馬を引いてゆっくり歩き始めた。
小さい頃からたけを困らせていた場面が、直虎の脳裏を駆け巡った。この時間を惜しむように、直虎はゆっくりを歩を進めていった。
ある夜、直虎は政次を呼び寄せた。
直虎「桔梗殿の縁談も取り持ってはくれぬか」
政次「お相手は今川の家臣にございますか?」
直虎「北条じゃ。北条ならば、今川の唯一の味方。今川に怪しまれることもなかろうし、動きを知りたいところでもある」
政次は一瞬、驚いたような顔を見せたが、すぐにいつもの無表情に戻った。
政次「なかなか、よろしきお考えかと」
突然、弥吉(蔵本康文)がドタバタと駆けてきた。
弥吉「一大事にございます! たけの幽霊が出たかもしれませぬ!」
廊下に出ると、祐椿尼とたけが一緒に歩いてくる。
近付いてきて直虎と目が合った瞬間、たけがバッと平伏した。
直虎「母上、この者は…?」
祐椿尼「たけの姪で梅というそうです」
梅「梅と申します。以後、よろしゅうお願い申し上げまする、殿」
たけと同じ顔をした頼もしそうな娘だ。
直虎「よろしゅう頼むぞ、梅!」
しばらくして、桜は駿府の庵原家へ嫁いでいった。
同じ頃、松平改め徳川家の嫡男・竹千代のもとに、織田信長(市川海老蔵)の養女・徳姫が輿入れした。
秋になって、北条家の家臣と桔梗との縁談がまとまった。
北条氏照の家臣・狩野一庵の子息だという。
ある日、方久(ムロツヨシ)が居館へ駆け込んできた。
直虎「どうした?」
方久「材木の売り先が見つかったと、中村屋より知らせがございました!」
直虎「でかしたぞ! 方久」
これが井伊にとって大きな収穫になることを、直虎はまだ知る由もない。
西では、美濃を平定した織田信長が「天下布武」を掲げて、天下取りに乗り出した。
まもなく、日の本全体が大きく動き出すことになる。
大河ドラマの小説版はこちら。
サウンド・トラック