5月28日放送の大河ドラマ おんな城主 直虎
第21話「ぬしの名は」の詳細なあらすじです。
前回(第20話)はこちら。
第20話のあらすじ「第三の女」
ネタバレ注意!
おんな城主 直虎 第21話「ぬしの名は」あらすじ
年が明け、駿府で新たな騒動が起こった。
方久(ムロツヨシ)が駿府に持ち込んで開発を進めていた種子島を、今川の命で別の商人に任せると一方的に決めてしまったのだ。これにより、井伊で作って商売に使えるものは綿布だけになった。
方久「これからは気賀の時代にございます!」
気賀とは、浜名湖に面する町のことだ。
方久の提案で、直虎たちは気賀を視察に訪れた。
交通の便がよく商売が盛んな土地で、商人たちが領地を治めているという、今川から特別な扱いを受けている町だった。
そんな気賀を歩き回っているとき、直虎(柴咲コウ)の銭入れがすられてしまった。
犯人は子供だ。
逃げる犯人を追っていると、コワモテの男たちが現れ、直虎の身を捕らえて連れ去ってしまった。
直虎は、とある集落に連れ去られた。
そこではたくさんの男たちが暮らしていたが、その中で「頭」と呼ばれている男を見て、直虎は驚いた。
牢獄を脱走したあの旅の者(柳楽優弥)だったのだ。
直虎「…お、お主…」
旅の者「こいつは井伊の領主・直虎だ」
そこにいた一味は皆、仰天している。
旅の者「男か女か分からんような珍妙な生き物だったって話しただろうが…やっかいなもん、連れてきやがって」
手下「どうしやす。湖にでも捨ててきますか」
直虎は戦慄したが、すぐに大声で叫んでいた。
直虎「さ、さようなことをしてみよ! おのれら皆、ひっ捕らえ打ち首にするぞ!」
旅の者はにやにやと笑いを浮かべながら言った。
旅の者「少しは振る舞いをお考えになったほうがよろしいかと思いますがね。井伊に戻ればご領主様かもしれませんが、ここではただのおなご。一人じゃ、ここから出てくこともできねぇでしょうが」
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直虎が行方不明になり、すぐに行動をおこしたのは六左衛門(田中美央)だった。
直虎の捜索は方久と気賀の商人たちに任せて、六左衛門は井伊の居館に戻った。
話を聞いた直之(矢本悠馬)は、喧嘩腰で六左衛門に詰め寄った。
直之「夜が明けてもお戻りにならぬなど、かどわかしに決まっておろう!」
拐かし(かどわかし)
人をだまして連れ去ること出典:Weblio類語辞書
そこに方久が急いで戻ってきた。
方久「殿の銭入れとともに、かような文が届きました」
殿様お身柄と引き換えに、明日申の刻、銭百貫、絵図の示すところに届くるべきこと。応じる印に、赤い旗を中村屋店先に立つるべし。
中村屋というのは、方久と親しい商人の店だ。
政次(高橋一生)が冷静に口を開いた。
政次「とりあえず、払うと返事をしてはいかがかと」
直之がすぐに噛み付いた。
直之「ならん!かようなものに断じて屈してはならぬ。武士の名折れじゃ!」
直虎は真っ暗な地下牢に閉じ込められていた。
そこに何者かがろうそくを手に近寄ってきた。
直虎「お主、何ゆえ賊などしておる。まともに働く道などいくらでもあるじゃろうが」
賊の者「あんたに言われたかないね。領主なんてな、泥棒も泥棒、大泥棒じゃねえか」
直虎「何ゆえ、われが泥棒なのじゃ!」
賊の者「ガキでも分かる話でさぁ。百姓の作ったもん召し上げてんじゃねえか」
直虎「…年貢を取るのは、井伊の土地だからじゃ。井伊の土地を貸しておるからじゃ!」
賊の者「なんであそこはあんたの土地なんだよ」
直虎「それは…井伊が鎌倉の公方様よりあの土地を任されたからじゃ」
賊の者「それが泥棒の始まりだろ? あんたの先祖にやたら喧嘩が強えか調子のいいやつがいて、勝手にぶんどったってだけじゃねえか。武家なんてのは、何代も続いた由緒正しい大泥棒じゃねえか」
直虎は何も言い返せない。
賊の者「俺らは武家や、そこに群がるやつらからしか盗まねえ。つまり、泥棒から泥棒してるってだけだ。あんたらに比べたら、かわいいもんだ」
直虎は戸惑っていた。男の言い分もどこか理屈が通っていると感じたからだ。
が、その瞬間、鋭い痛みと同時に、直虎は眠りに落ちてしまった。
直之ら井伊家の家臣たちは、指定された小屋にやってきた。
直之「銭を持ってきたゆえ、人質を返せ! 殿を返せ!」
小屋に押し入った。ところが、寝入っている直虎の姿しか見当たらない。
直之「謀られたかもしれぬ。狙いは馬じゃ!」
馬を見張っていた傑山(市原隼人)は、男たちが近寄ってきている気配を感じた。
傑山は威嚇の矢を放ち、男たちは散らすように逃げていった。
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直虎はようやく居館に戻ることができた。
家臣たちや乳母のたけ(梅沢昌代)、母である祐椿尼(財前直見)からさんざん絞られたことは言うまでもない。
あんなことがあっても、直虎は賊を捕らえて処罰する気にはなれなかった。
武家は泥棒という言葉が、脳裏から消えなかった。
しばらくして、方久が妙なことを言い出した。
方久「木を切り、売るのでございます。今はあちらこちらに戦場がございます。焼かれた城もあれば、新たに建てる館も山ほどあるということで」
直虎は、人手がない…と言いかけたところで、ハッとあの男の顔が浮かんだ。
直虎は急いで龍潭寺に向かい、南渓(小林薫)と話をした。
そして文を書きあげ、南渓に託した。
数日後、文で伝えた場所に、頭と呼ばれる男は現れた。
頭「そうしていると、尼さんに見えますねえ。で、話ってな、なんですか」
直虎「幼き頃、われは蕪を盗んだことがある。追い詰められれば人は盗む。百姓に生まれようが、武家に生まれようが、人とはそういうものじゃ。故に、われもそなたも等しく卑しい。だが、それは幸いなことなのか?」
頭「へへっ、なんだ。もっと色っぽい話かと期待しておったのですが」
そう言うと、男は立ち去ろうとした。
直虎「われも逃げずにお主の言葉を考えた。お主も受け止めるのが人の道ではないのか!」
男は座り直した。
直虎「卑しくあらねば生きていけぬというのは、幸いなことでは決してない。ならば、せねばならぬことは、卑しさをむき出しにせずとも済むような世にすることではないのか」
頭「世をつくる? あんた、いかれてんじゃねえのか」
直虎「やってみねば分からぬではないか!」
頭「無理に決まってんだろう!」
直虎「できることしかやらぬのか。だから腹いせの泥棒か。なんとも、しみったれた男じゃな!」
男の目が険しくなる。
直虎「井伊は材木を商うつもりじゃ。…その木を切る役目をそなたらで請け負う気はないか」
頭「木を切る?」
直虎「お主らには、あっという間に木を切る腕がある。それを使ってみぬかと言うておるのじゃ」
頭「何ゆえこんな酔狂な申し出をする? わざわざ俺らに声をかけずとも…」
直虎「お主に言われ、確かに武家は泥棒かもしれぬと思うた。じゃが、それを認めるのは御免じゃ。ならば、泥棒といわれぬ行いをするしかないではないか」
男の顔がみるみる笑顔になっていった。
頭「…おし! よろしく頼みまさぁ、直虎様」
直虎「おう! よろしく頼むぞ、頭」
直虎「頭、名はなんというのじゃ?」
頭「…龍雲丸だ」
直虎「りゅう、うん…雲の龍か」
妙な縁で二人はまた繋がることになった。
龍雲丸率いる一団はすぐに井伊にやって来た。
空には、龍のような雲が立ち昇っていた。
ところが、すんなりと事は運ばないのが世の常ということを、直虎はまだ気付いていないのだった。
[次回] 第22話のあらすじとネタバレ!「虎と龍」
大河ドラマの小説版はこちら。
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