脚本、演出、デザイナー、カメラマンなど、得意分野も専門もバラバラな100人以上のスタッフが1つに結集して制作されている大河ドラマ。
大河ドラマの制作を支える裏方のスタッフ陣の仕事ぶりをご紹介します。
扮装チーム
出演する俳優陣を現代から戦国時代へタイムスリップさせてくれるのが、扮装チームの皆さんです。結髪部、メイク部、衣装部、小道具部があります。
扮装チームの皆さんはシーンに合わせて、俳優の雰囲気をガラリと変えてくれます。百姓であれば、顔に塗る泥や乱れた髪型、百姓らしい衣類を用意するのも、扮装チームのお仕事です。
顔に塗る泥のような物体、実はコーヒーなどでできていて、泥は一切使っていません。肌や健康に悪影響が出ないようにするメイクさんの気遣いです。
戦国時代の生々しさや悲惨さを表現するため、戦死した人間の扮装も欠かせません。結髪部は戦死した死体を表現するため、乱れきった髪のカツラをチョイス。衣装部は、なるべくリアルに汚すために、現場周辺にある土や落ち葉を死体にこれでもかと振りかけます。
メイク部は死体がよりリアルに見えるよう血を顔や体の至る所に付けていきます。そのリアルさは、ぞっと寒気がするほど。実際に死体役をしてくださった地元のエキストラの方々も、「不思議なことに本当に死んだ気持ちになる」とおっしゃっていました。
技術チーム
カメラさん、音声さんなど、ドラマを収録しているのが、技術チームのみなさんです。
よい芝居を撮るために、技術チームは努力を惜しみません。小淵沢ロケで撮影した第1回のラストシーンでは、迫力ある映像を撮影するために、『ドローン』と呼ばれるラジコンヘリを使用。専門の操縦士2人の見事な連携プレーで上空からの映像を撮影します。そのスピードは、走る馬のスピードにだって負けません。馬の速さをリアルに実感できる迫力のある映像になります。
岩手でも特機が登場しました。岩手県のロケ、重要な芝居場である、父・昌幸と息子・信繁が高い櫓の上で会話をするシーン。父と子が、真田の郷の未来を考える重要な場面です。その芝居を少しでもよく撮りたい!しかし、櫓は高く狭いため、俳優と同じ目線で撮影することは困難。
そこで登場したのが、バケット車と言われる高所作業用車。信号機などを修理や点検するときにも使われるものです。そこに、カメラさん、照明さん、音声さんが乗り込みます。櫓の上という高い場所での芝居を俳優と同じ目線で撮影でき、見応えのあるシーンを収録できました。
美術チーム
美術チームは、台本の中に登場する戦国時代のさまざまな場所を、己の想像力をフルに使って、現代の中で描いてしまうクリエーター集団です。
ロケは、少し寒くなりつつある9月からスタートしました。しかし、撮影したいシーンは秋だけではありません。春だって、夏だって、冬だって必要なんです。撮影スケジュールがタイトな大河ドラマでは、撮影したい季節を悠長に待っていることはできません。そこで、美術チームが活躍するんです。
きりが初登場する、信繁との芝居。監督は、このシーンを春のイメージで撮影したいと考えました。そこで美術チームが9月にもかかわらず、満開の桜が付いた枝(造花)を東京から持ってきます。それをカメラの前に引っ掛けると、本当に春に見えるんです。ロケ地は、少しずつ紅葉し始めているのに。多彩で奥深いシーンを作るのに欠かせない存在です。
助監督
助監督仕事は多岐にわたります。エキストラの皆さんに動きをつけたり、現場を仕切ったり、暑い日は役者さんが演技に集中できるように日傘をさしたり、演出のお手伝いをするのが助監督です。
助監督にはさまざまな仕事がありますが、エキストラの一員として出演することもあります。真田丸では槍兵として出演しています。槍兵はいわゆる雑兵。装備も軽そうです。半袖、短パン。鎧も薄いです。なので、いくら9月のロケといってもとても寒い。また足元も草鞋なので、泥まみれになります。槍の持ち方をベテランエキストラの先輩方に教わりながら、その所作を覚えていきます。行軍のシーンでは、何度も何度も同じ道を行ったり来たり。エキストラの皆さんの仕事の奥深さを体験します。
助監督には必須の小さいショルダーバッグ。通称・ADバッグ。小さいそのバッグには撮影に便利なさまざまなものが入っています。バミリと呼ばれる役者さんの立ち位置を示すテープなど、必要な物がないと困る。入れすぎても動きづらい。過不足なく選びぬかれたものたちだけが入っています。
ロケの最大の敵は、なんと言っても雨!と言っても過言ではないぐらい、スタッフみんなが雨を恐れています。そこで活躍するのがてるてる坊主。役に立つのかって?立つんです!みんな信じています。
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