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おんな城主直虎 第42話のあらすじとネタバレ!「長篠に立てる柵」

10月22日放送の大河ドラマ「おんな城主 直虎」
第42話「長篠に立てる柵」の詳細なあらすじです。

前回(第41話)はこちら。
おんな城主 直虎 第41話のあらすじ「この玄関の片隅で」

ネタバレ注意!

おんな城主直虎 第42話「長篠に立てる柵」あらすじ

天正3(1575)年5月。
徳川・織田の連合軍は、長篠城の西方に広がる設楽ヶ原に着陣した。信長の差配で土塁を築き、空堀を掘り、延々と続く柵を設けるという普請がすでに進んでいる。
この馬防柵のために、大量の材木が調達された。

この戦況におもしろくないのは、徳川の家臣たちだ。家康の祖父の代から仕えており、忠義心があつい大久保忠世は、こんなことを口にした。

忠世「あまりにも無礼ではないか。織田はあくまでわれらの援軍。その援軍がわれらの戦を仕切るなど…」

今にも織田の陣に怒鳴り込みそうな勢いだ。
ところが、軍議の席で、徳川方は完全に沈黙することになる。

「こたびの戦は、主に鉄砲を用いたいと存じます」
織田の重臣の言葉に、家康は当惑している。

信長「徳川がいまだ武田に勝てぬのは、そなたがあくまで武田と同じやり方で戦おうとするからじゃ」

信長はそう言うと、刃のごとき眼光で皆を見回したのである。

信長「ならば、向こうをこちらの望む戦場に引きずり込んでしまうがよいと思うが。違うか」

援軍とはいえ、織田の兵は徳川の3倍近かった。そのうえ、立場も織田が主家に近い。なによりも信長の発する言葉の重圧に、異を唱える者など1人としていなかった。

留守を預かる将兵と共に浜松城に残った万千代は、一人で思い屈していた。留守居が大事な役目であることは理解している。だが、万福と正信が、

「役目に励めと言われても困りものですね」
「ご登城の方々は少ないし、草履番はのぅ」

ボソボソ話しているように、やることがないのだ。
 
えぇい、こうしていてもしかたがない。
万千代は袴の裾を払って立ち上がると、掃除をしている万福に声をかけた。

万千代「この際、作り直そう。段をもう少し低くして、棚を増やせば、より多くの草履を入れられよう」
万福「…草履棚のことにございますか?」
万千代「日の本一の留守居をと仰せつかったのだ。俺は丸太で失ったものを、留守居で取り戻す!」

言うが早いか、万千代は棚をバリバリと壊し始めた。


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設楽ヶ原の徳川陣営には、岡崎から兵を率いて布陣した家康の嫡男・信康の姿もあった。夜には、父子で碁を打ちながら語り合った。信康は、名物の茶碗をやろうかと、信長から持ちかけられたことを話した。

信康「無礼にならぬよう、お断りいたしましたが…」

信康の妻・徳姫は信長の娘で、2人は義理の親子に当たる。信長の所有する茶碗なら、城が1つ建つほどの価値があるだろう。裏に何かあるのではないか、といぶかりつつ、家康は笑みを浮かべて返した。

家康「織田の舅殿としては、そなたともっと近しくなりたいのであろうの」
信康「それは難しゅうございますよ」

思わず息子の顔を見る家康に、信康も笑顔で言った。

信康「あの方は常なる人ではございませぬ。私は人の子にございますゆえ」

小姓頭は小五郎といった。その男が、少し頼みたいことがある、と、珍しく万千代に声をかけてきた。

連れていかれたのは、穂先や矢尻が錆び、あちこちが傷んだ槍や弓、矢などが山積みになった蔵だった。

小五郎「お主ら、槍の手入れはできるか」
万千代「できぬ武家などおらぬと思いますが」

すると、小五郎と連れの男が含み笑いを見せた。

万千代「何か?」
小五郎「いや、井伊というのは戦はからきしの家、逃げ回っておるばかりじゃったと聞いておったゆえ。槍など使うたことがないのではないかと思うてな」

万千代「それはここ20年ほどの話、井伊は古くは八介*1!武門の井伊といわれたお家にございます!」

*1八介

代々「介」の官職を務め、当主が名字に「介」を付す尊称を許された八家。井伊家当主は「井伊介」を名乗った。

小五郎「悪かった悪かった。では頼んでもよいか? われらはほかの役目もあってな」

怒りと反発心、そして実績を求める「飢え」を利用し、仕事を押し付けようとしているのが分かった。それでも万千代は、武具の手入れを引き受けた。すべて完璧に直せば、それなりの働きということになろう。

「あのような雑魚ども、小姓に上がればあっという間にごぼう抜きにきて、あごで使うてやる…!」
 

武田と徳川の戦いは、5月21日未明に火蓋を切った。
徳川の別働隊が、長篠城を囲む武田軍を背後から奇襲。血気にはやる勝頼は、日の出を待って軍を動かし、設楽ヶ原へ突撃させた。その騎馬隊が馬防柵に達しようとしたまさにそのとき、無数の鉄砲が火を噴き、武田の将兵はなすすべもなく次々に倒れていった。

ここで信長は全軍に総攻撃の命を下す。信玄依頼の名将の多くが戦死し、最強と呼ばれた武田軍は崩壊。勝頼は、わずか数騎の従者とともに敗走した。


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圧勝に終わった長篠の勢いを得て、家康は武田方となっている遠江の諸城に攻めかかった。戦いの数日後、浜松城の蔵に、使者の大きな声が鳴り響いた。

「できておる分でかまわぬゆえ武具をまとめよ。急ぎ、兵糧・武具を届けよとのお達しじゃ!」

万千代「…き、来たあぁ!」

コツコツと作業を続け、武具の修繕と手入れはほぼ終わっている。命じられるまま万千代たちは、重い兵糧の荷をまず城の庭へと運んだ。そこで見たのは、家臣のもとへ武具を運んでくる小五郎らの姿だった。

小五郎「なんと! これほどに蓄えてあったか」
万千代「はい。かようなこともあろうかと、昼夜を徹し。それがしも、陣中にお届けしたく存じます!」

万千代「われらもお連れくだされ! その槍弓を直したのは、私と万福にございます!」

小五郎「井伊殿。気持ちは分かるが、偽りはようないぞ」

いつになく生真面目な表情になって、小五郎が言った。

「今川の、しかも潰れた家の子。何から何まで己の働きとし、お目に留まりたいのはよう分かるが」

家臣が侮蔑の表情を浮かべ、小五郎らとともにその場を離れた。追おうとする万千代を正信が引き止めた。

正信「言っても無駄にございますよ。あれは酒井の一門の輩。立場が悪うなるだけにございます」

拳を握る万千代に、正信は続けた。

正信「向こうが徳川での権勢を誇る家の子を強みとしてくるなら、こちらは今川の国衆の、しかも潰れた家の子であることを強みとしてはいかがです? さすが潰れた家の子、いやあっぱれ! そう言わせるのです」

万千代「ではノブは、さすが裏切り者と言わせるのか!」

正信「もちろん、そのつもりにございます」

正信は明るく笑っている。
そんな様子を万千代は圧倒される思いで見ている。

正信「殿がかようにはみ出し者の私どもを迎え入れたのには必ず意味があるはずです。殿を信じ、いつか時が来るのを待ち、バッと前に出るのです」

正信の言葉は、不思議と胸にしみた。万千代は蔵に戻り、わずかに残った槍の手入れを続けた。

秋になった。
各地で転戦を重ねていた家康と将兵たちが、数ヶ月ぶりに城に戻った。ささやかな宴が催されたその夜、玄関の掃除をしていた万千代は、とんでもない言葉を榊原康政から囁かれた。

「急ぎ殿の寝所へ」

え。寝所?
全身が粟立つのを万千代は感じた。

康政「粗相のないようにな。着物も取り替えるよう」

康政はそそくさと立ち去った。ごくりと唾をのみ、万千代はすぐそばで口を開けている万福を見た。

万福「これはその、そういうこと、なのかの。徳川の殿は、そちらは好まぬとお聞きしておったのじゃが…」

織田家の前田利家、森可成などは、主君と契りを結んだうえでの出世だったと聞く。となれば…。

万千代「これこそが、酒井の一門を追い落とすために御仏がくださった好機だ。万福、新しいふんどしを持て!」
 

万千代は覚悟を決めると、力み返って家康の寝所に赴いた。
ところが、あっさりと肩透かしを食らった。

万千代「ち、違うのでございますか!? 榊原様に着替えて寝所に伺うようにと言われ…」

家康「あまりにも汚れておったゆえにであろう」

草履番の誤解を笑いに笑った家康は、真顔に戻って言った。

家康「あの槍弓を整えたは、そなたと万福か? いつもよりずいぶんと細かく手入れされておったゆえ、新しく入った者がやったのではないかと思うてな。草履棚も様変わりしておったし」

やはり殿は、見てくださっていたのだ。目尻に浮いた涙を拭う万千代に家康はこう続けた。

家康「明日より常の小姓として務めよ」
万千代「あ、ありがたき幸せに存じます…」
 

[次回] 第43話「恩賞の彼方に」あらすじとネタバレ  

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