10月15日放送の大河ドラマ「おんな城主 直虎」
第41話「この玄関の片隅で」の詳細なあらすじです。
前回(第40話)はこちら。
おんな城主 直虎 第40話のあらすじ「この玄関の片隅で」
ネタバレ注意!
おんな城主直虎 第41話「この玄関の片隅で」あらすじ
万千代たちが小姓に上がる条件とは、草履番の後釜を育てる、というものだった。
そこへ連れられてきた男を見た万千代は、暗然たる思いになった。ヘラヘラにやけた男で、新入りのくせに40歳近くに見える。こいつを指南して一人前にしろというのか…。
その男はノブと名乗った。
万千代はこの男を徹底的に厳しく鍛えることにした。とにかく早く一人前にして、小姓に取り立ててもらわねばならぬのだ。
ところが、ノブは仕事がのろく、作業はたちまち停滞した。覇気、やる気といったものも感じられない。
万千代「若いほうが覚えもよいに決まっておる。もしかするとこれは、俺らを小姓に上げぬ策略ではないのか?そのためにわざと抜け作をよこしたのではないか?」
万福「上げぬつもりならば、そもそも人はよこさぬかと。しかし若、何やら妙な気配を感じませなんでしたか?」
万福が言うには、ノブを見て、ぎょっとした顔になったり、気色ばんだりする者が何人かいたという。
「見慣れぬ奴がおったからではないか?」
そんなことより、早々になんとかしなければ。万千代の頭は、ノブを一人前にすることでいっぱいである。
そのころ井伊家では、松下家の後継者選びが進められていた。真っ先に白羽の矢が立ったのは、中野直久である。
直久は承諾し、話はすぐにまとまった。松下の意向を伝えに来ていた六左衛門が、口を開いた。
六左衛門「私はこちらへ戻りたいのですが…虎松様の守役もお役御免にございますし、松下におっても単なる居候のようで、どうにも…」
井伊谷に戻るとなれば、仕える先は領主の近藤家になる。直虎は近藤の居館に赴き、近藤の家臣である直久の養子縁組みと、六左衛門の帰還を願い出た。
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浜松城で事件が起こった。
普段は温厚な本多忠勝が、背後からノブを締め上げたかと思うと、玄関の土間に頭から叩きつけたのである。
忠勝「今すぐ出て行け! この恥知らずが!」
忠勝は刀まで抜き放っている。
ノブはじりじりと後ずさりして離れながら、引きつった顔で訴える。
ノブ「大久保様のお引き立てで…殿もこちらへと…もう10年も前のことではございませぬか!」
忠勝「出て行けと言うておる!」
そこに榊原康政が現れ、2人の間に割って入った。
康政「こらえてくれ。お前の気持ちは殿にお伝えするゆえ、頼む。俺の顔に免じて…!」
忠勝は刀を鞘に収めると、足音荒く立ち去っていった。それを確かめてから歩きだす康政を、万千代は慌てて追いかけた。
万千代「榊原様、あの者は一体…?」
康政「あやつは三河の一向一揆で門徒側に加わり、殿に刃を向け、挙句の果てに他国へ逃げた者じゃ」
本多一族の者で、名は正信。忠勝からすれば斬って捨てたいような、身内の大恥なのだという。
万千代「何ゆえ、さような者をわれらの下に…?」
康政「殿のご差配じゃ。そなたらが口を出すことではない」
立ち去る康政を茫然と見送るだけの万千代だった。
その頃、武田がまたしても動きを見せ始めた。
信玄の喪に服してしばらく自重していた嫡男の勝頼だったが、ついに行動を再開した。三河、遠江に侵攻すると、徳川方のいくつもの城を次々と落としていった。そして、主要な城である長篠城を2万余の兵で包囲していた。
康政「石川殿。織田はどう言うておるのじゃ」
数正「あまたの援軍をよこしてくださるそうです。しかしながら、徳川に急ぎ調えてもらいたいものがあると」
織田方が調えてほしいものとは、3千本もの丸太であった。万千代はそれを、ノブを通じて大久保忠世から聞き出した。忠世は、正信の徳川家帰参に力を貸した人物であり、2人は今も懇意にしている。
俺にも運が巡ってきた。
万千代はほくそ笑み、家康への強引な注進に及んだ。
万千代「武田攻めのお話を小耳に挟み、私にもお役に立てることがあるのではないかと」
井伊が以前、材木を商っており、その折に手だれの者たちを雇い入れたこと、そのときの技は、今も井伊谷の者に受け継がれていることを万千代は話した。
万千代「それがしにもぜひ、一部材木の手配をお申し付けいただけませんでしょうか」
家康「…で、そなたの望みは」
万千代「初陣を飾らせていただければと」
万千代からの書状が南渓のもとに届いていた。
その書状を読んだ直虎は、大きなため息を漏らした。
500本の木の切り出しと戦場への運送を頼んできたのだ。
それによって虎松が初陣を飾り武功を立てれば、一目置かれることは間違いない。それを狙ってもいるのだろう。
とはいえ、井伊谷は今では近藤家の所領だ。杉一本であっても勝手に切るわけにはいかない。そこの道理が分からず、井伊谷を我がものであるかのごとく頼みをよこすとは、なんという未熟者なのだろうか。
直虎はすぐに家康に宛てて文を書いた。
取り次ぎを通さず、直接手渡すようにと、家康と親交のある瀬戸方久に託した。
その内容とは、万千代を甘やかさないでくれ、そして、材木調達の役は近藤殿に命じてほしい、というものだ。
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成果はすぐに現れた。
近藤から呼び出しがあり、直虎は居館に足を運んだ。
丸太を500、10日のうちに用意せよと徳川から達しがあったことを告げられた。
直虎「それは大層急がねばなりませぬな」
近藤「しかしながら、近藤には切り出しに詳しい者はおらぬ。そなたの知り合いで誰か任せられる者はおらぬか」
直虎「すでに、ご家中におるではないですか。…奥山六左衛門にございます」
近藤「…あ、あの薄のろか?」
武辺と篤実、主従の折り合いがよくないことは六左衛門から聞いていた。直虎はにこりと笑いながら言った。
「井伊が材木の商いをやっておりました折、切り出しから運送、人足の手配まで、すべてを引き受けておりました。役目を任せられてはいかがにございましょう」
あの話は、なしということでな。
家康に言われ、万千代は愕然となった。
家康「あの土地は近藤に安堵したものであるし。ならば、近藤に頼むが筋かと思うてな。頼んだ」
万千代「し、しかし殿! この策は私が考えましたもの! 考えた褒美に、何とぞ初陣を」
家康「戻ったら小姓に引き上げてやるゆえ、こたびは留守居を命ずる。日の本一の留守居、励むがよいぞ」
家康は笑いながら言い、去って行った。
あの腐れ尼じゃ。われ知らず、万千代は呟いていた。
「裏から手を回し、握り潰したに決まっておる…」
今や井伊直虎こそが、最凶最悪の敵となっていた。
[次回] 第42話「長篠に立てる柵」あらすじとネタバレ [no_toc]
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