7月9日放送の大河ドラマ おんな城主 直虎
第27話「気賀を我が手に」の詳細なあらすじです。
前回(第26話)はこちら。
おんな城主 直虎 第26話のあらすじ「誰がために城はある」
ネタバレ注意!
おんな城主直虎 第27話「気賀を我が手に」あらすじ
気賀の商人を引き連れた中村屋(本田博太郎)が、直虎(柴咲コウ)に訴え出た。
中村屋「気賀を、大沢様に代わって、井伊様にお預かりいただくわけにはまいりませぬか」
直虎はあっけにとられた表情で見やっている。
さらに中村屋は続けた。
中村屋「あのあと、皆で話し合ったのですが、どう考えても、井伊様にお引き受けいただくほうが話が早く、確かなのではないかと」
直虎「しかし、それは今川の命ゆえ…」
中村屋「私どももできることは何でもいたしますゆえ。どうか気賀をお助けいただけぬでしょうか」
直虎が躊躇していると、方久(ムロツヨシ)が横から「やりましょう」と身を乗り出した。
方久「申し合わせたかのような巡り合わせ。これはもう天命にございましょう!」
この話は一旦保留にし、直虎は政次(高橋一生)に相談を持ちかけた。
政次「殿が思いとどまられるとはお珍しいですな」
碁を打ちながら政次が言った。
政次「しかし、戦をせずに気賀が取れるならば、こんなにうまい話もございませぬな」
直虎「但馬はこの話、乗ったほうがよいと思うのか」
政次「浜名の湖へとつながる水運を考えると、やる値打ちはあると思います。あとは、殿のお心一つかと」
気賀の民には何かと世話になっていることもあり、自信はないものの、直虎には報いてやりたいという気持ちが強かった。
しばらく考え抜いた結果、直虎は引き受けることに決めた。
方久「大事のうございますよ。私が思うに、さほど難しいことではございませぬゆえ」
方久はあっけらかんとしている。
直虎「一体どのような策を考えておるのじゃ」
方久「関口様に口添えいただけるよう頼もうと思います」
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関口は井伊の目付、すなわち見張り役だ。
直虎の脳裏に、関口の陰険な表情が浮かんだ。
方久「だからこそ、取り入る隙があると思うのでございます。まぁ、私にお任せくださいませ」
その後すぐに方久は動き出した。
南蛮渡来の貴重な香を手土産にして関口に会いに行った。気賀が井伊家預かりとなれば、港の稼ぎの一部を差し上げたいと話を持ちかけた。
関口は簡単に方久の手に落ちた。
直虎「銭の力とは、まこと凄まじいものじゃの…」
さらに方久は、駿府を訪れた。関口が段取りをして、氏真(尾上松也)と謁見する機会を得たのだ。
方久が挨拶の口上を述べているところに、今川の家人が駆け込んできた。
「火急のお知らせにございます!」
届けられた文を読んだ氏真は、顔を紅潮させた。さらに、脇差しを抜くと掛け軸を切り裂いた。
氏真「どいつもこいつも、余をばかにしおって!」
幽閉されていた武田信玄の嫡男・義信が、自害したという内容だったのだ。
武田義信の正室は氏真の妹で、武田家と今川家の同盟締結の際に結ばれた縁談だった。
今川の塩止め令で何度も牽制したにも関わらず自害に追い込んだということは、武田はいつでも今川を切り捨て、戦になる日も近いという意思表示をされたようなものだ。
大沢は戦に強いことで名を馳せており、この時期に井伊に首をすげ替えることは考えにくい。
方久の申し出は日を改めて、好機を見て実行することになった。
後日、直虎は中村屋からおもしろい話を聞かされた。
気賀を出ていったと思われていた龍雲丸(柳楽優弥)が、手下とともに根城に留まっているという。さらに、拒否反応を示していた城の普請を請け負いたいと言い出したのだというのだ。
龍雲丸は、いくつかの城の絵図を集めつつ、その城内に忍び込んで内部の様子を探っていた。そして大沢の了承を得たうえで、新たに築城する城の絵図を描いているところだということだ。
直虎が急いで根城へ向かうと、龍雲丸の姿があった。
直虎「何ゆえじゃ。 …何ゆえ出ていかなかった!」
龍雲丸「いちゃ悪いんですかい」
直虎「何がなんでも出ていくようなことを言うておったではないか!」
龍雲丸はのんびりした調子で、描きかけの絵図を指で指した。
「せっかくですし、見に行きますか。城の普請場でも」
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連れて行かれたのは船の上だった。苛立ちが収まらない直虎は、龍雲丸に声をかけた。
「まだ着かぬのか。とろくさい」
龍雲丸は何も答えないまま、碇を投げ下ろした。
そこは湖の真ん中。直虎は狼狽した。
直虎「え? な、何をしておる」
龍雲丸「泣いてもわめいても、誰も助けに来ませんぜ」
そう言うとニタリと笑い、龍雲丸が近付いてきた。
もう逃げ場はない。直虎は水の中に飛び込もうとしたところ、龍雲丸が慌てて声を放った。
龍雲丸「違いまさぁ! 嘘でさぁ!」
直虎「では何ゆえ、かようなところに停めた!」
龍雲丸「ここなんでさぁ。城、ここに造るんでさぁ」
直虎は驚いた。辺りは一面、水しかない。
龍雲丸「潮が引けば、この下は中洲になるんでさぁ」
ここに城を造れば、近づけるのは潮が満ちているときだけ。しかも船を持つ者に限られる。
龍雲丸「潮が引いていても、ぬかるんでて馬は来れねえ。泥田舟がありゃ進めねえこともねぇが、遅えし、大勢で攻め込むなんてこたぁ難しい」
水軍で攻め寄せる手もあるが、湖の周囲は今川方の国衆が囲んでおり、その戦術は考えにくい。
龍雲丸「もし、この世にあったほうがいい城なんてものがあるとすれば、こういうもんなんじゃねえかって思ったんでさぁ」
直虎「捕まらぬための城か」
龍雲丸「根が盗人なもんでね」
直虎「…よいのではないか。実によいと思うぞ」
龍雲丸は笑いながら、碇を上げた。
見上げた空には、雲が浮かんでいる。
直虎「雲も何か城に関わりがあるのか? 以前、空に雲があるから仕官はできぬと」
龍雲丸「…大した話ではねぇんで」
直虎「大したこともない話で井伊は袖にされたのか」
直虎に迫られた龍雲丸は、己の過去を語り始めた。
父親が守っていた城が落ちて逃げ延び、盗賊団に拾われたのだという。
ところが、その一味はお縄になり、ふたたび一人になった。そのとき見た空に、大きな龍雲が出ていたというのだ。
龍雲丸「その雲を見ていて、これから先は、何にも誰にも縛られず、己の心に従って生きてやるんだと決めたんでさぁ。けど、気付いたら、仲間に縛られ、町に縛られ。ざまぁねえでさ。」
直虎「放下着(ほうげじゃく)*じゃな。縛られぬということに縛られておったのじゃな、頭は」
龍雲丸「…説教くせえ」
直虎「尼じゃからの」
煩悩執着はもちろん、仏や悟りまで一切を捨て去れ、という禅語
直虎は、彼がこれまで続けてきた孤独を考えていた。
直虎「頭は心の奥深いところでは、奪われてきたものを取り戻したいと望んでおったのではないか?」
龍雲丸「尼小僧様はいつも俺の考えつかぬことを言う」
大沢からは築城を急げとしか言われていないという。
龍雲丸「ほかの普請も多いんじゃねぇですかね。大沢はいくつも城を持っておるようでしたし」
そのとき、直虎は策を思いついた。
大沢のほうから、手を引きたいと言わせればいい。
「そうすれば、そこに井伊が滑り込める…」
さっそく方久が動いた。
大沢基胤(嶋田久作)と対面し、気賀がどれほど治安が悪い土地であるか説明した。さらに、今回の分裂騒ぎを裏で収めたのは直虎であると話した。
方久「井伊と気賀には、商いを通じて深い誼(よしみ)がございます。それがゆえに収まったようなもの。いきりたち、謀反をと言いだす輩もおったそうにございます」
井伊の民がその気になれば、徳川や武田と通じることは難しくないだろう。そんな危険な土地の足下から火をつけることもないのではないか、と説得した。
方久「お家のために、一つ大沢様の口から井伊をご推挙いただけませぬでしょうか」
この話を聞いて不安に陥った大沢は、今川氏真に目通りしたうえで、井伊への譲渡を申し出た。
大沢「わが大沢家が浜名東岸の守りを固めるためにも、気賀は誼の深い井伊にお任せしていただけぬかと」
方久「井伊も一丸となり、太守様のおんために銭を稼ぎ出そうと思うております」
関口「恐れながら、私もこの者らの申すとおりかと」
氏真は不機嫌になって言った。
「…好きにせよ。どうせ余は能なしじゃ」
ようやく気賀は井伊家が治めることになった。
すぐに城の普請が始まり、年が開けて春になる頃、堀川城という新しい城が完成した。
湖に浮かぶ城を手に入れた直虎。
新たな船出で井伊家を率いていくこととなる。
大河ドラマのノベライズ版はこちら。
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