おんな城主 直虎 第18話のあらすじとネタバレ!「あるいは裏切りという名の鶴」

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母の言葉が引っ掛かったまま、直虎は自室に戻った。
南渓から借りた書物を読んでいると、とある言葉が目に入った。
「敵を欺くには、まず味方から…」

それを見た瞬間、これが答えなのだと閃いた。
政次はずっと欺いていたのではないのか…。

種子島の件もそうだ。
わざわざ後見を降りるよう迫る必要はない。最初から駿府へ注進に行けば済むはずだ。
回りくどいことをしたのは、直虎も虎松も救いながら、後見から降ろすためだったのではないだろうか。

今川には犬のように見せかけ、井伊からは嫌われることで、一人で矢面に立ち、自分の手で井伊を守るつもりではないか。
直虎はいつしか、政次の姿を探し求めていた。

政次は龍潭寺の井戸端にいた。
直虎「敵も味方も欺くことで、守る。そういう手があるのじゃな、兵法というものには」
口を開かず不思議な表情をしている政次に、直虎が続ける。

直虎「われは種子島を備えることで、井伊を守ろうと思っておった。それが今川のもとに渡り、この先どうなるか分からぬ。そなたがわれなら、どうする?」
政次「何ゆえ、それがしにさようなことを?」
直虎「誰よりも深く、井伊を守る策を考えておるのは、そなただからじゃ」

睨み合うかのように視線を合わせていた二人だったが、やがて双方とも優しい表情に変わっていた。
直虎「政次。われはこの身を直親の移し身とすることを、誰に強いられるでもなく己で選んだ。この手で井伊を守ると、われは己で決めたのじゃ」

政次はじっくり聞いている。
直虎「われが女子であるから守ってやらねばならぬとか、つらい思いをせずともすむようになどと思っておるのなら、お門違い。無用の情けじゃ。われをうまく使え。われもそなたをうまく使う」

風が駆け抜け、木の葉がざわめく。
政次「私ならば、戦わぬ道を探ります。戦に戦わずして勝つ。もしくは戦いに及ばずともすむよう死力を尽くす。それが大国に挟まれた小さな井伊が生き延びる唯一の道かと考えております」
直虎「…よいな。実に但馬らしい…」

二人はかすかに笑みを交わした。
政次はすぐに真顔になると、語りだした。

政次「武田の嫡男・義信様が、謀反のかどで父君の信玄公に幽閉されたようにございます」
直虎「…父が息子を幽閉したのか?」
政次「大事なのはそこではございませぬ。義信様は太守様の妹君の夫。つまり、武田と今川との同盟が崩れかけてきておるということです。いつとは言い切れませぬが、いずれ、武田は今川に牙をむいてきましょう」

直虎「戦わずにすますためには、武田の動きに目を配っておきたいということか」
政次「武田…そして、松平にございます」

直虎には、政次の心の中にあるもう一つの真意が見えた気がした。
井伊家は今後、今川家と武田家、松平家の思惑に揺り動かされることになるだろう。巻き込まれ、命が危うくなる前に、後見から降りろ。
きっとそう考えているに違いない。
政次の中に秘めた優しさが、直虎の胸にしみた。
 

季節はいつしか秋を迎えていた。
井伊谷では初めての、綿の収穫が行われていた。
実りの情景と領民たちの収穫の様子に、領主として格別のものが込み上げていた。

[次回] 第19話のあらすじとネタバレ!「罪と罰」

 
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