4月9日放送の大河ドラマ おんな城主 直虎
第14話「徳政令の行方」の詳細なあらすじです。
ネタバレ注意!
おんな城主 直虎 第14話「徳政令の行方」あらすじ
百姓たちは祝田の蜂前神社に相談を持ちかけ、禰宜を通じて今川家に徳政令を直訴したのだという。
その話を聞いた直虎(柴咲コウ)は、茫然となった。
しかし、方久(ムロツヨシ)は落ち着いている。
方久「徳政令が出されれば、瀬戸村と祝田村の民はどうなるでしょう」
直虎「望みどおりなのだから、喜ぼうな。井伊よりも今川をと望むかもしれぬ」
方久「となれば、両村は誰が治めることになります?」
直虎は気付いた。政次(高橋一生)だ!
方久「要するにこれは、民の訴えを隠れ蓑とした、小野様の乗っ取りなのでは」
方久の読みは見事に当たっていた。
政次は、村を治める新野家の娘や、虎松の母・しの(貫地谷しほり)を抱き込んでいたのだ。
政次は、虎松に対する直虎の後見は望んでいないという内容の、しのからの一筆を手に入れていた。
また、徳政令を井伊に命じる今川家の朱印状も手にしていたのだ。
政次の動きは早かった。
中野直之(矢本悠馬)、奥山六左衛門(田中美央)の2人の重臣もすでに抱き込んでいた。
直之「瀬戸村と祝田村を返し、方久を家臣から除くこと。それがなされぬのならば、われらは直虎様をご領主とは認めぬ。これは奥山、新野、中野の総意でござる!」
直虎「では、誰が虎松の後見をするというのじゃ」
直之「但馬殿にやってもらう」
直虎「そなたら、気は確かか?」
直之「確かじゃ!但馬は領地を元通りにし、百姓どもの不満も収めてみせるという。どちらが頼りになるかは明らかじゃろう」
そのとき、政次が到着した知らせが届いた。
政次は、今川からの下知だと言って、書状を差し出した。
政次「高利貸しに苦しんでいる民を助けるべく、井伊より徳政令を出すようにとのことにございます」
直虎は書状を受け取ると、緊張して目を通した。
すかさず政次が言った。
政次「つきましては、直虎様より速やかなるご発布を」
直虎は戸惑った表情を見せた。
しかし、この表情は芝居だった。
方久や南渓(小林薫)と相談したうえで、とある筋書きを描いたのだ。
直虎「発布したいのはやまやまじゃが、実は…」
困惑した顔で方久を見やった。
方久は弱りきった様子で口を開いた。
方久「やはり、いきなり私が所有するというのは風当たりが強いかと、瀬戸・祝田の土地を龍潭寺に寄進してしまったのでございます」
政次は驚き、鋭い表情になった。
直虎は、今川の『仮名目録』を取り出した。
「これによると、寺領に関しては『守護不入』とあったはず」
これでは、今川家といえど手が出せない。
政次は、直虎を強く見つめると、ゆっくり語った。
政次「今川のお沙汰を、はねつけるとおっしゃるのですか」
直虎「そうではない。奇しくも、発布ができかねる様子となってしまっておるというだけのことじゃ」
政次「…なるほど。では、駿府へはその事情を申し上げ、お返事といたしましょう」
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政次が去ると、直之は納得がいかないという顔で声を荒らげた。
直之「意味が分かりませぬ。今川よりの徳政があれば、百姓は収まる。そこなる商人も、井伊に返済を迫ることはできなくなりましょうに」
直虎「あれをのめば、結局、瀬戸も祝田も但馬の土地になるのじゃ。方久に土地を預けるのは、これからの井伊のためじゃ」
直虎は続ける。
直虎「今の井伊には、金もなければ人もおらぬ。なんとかするには、裸一貫から成り上がった方久のような者の才覚が、新しいやり方が要るのじゃ」
直之「その者と、男女の仲でもおありになるのか?」
直虎は呆れ、言葉を失った。
直虎「とにかく、瀬戸と祝田を返していただかぬかぎり、われらは但馬を後見に望む」
そう言い残すと、六左衛門とともに去っていった。
翌日、とんでもない事件が起こった。
方久が何者かにさらわれたのだ。
さらに、百姓からの脅しの文が直虎のもとに届けられた。
ほとんど読めないような片仮名で綴られていた。
これを仕掛けたのも政次に違いない。
百姓に近い禰宜を使って彼らを操ることで、こんなことをさせたのだろう。
直虎は村に向かい、百姓たちを探し回った。
ところが、瀬戸村も祝田村も静まり返っており、人の姿が見当たらない。
疲れきった直虎は、神社に向かった。
境内には台が置かれ、筆と硯、紙まで用意されていた。
直虎「手回しのよろしいことで…」
悔しさで震える手を押さえながら
「徳政の発布はゆめ疑いなし」
と書くと、日時と署名を残した。
そのとき、1匹の亀が現れた。
先ほど書いた書状の上に乗ると、動きを止め、動かなくなった。
直虎「これ、どけ、亀。…亀」
久しぶりにその名前を呼んだ。
紙の上に居座る亀の姿は、直親(三浦春馬)の意志を伝えにきたかのようだ。
直虎「これは違うと言うのか?亀…」
直虎はフッと笑いかけた。
「そうか…われも違うと思うぞ」
直虎は亀を持ち上げると、書状を引き裂いた。
この問題をどうやって解決したらいいのか…
直虎は考えながら神社の境内を出て歩き出した。
目の前には田が広がっている。
苗代の若い緑が目に入った。もう田植えができるほど苗は育っている。
直虎は、苗代の緑を見つめながら、考えを巡らせた。
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翌朝、直虎は傑山(市原隼人)と昊天(小松和重)、小坊主たちを引き連れて、瀬戸村へ向かった。
若い苗は育ちすぎると、田に根付きにくくなり、稲の実りも少なくなってしまう。
村から逃散した百姓たちも、苗の様子が気になって焦り、きっと戻ってきてくれるだろう。
直虎はそれに賭けたのだ。
直虎たちは、田植えを始めた。
すると、すぐに人の気配を感じた。
直虎が見やると、大勢の百姓がこちらを見つめている。
直虎「お主らの稲が育たねば、われらも困るからな。勝手だが田に入らせてもらった」
老農夫の甚兵衛は、拳を握って言った。
甚兵衛「直虎様は借金のかたに方久に瀬戸を売ったんでぇ。かような狂言で、わしらがほだされるとお思いけ!」
直虎「確かに私は瀬戸村と祝田村を方久の土地とした。だがそれは、井伊の借金をなくすためではない」
方久には年貢が入り、それによって百姓の返済を猶予させる。
このことを丁寧に説明した。
甚兵衛「ふんでも、借金はなくなりゃあせんにぃ!」
徳政のほうがいいと言う百姓たちを、直虎は一喝した。
直虎「方久は欲深じゃ。なれど村を任せれば、そなたらが今より潤い、おのずと借りが返せるような仕組みを作ると言うてくれた」
甚兵衛「そんだって、禰宜様は…」
直虎「われと禰宜と、どちらを信じる!」
直虎は続けた。
「まず、村を潤し、それは方久を潤し、やがては、井伊を潤す。われは皆と、そんなふうに井伊を作っていきたいと思うておる」
百姓が1人、また1人と田に足を入れ、田植えを始めた。
いつしか皆が横一列になって、並んで田植えをしていた。
直虎は、体中の力が抜けるのを感じた。
何日も続いていた緊張がほぐれ、安堵の表情で田植えの情景を眺めていた。
奥山六左衛門も田植えの列に加わっているのが見えた。
翌日、直虎は百姓たちと話す場をあらためて設けた。
望みはないか尋ねると、若い百姓が言った。
百姓「字を教えていただきてえで。文書くときもさ、皆でさんざ難儀してやあ」
間違いだらけの文を思い出した。
直虎は笑いながら、南渓に頼んでみると誓った。
新野の娘と、しのの土地についても結論を出した。
それぞれ祐椿尼(財前直見)の所領とすることと、川名の一部を渡すことで決着させようと考えていた。
ところが、しのの考えは頑なだった。
しの「祝田をお返しくださらぬかぎり、直虎様を虎松の後見とは認めませぬ!」
しのとともに、もう一つ大きな懸念があった。
徳政令発布を無視された今川の反応だ。
それは、最も恐れていた形で、井伊に襲いかかることになるのである。
[次回] 第15回のあらすじとネタバレ!「おんな城主対おんな大名」
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