3月19日放送の大河ドラマ おんな城主 直虎
第11話「さらば愛しき人よ」の詳細なあらすじです。
ネタバレ注意!
おんな城主 直虎 第11話「さらば愛しき人よ」あらすじ
夜が明けた。
すっかり力が抜けてしまった瀬名(菜々緒)を、役人が館から引きずりだした。
次郎(柴咲コウ)がその背後から追いすがる。
次郎「まだ引導を渡しておらぬのじゃ!
きちんと念を払わぬと、祟りが残りますぞ!」
そこへ、馬に乗った武将が駆け付けた。
「松平元康が家臣、石川数正と申す!」
石川数正が言うところによると、自害した上ノ郷城の城主・鵜殿長照の2子を捕虜にして、これを人質交換に使うのだという。
元康(阿部サダヲ)は、瀬名たちを見殺しにはしなかったのだ。
この奇策が功を奏し、瀬名と竹千代、亀姫は岡崎に送られることになった。
一方で、犠牲を払うことにもなってしまった。
瀬名の母・佐名(花總まり)とその夫は、娘婿の謀反で自害を命じられた。
次郎には、手を合わせて読経することしかできなかった。
次郎が井伊谷に戻ってしばらくすると、山伏が訪ねてきた。
松平元康の使いだという。
山伏「瀬名様を救っていただいたお礼です。
こちらを井伊の殿に」
そう言うと、進物と書状を手渡した。
書状には、直親(三浦春馬)を鷹狩りに招きたいという内容が書かれていた。
これを読んだ直親は、政次(高橋一生)にも目を通すよう手渡した。
政次「かようなものを目付に見せ、どうなさるおつもりで。
内通をするぞと言っておられるようなものではないですか」
直親は、笑顔で返した。
直親「だから、最後は政次に決めてもらいたくてな」
政次「またこれか…」
直親「今川はもう立ち直れまい。
その道連れになるのはまっぴらじゃ。
となれば、どこかで松平と接触せねばならぬ」
政次「…俺とて、今川と共倒れなどごめんだ」
直親は、政次を見つめ、頷いた。
三河に近い山寺で、松平元康と井伊直親の密談が開かれた。
元康は、顔を合わせるなり直親の手を取って礼を言った。
元康「この元康、井伊のためなら今後どのようなお力添えも惜しむまいと思うております!」
直親は満面の笑みで井伊谷に帰還した。
政次「どんなお方であった?」
直親「お年の割に貫禄のある、精悍な顔つきのお方で、手にやけどの跡があられた」
直親と政次は、龍潭寺の井戸端で話をしている。
突然、直親が切り出した。
直親「政次は嫁をもらわぬのか」
政次は虚をつかれ、驚いた表情になった。
直親は、松平家と縁組みの話も出たことを伝えた。
直親「今川の配下から脱すれば、次郎はすぐにでも還俗できる。そうなれば、俺は、お前と一緒になるのがよいのではないかと思っておる」
政次「次郎様がお望みにはならぬでしょう」
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2人の背後で足音がした。
振り返ると、次郎の姿があった。
「どうしたのじゃ」
次郎はきょとんとした顔をしている。
話は聞かれていなかったようだ。
ほっとした直親は、話題を変えようと懐かしい話を切り出した。
直親「井戸の子は、なぜ助かったのだろうな。
どれが正しい答えであったのであろうな。
和尚様に正解は聞けぬままじゃな」
次郎「あれはどれも正解らしいぞ。
答えは1つとは限らぬのじゃ」
次郎は真顔で答えた。
その様子を見た政次はふっと笑いかけた。
政次「では、駿府にいつものご挨拶に行って参る」
直親「よろしく頼むぞ、家老殿」
直親も笑顔で答えた。
次郎「何やら昔に戻ったようじゃの」
直親「竜宮小僧様のおかげでな」
次郎と直親はにこやかに政次を見送った。
これが、3人が顔を合わせる最後の時だった。
とある日、奇妙なことが起こった。
次郎が作務をしているところに、以前とは違う山伏が現れた。
山伏「次郎法師様はおられるか?」
南渓(小林薫)が目を丸くして山伏に声を掛けた。
南渓「常慶ではないか」
次郎「お知り合いですか?」
南渓「あちこちを回っておる風来坊でな。
どうしたのじゃ、今日は」
常慶(和田正人)「松平元康様より、お礼の品をお持ちしました」
次郎「お礼はもう頂きましたが…」
次郎はそう言いかけて、はっと気付いた。
この間の山伏は、今川の手の者だったのだ!
その頃政次は、寿桂尼(浅丘ルリ子)の前で凍りついていた。
寿桂尼「かような物が持ち込まれたのじゃ」
寿桂尼の手には、直親が書いた書状がある。
寿桂尼「そちらの殿が書かれたようであるが、松平と鷹狩りに行かれたのか」
政次「存じ上げませぬ。
しかし、殿の筆とは少し違いますような…」
寿桂尼が手を鳴らすと、男が入ってきた。
寿桂尼「これは、その者が持ち込んできたのじゃがの」
男の手には、やけどの跡があった。
と同時に、亡父(吹越満)の言葉がよみがえった。
お前は必ず、わしと同じ道をたどる。
政次は、がっくりと肩を落とした。
直親と次郎は、南渓の部屋にいた。
南渓「今川が仕掛けた罠…?」
次郎「おそらく、井伊は試されたのじゃ。裏切る前に芽を摘んでおこうと」
直親は、松平に助けを求めることを思いついた。
直親「松平に合力いただければ、今川に踏み込まれても戦うことができよう。和尚様、お願いできませぬか」
南渓と常慶、次郎は、直訴状を携えて三河の岡崎城へ向かった。
使者として岡崎城に入った常慶が戻ってきた。
常慶「合力することはできぬと…
兵を出す余力は今の松平にはござらぬとの事にございます」
次郎「こちらは助けてやったではないか!」
次郎は瀬名に掛け合った。
自分とともに人質となってくれれば、今度も元康様は折れる。
合力してくれる。そう考えた。
ところが、瀬名は首を縦に振らなかった。
瀬名「私どもでは人質にはなりませぬ。
こたびこそ、捨て置かれるだけにございます」
打つ手のなくなった次郎は、ひどく落ち込んで井伊谷へ戻った。
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南渓「今川に謀られたのだとしても、決めたのは直親じゃ。いざというときの覚悟はしておろう」
南渓の言うとおり、直親は覚悟を固めていた。
申し開きに来るようにという今川の下知に従い、駿府へ赴くことを決意した。
直親「こたびのことは、それがしの失態。
それがしが申し開きに参れば、それで済むことにございます」
直平「わしはもう、見送るのはごめんじゃ!」
直平(前田吟)をはじめ、誰もが18年前のことを思い出していた。
駿府に呼ばれ、誅殺された直親の父・直満(宇梶剛士)のことだ。
当時、亀之丞に起こった悲劇が、今度は直親の子・虎松に降りかかろうとしている。
自室に戻った直親は、虎松を抱き上げ、井戸の水が湧いたことをしの(貫地谷しほり)に話した。
直親「この子はきっと、ご初代様の生まれ変わりだと思うのだ。お前が産んだのは、そういうただならぬ子だと思うのだ」
涙を堪えている妻に、直親は短く伝えた。
「虎松を頼むぞ」
しのは泣き崩れた。
次郎は重い足で龍潭寺に帰り着いた。
「おとわ」
と呼ぶ声がする。
振り返ると、直親が笑顔で立っていた。
直親「よかった、会えて」
その表情を見て、次郎は直親の覚悟を悟った。
直親「よき日々が続くようにと、そんな井伊をと約束したのに」
次郎「なぜ直親が謝る。
私が男子に生まれておればよかったのじゃ」
直親「それは困る。
おとわがおなごでなければ、俺のたった1つの美しい思いでがなくなってしまう」
次郎は言葉で出なかった。
直親「おとわ、経を聞かせてくれぬか。
川名でのあの経を。
…もう一度聞きたい」
次郎「断る。
あれは死者を悼むものじゃ。
だから断る!」
遠くで鐘の音が響いた。
直親が次郎を抱き寄せた。
直親「では、戻ったら一緒になってくれ」
次郎「…心得た」
直親「では、行ってくる」
愛しい男の温もりが離れていった。
次郎「待っておるからな」
次郎は続けて叫んだ。
「待っておるからな、亀!」
「何をしても…どんな卑怯な手を使っても、戻ってくるのじゃ!」
直親は前を向き、駆け出した。
涙が溢れた次郎は、だた立ちすくんでいた。
[次回] 第12回のあらすじとネタバレ!「おんな城主 直虎」