真田丸 さすがばば様!草笛光子が語る「とり」の役作りの秘密

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真田丸では、人質に出されながらも真田家の重鎮のような存在感を出している”ばば様”こと『とり』。三谷幸喜さんの脚本に見事にハマっているキャスティングだと筆者も感じています。

ここでは、とりを演じる草笛光子さんが語った役作りの秘密を紐解いてみたいと思います。

とりとは?

真田幸綱(一徳斎幸隆)の正室。信綱、昌輝、昌幸、信尹ら果敢な男子と二人の娘を産み育てる。長男と次男の戦死により家督を継いだ三男・昌幸をもり立て、その采配を信頼し続けた。

『本能寺の変』後、諸大名の駆け引きが活発になると、みずから人質を志願。滝川一益、木曽義昌、徳川家康の人質となるが、常に泰然と構える。そんな肝の据わったとりに対し、人質に迎える武将たちも一目を置き、丁重に扱う。

草笛光子が語る役作りの秘密

とりは、真田家を根っこで支える肝っ玉ばあさんです。武田信玄をよく知り、信玄もとりを認めていたそうです。三谷さんの作品は今作が3回目ですが、最初にご一緒させていただいた舞台のお稽古で、早くも私がどんな性格なのかということを見抜かれてしまったようです(笑)。それで2作目は、私のキャラクターを役に投影してあて書きをされたみたいです。

さらに今作も、あまり史実に残っていない信繁の祖母ということで、私をイメージして『とり』という人物をお書きになったと聞きました。三谷さんからは、「ありのまま演じてください」と言われました。でも、それがいちばん難しいのよ(笑)。

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実際、新しい台本を開くたびに難問とぶつかります。例えば、とりは、信繁の話は耳に入るのに、信幸の話はちっとも耳に入らない。それは、耳が遠いせいなのか、信幸よりも信繁に愛情が深いからか。思わず三谷さんにメールして聞いたら、「両方です」と。難問でしょう?でも、難問をきっかけに、じゃあこんなふうに演じてみよう、別のシーンで生かしてみようなどとアイデアが膨らみます。おもしろかったのは、信繁たちと泥んこの農民に変装し、落ち武者狩りの目を逃れる場面。不気味な笑いを浮かべて兵の気を散らす役目だったので、歯にぶどうの皮をつけて不気味さを倍増させました(笑)。

そんな『とり』は、真田家が同盟を結んだ相手への人質としてたびたび出されます。つまり、囮に行く「おとり」役なんですよね(笑)。セリフにもそうあって、そこからして笑ってしまうのですが、彼女は囮のくせにおとなしくしていないで、囮らしからぬ大胆な行動でいます。

とりを人質とした木曽義昌をひっぱたくシーンもあります。義昌の幼少期を知っているとりは、武田家を裏切った彼をビシッと叱るわけです。人質の分際で、いい度胸よね。思い切りふてぶてしく演じました(笑)。また、とりは物事の核心をつくばば様で、彼女が何か言うとパッと場の空気が変わるんです。そんなおもしろい場面がたくさん出てきます。真田の男たちを支え続ける、器の大きなゴッドマザーであり続けたいですね。

今まで、舞台や大河ドラマをはじめとする時代劇では、二代目尾上松緑さん、花柳章太郎さん、中村翫右衛門さん、杉村春子さん、山田五十鈴さんなど、多くの名優とご一緒し、勉強させていただきました。私は幸せな女優です。そうした経験を持つ者として、いただいたものを大切に演じていかなければと思っています。

撮影が始まってからというもの、毎日が楽しくてたまりません。真田家はチームワークも抜群で居心地がよく、とりはストーリー上、先に死ななくてはならないのですが、死にたくなくなっちゃったんですよ。でも、そのことをお話したら、屋敷プロデューサーから「死んでもらわないとドラマが先に進めません」と言われてしまいました(笑)。歴史を恨みます(笑)。

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