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大河ドラマ 真田丸 第9話『駆引』あらすじとネタバレ

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3月6日放送の真田丸 第9話『駆引』の詳細なあらすじです。

ネタバレ注意!

あらすじ

甲府に入っていた徳川の軍勢は、北条の大軍にあっという間に包囲され、新府城まで引いて巻き返しの手段を模索していた。

正信が進言したのは、旧武田家臣で実力のある者、例えば真田昌幸を味方にすることだ。家康にとって昌幸は、北条を甲斐へと南下させ、徳川との戦に仕向けたいまいましい男だが、それだけにその案は斬新に感じられた。

真田をめぐっては、家臣の反乱に備え春日山城に戻った上杉景勝が、信頼を裏切られたと激怒していた。また、兼続は信尹の挙動に疑いを持ち始めていた。
「春日の一件で、いちばん得をしたのは、真田でございます。ほどなく、尻尾を捕まえてみせまする」
だが信尹はいち早く危機を察知し、春日山城から姿をくらました。

寄り合い

昌幸は撤退する北条軍のしんがりを務めたのち、真田の郷に居残っている。北条からは、徳川攻めに参戦するようにとの指令が来ているが、上杉への抑えを口実に時間を稼いでいる。その間に、小県の国衆を一つにまとめ、大名なしの国を打ち立てるという大きな目標に近づきたい。

そこで昌幸は、気心の知れた昌相を真田屋敷に呼んで協力を求めた。
「これよりは、国衆の寄り合いで信濃を治めるのだ。まずは小県。そしてゆくゆくは信濃・上野の国衆を一つにする」
昌幸にとって、頭の痛いのが室賀正武だ。真田に次いで小県で力を持ち、寄り合いから外すわけにいかない。分かっているが、苦手意識が抜けないのだ。

この話し合いの場には、信幸と信繁も同席している。信幸は身を乗り出して昌幸の考えに賛同したが、信繁は常になく寡黙だ。春日信達の調略で、昌幸へのわだかまりが残っている。
「お前は、策とは何かを、まだ知らぬようだ」
昌幸に指摘され、信繁は反抗的にその場を去った。

居室に籠もり、打ちひしがれていると、昌相が帰りがけに顔をのぞかせ、信濃の治政に触れた。
「わしは、お前の父親が治めるのが、一番だと思っている」
信繁が意外に思っていると、昌相は乱世で生き残るための調略について言い諭した。
「春日も必死だが、われらも必死。余裕などない。だまされたほうが負けだ。お前は優しすぎる。もっと強くなれ」

翌日、昌幸は信繁を残し、信幸と内記を連れて正武との話し合いの場に向かった。正武は北条の傘下にいる。昌幸から寄り合いに誘われ、寝返りはしないとにべもなく断った。

昌幸は短気を起こしそうになったが、信幸や内記になだめられてしぶしぶ下手に出た。
「分かってくれ、わしは、信濃をよその者にむざむざ渡したくないのだ、それだけだ」

互いに胸襟を開けば、昌幸も正武も信濃を思う気持ちは同じだ。武田が滅びて以降、正武が心から安泰だと思えた大名はいなかった。
「昌幸。ようわしに声をかけてくれた」
「室賀殿が加わってくれれば、これほど心強いことはない」
昌幸と正武が、手を握り合った。

饅頭

信繁が居室で物思いにふけっていると、きりが饅頭を持って入ってきた。落ち込んでいる信繁を慰めたいのだが、押しつけがましいのが難点で、かえって信繁には煩わしい。

信繁は一人になりたくて屋敷を出た。池のほとりに行くと、返り血を浴びた作兵衛が来た。隣村の者が畑の作物を盗むもめ事が頻発し、この日も村の若衆総出で追い払った帰りだと言う。

作兵衛の家に行くと、梅が棍棒を持って飛び出してきた。怪しい者ならたたき出す迫力だ。
「案ずるな、けがはしておらん。源次郎様も一緒だ」
作兵衛が安心させると、梅は慌てて棍棒を捨てて「お帰りなさいませ」と頭を下げた。

梅の芯の強さと優しさに癒され、信繁は問わず語りに信達調略の顛末を語っていた。
「春日様には申し訳ないことですが、私は、ホッとしています。だって、戦をしなくて済んだから」
梅が偽らざる胸の内を吐露した。戦が続くと、畑が荒れ、食べ物の奪い合いとなり、農民も武器を手にしなくてはならない。
「……それに、源次郎様には死んでほしくないのです。大事なのは、人の命をできるかぎり損なわないこと。そんな気がします。源次郎様のお父上は、きっとそれを分かっていらっしゃるのではないですか」
たとえ勝ち戦でも人の死はつらいと、梅はひたむきに思いを伝えようとしている。
信繁は胸のつかえがおり、昌幸が今回の策を講じたことを受け入れられるようになってくる。
「……お前の命を守るためなら、私も知恵を絞れる。そういう侍になればよいのだな」
信繁にとって、梅はかけがえのない女性となっていた。

翌日、昌幸、信幸、昌相、正武は真田屋敷の広間に小県の国衆たちを集めると、上杉や北条に頼らない独自の国作りを持ちかけた。だが、積極的に取り組もうという国衆はいない。

信繁は寄り合いに呼ばれず、庭で刀の素振りをしていた。すると、正武が通りかかり声をかけた。
「お主の父親、なかなかの男よ」
正武が去っていくのを見送りながら、信繁は少し前に、信幸が昌幸のことを「俺たちが考えていたよりも、はるかにすごい人かもしれない」と評していたのを思い返していた。

駆け引き

昌相は、最後まで広間に残っている。
「真田昌幸、腹をくくれ。お主が大名となれば、わしは身命を賭して、もり立てていくつもりだ」
「少し、考えさせてくれ」
昌幸の気持ちが揺らいだとき、家康から手を結びたいという書状が届いた。徳川は窮地に立っている。真田が手を貸し、恩を売るのも一興だ。
「従うのではない。利用するのだ。信濃・上野をこの真田が治める日まで」
昌幸は即座に考えを切り替え、寄り合いの計画を棚上げにした。

すぐに信尹が呼ばれ、昌幸の指令を受けて新府城に赴いた。真田が味方になる旨を伝えると、家康は大いに喜び、それなりの見返りを申し出た。
「北条が引いた暁には、信濃の一郡を進呈いたそう」
「それだけでございますか。足りませぬ」
こうした駆け引きは信尹の真骨頂で、真のねらいは沼田領だ。沼田城は一時、織田方の預りとなったが、もともとは真田が実力で勝ち取った城だ。
「上野の沼田領を真田のものとはっきりお認めいただきたい」
「よし、話は決まった」
家康は沼田領安堵を保証した。このときの約束が、いずれ昌幸と家康の間に亀裂を生むことになる。

真田と徳川が手を結んだことを、正武は、いずれ信濃を小県の国衆の手に取り戻し、寄り合いで信濃を治めるための布石だと信じ、みずから音頭取りになって国衆たちを次々と徳川になびかせた。まさか昌幸が信濃・上野の大名の座に食指を動かしているなど、みじんも疑っていない。

生真面目な信幸は、黙っているのが心苦しい。

妙案

すぐに北条戦に向けての軍議が開かれた。
「さて、北条軍は今、甲斐を攻めておる。一方で、信濃にも兵を進めつつある。まず、どことどう戦うか」
昌幸が信幸、矢沢頼綱、内記、昌相たちの考えを求め、激しい戦闘をも辞さない意見も出た。

すると、信繁が自分に妙案があると言う。北条が甲斐に兵糧や武具を運ぶ荷駄は、上野から碓氷峠を越えて必ず小諸を通る。小諸さえ押さえてしまえば、甲斐に侵攻した北条勢は補給路を断たれて孤立する。
「さすれば、われらは、無駄に味方の命を損なわず、戦に勝てまする」
見事な策だと信幸が感嘆した。信繁に精気が戻ったことを心から喜んでいた。

信繁の策案による真田の活躍が転機となり、徳川勢は息を吹き返し、形勢を逆転された北条勢は戦略の練り直しを迫られた。

昌幸たちは、真田屋敷に凱旋した。
「北条に泡を食わせ、徳川に恩を売ってやった」
徳川と北条は、当分攻防を繰り返すはずだ。
「その間にわしらは力を付けるのだ」
昌幸は次にどんな行動に打って出るか、信幸、信繁ともに目を輝かせている。

そこに、内記が急を知らせる書状を手にして飛び込んできた。昌幸が受け取り、素早く書面に目を走らせて愕然とした。

「……信じられん。徳川と北条が手を結んだ」

氏政が持ちかけた和睦の話に、家康はまるで渡りに船とばかりに応じた。実は、家康には戦が長引いては困る事情があった。

徳川は甲斐に押し寄せた北条勢を押し返したとはいえ、小田原を本拠とする北条の大軍を倒したわけではない。頼みとしていた織田方は、羽柴秀吉と柴田勝家の対立という内紛の火種が熱くなり、徳川に援軍を出せる状態ではなくなっていた。

和睦により、甲斐・信濃は徳川に、上野は北条に、それぞれ分け合うことが決まった。そこには真田の領地が含まれていた。

(続き:第10話

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