茶室
景勝は信繁に、真田氏を裏切るよう命じられたことを言えないままでいた。するとそこに三成がやってきて、景勝と信繁に茶席につくための着替えをすすめる。茶のたしなみなどない信繁は困惑しつつ、きりに着替えを手伝ってもらうと、茶室へと向かった。
茶室で景勝は、秀吉に信繁を紹介し、信繁も初対面を装った挨拶をする。しかし秀吉は、信繁に昨日会ったではないかと言いだす。秀吉は、信繁が景勝より先に謁見して申し訳なく思っていることを指摘して楽しんでいた。
そんなとき、利休が茶室に入り茶席がはじまった。この利休は、もとは堺の商人だったが、茶人として道を極め、今は秀吉の相談役という立場にあった。このあと秀吉と景勝が順に茶を飲み、信繁の番となる。ところが、秀吉がその寸前で茶席を中断し、景勝と信繁に先に退室するように命じた。
ふたりが茶室を出たあと利休は、景勝がどこかで踏ん切りをつけて最後は心穏やかに茶を飲んでいたと見立て、景勝が秀吉の臣下につくことを断言する。当の景勝は、茶室の外で信繁に、これまでの生涯でいちばん苦い茶だったと本音を漏らすのだった。
会合
一方、信繁の着物を持ったきりは、廊下で豊臣秀次と出くわす。秀次は、鷹狩りの折に見つけた枇杷をきりに託すと、ねねに渡してほしいと告げ、会合へと向かう。
そのころ、大広間では秀吉、三成、且元、実弟の羽柴秀長、そしてすべりこんだ秀次が集まり会合が開かれようとしていた。秀吉に命じられた信繁も、その隅で見守ることになった。それは検地についての会合だった。これまでも検地は実施されていたものの、米を計る升が統一されていなかったため、意味をなさなかった。秀吉はその升を統一して、全国の石高を明らかにしようと考えたのだ。秀吉は、国によって使う升を揃えるという大仕事の頭に三成を任じ、検地を推進することにした。
その会合を終えると、秀吉は信繁を連れて茶々のもとへと赴く。秀吉は、茶々と信繁と大蔵卿局と車座になって天正カルタ(現在のトランプの一種)に興じ、神経衰弱ゲームの要領をすぐに飲みこんだ信繁は次々と札を引き当てていった。そんななか、廊下に座る馬廻衆の立花権三と茶々が互いに目くばせをするようすを、秀吉は冷たい表情で見つめていた。信繁が、この上なく冷たい目をする秀吉に驚きつつ、そのあとの成りゆきを見守っていると、まもなくカルタは短気な秀吉が置いてあった札をぐしゃぐしゃにして終了となった。
その場をあとにした秀吉は、いずれ茶々を側室にするつもりだと信繁に告白する。
一方、ねねは茹でたてのサトイモを、加藤清正や福島正則、まだ少年の木下辰之助(のちの小早川秀秋)にふるまい、縁側でなかと秀長がそれを眺めていた。そこに秀次、さらに秀吉と信繁も合流した。信繁は、秀吉とその家族たちと幸せなひとときを分かちあったのだった。
しかし、やがてこのなかのひとりは、別のひとりによって切腹を言い渡され、少年は自分のしたことの罪の重さに苛まれ、21歳の若さで謎の死を遂げることとなる。
ねねの手伝いをしていたきりは、秀吉が天下人とは見えず、どこにでもいそうな男だと感じていた。しかし信繁は、秀吉のような男は見たことがないと思うのだった。
(続き:第16話)
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