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大河ドラマ 真田丸 第12話『人質』あらすじとネタバレ

真田丸第12話あらすじ
3月27日放送の真田丸 第12話『人質』の詳細なあらすじです。

ネタバレ注意!

あらすじ

天正12(1594)年4月、家康は「小牧・長久手の戦い」において、秀吉に実質的な勝利を収めた。この戦で家康の名は高まったが、秀吉軍はまだ余力を残している。

さらに、昌幸の暗殺に失敗したのはやっかいだ。沼田の問題がこじれ、北条が敵に回れば、徳川は秀吉と北条との挟み撃ちに遭い、致命的な痛手を受けるだろう。ましてや真田が上杉にでもつけば、なおさら面倒なことになる。真田は海津城での裏切りが尾を引き、上杉との関係は悪いはずだが、何分、昌幸は面の皮の厚い男だ。家康の心配性が高じていき、正信が苦笑した。

実際、昌幸は上杉と手を組もうとしていた。家康とは手を切りたいが、それには上杉の力が必要だ。帰属したいという書状を送り、景勝に断られたが、性懲りもなくまた書状を書き送っていた。
「何でも意のままに従うと言うてきた」
景勝は昌幸のしつこさに辟易しながら、どこまで無理難題を受け入れるか試すことにした。そこで景勝が出した条件とは、信繁を人質として上杉に差し出すことだった。

越後へ

昌幸から打診されると、信繁は思い切りよく引き受け、三十郎を伴って越後へと出立した。
「この話、むしろよかったと思っている。父とはしばらく、離れたいと思っていた」
景勝という義を重んじる男が、信繁は嫌いではない。心残りは、上田城で信繁の帰りを待つ身重の梅だ。人質は命の危険が伴うが、できれば生きて帰り、生まれてくる赤子の顔を見たい。

春日山城に到着した信繁たちは、控えの間で待たされた。庭に目をやると、漁民らしき男が2人いて、景勝に何か訴えに来ているらしい。
「大名が民の訴えをじかに聞くなど聞いたことがない。景勝殿は、身分で分け隔てをされないお方のようだ」
そのおかげで、信繁たちが景勝に会うのは、順番からして漁民たちのあとに回された。

信繁がこっそり直訴の様子をうかがうと、漁民の北浜の長・治兵衛と南浜の惣代・又吉で、漁獲と漁場をめぐる争いのようだ。景勝は双方の言い分をきちんと聞いている。
「吟味のうえ、早々によい答えを出すことにしよう」
治兵衛と又吉が平身低頭して帰ると、信繁はようやく景勝と対面することができた。

景勝が人質として信繁を指名したのは、昌幸に息子を差し出す覚悟と度量があるかを試しただけではない。信繁という若者に魅力を感じたからだ。戦芝居をしてほしいと命を賭して頼みに来た信繁は、必ず賭けに勝つという自信にあふれていた。
「会いたかったぞ、源次郎」
景勝が歓迎し、信繁を仏間に招き入れた。上杉謙信の大きな位牌を置いた厨子がある。その前で景勝が手を合わせ、背後に座す信繁に語りかけた。

「上杉は『義』のある戦いしかせぬ。謙信公の教えじゃ。沼田の一件の折、お主は誰も死なせずに、北条を追い払ってみせた。民を大事にする謙信公の心を、わしはそこに見た」
信繁にとって、これ以上ない褒め言葉だった。

直江兼続の一手

2、3か月が過ぎ、上田城の昌幸に、直江兼続から書状が届いた。「沼田城を上杉に返してほしい」と記されている。さかのぼれば、上杉が支配していた城だが、今は真田と北条が取り合っている。上杉に返すのなら、人質を出してまで支援を求めた意味がない。

兼続の真意を計りかね、昌幸が思案した。
「源次郎を人質に出したかいがあったぞ。これは、あいつの仕事だ」

もしや兼続はまたも無理難題を吹っかけて、真田の本心を探ろうとしているのではないか。昌幸から解決を頼まれた信繁は、この疑問を直接、景勝にぶつけてみた。すると驚いたことに、他国との談判はすべて兼続に任せていて、景勝は今度のことを何も知らなかった。
「兼続に掛け合ってやってもよいぞ」
景勝は、気さくに請け合った。

上杉景勝の素顔

何日かして、信繁と三十郎は、漁民の治兵衛と又吉が春日山城に来て、3か月前に景勝が吟味すると約束した一件で、早く裁いてほしいと取り次ぎの小姓に訴えているのを目撃した。だが、何も進捗しないまま、漁民たちは追い返されてしまった。

そのすぐあとに、景勝と兼続が来た。景勝は訴えの解決を先送りにしていることが心苦しいのか、事情の説明を兼続に任せて離れていく。

兼続が、ため息とともに景勝を目で指した。
「困っている者を見ると、まず先に力になると約束されてしまう」
気持ちに嘘はないが、できない約束を重ねることになる。領民のもめごとはあとを絶たず、一つの争いを丸く収めれば、次から次へと際限なく裁かなければならなくなる。戦で疲弊した今の上杉に、それだけの余裕はない。

景勝が戻ってきて、ぽつりと漏らした。
「今のわしには、話を聞いてやることしかできぬ。……これが本当のわしじゃ」
景勝は人としての素顔をさらし、期待を裏切ったのではないかと信繁を見つめた。
「正直、きのうまで、私は御屋形様を尊敬しておりました。今は、それ以上に、慕わしく存じます」
信繁は偽らざる気持ちを述べ、はたと気付いた。
「ひょっとして、例の沼田城の一件も」
案の定、景勝から兼続へのとりなしはなされていなかった。しかも、昌幸に沼田城を引き渡す意志がないと知ると、兼続は態度を硬化させた。
「上杉は、真田とは手を結ばぬ」

領民を思う

信繁と景勝は、春日山城の望楼に登って直江津の港を遠望した。越後は謙信が存命中に、直江津、柏崎、寺泊などの港を繁栄させ、国が大きくなった。今は船の数も少ないが、景勝には、いずれにぎやかな港を復活させたいという思いがある。

この日は好天で、景勝、信繁、三十郎は、陽気に誘われて海へと向かった。馬を進めていくと、争いになっている北浜と南浜に近い神社で漁民たちが騒いでいる。信繁と三十郎は神社のほうに行き、景勝は笠と頭巾で身分を隠してあとに続いた。
信繁が何事かと聞くと、漁民が答えた。
「鉄火起請が始まるんでさ」

境内に入ると、治兵衛と又吉がいた。火の上で真っ赤に熱せられた鉄の棒の前で儀式を仕切っているのは、斉木という名の奉行だという。
「北浜の治兵衛が途中で落としたら、あの浅瀬は南浜のもの。南浜の又吉が落としたら、あの浅瀬は北浜のもの」
治兵衛が先だが、真っ赤な鉄棒を握る勇気が出ずに青ざめている。そこに、信繁が進み出た。
「お奉行は、これでまことに正しい裁きになるとお思いですか」
「もちろんじゃ。神の御心を承るにはこれが一番」
信繁は鉄火起請などやめたほうがいいと考え、斉木は古来のしきたりなのでやるべきだと考え、2人の言い分はまるで違う。そこで信繁は、どちらが正しいか、神の判断を仰ぐことにした。
「鉄火起請、私たちもやりましょう」
三十郎は万事心得ていて、支度を整えた。信繁は自信満々で、赤い鉄の棒の前で精神を集中している。斉木は動揺し、鉄火起請で決める必要はないと前言を撤回して漁民を混乱させた。
「もうよい。すべては、わしがいけないのだ。もっとお前たちの暮らしを思いやるべきであった」
景勝が笠と頭巾を取り、不意に現れた国主に漁民たちが驚いて土下座した。

漁民たちは毎年、アサリの収穫量の多い浅瀬が南北どちらの浜に属するかで対立してきたという。そこで信繁が、南浜と北浜が1日交替で漁をするという案を出したが、潮のいい日・悪い日があって不公平になると却下された。そのやり取りから、景勝が思いついた。
「潮の変わり目で分ければよい。満月が来るたびに、浅瀬の漁を替わるのだ」
治兵衛と又吉ともに得心がいき、景勝の裁きにより一件落着となった。

城への帰路、景勝は信繁の策士ぶりをおもしろがりながら、大事なことも教わったと言う。民の暮らしを守ることが、強い国を作ることになると。
「お主のような子が欲しかった」
景勝の言葉に、信繁の胸が熱くなった。

真田昌幸の決意

それからまもなく、梅が女の子を出産し、「すえ」と名付けられた。
知らせを受けた信繁が喜んでいると、兼続から呼び出された。沼田城の件で、景勝からそろそろ真田を許してやれと口利きがあったのだと言う。

兼続も景勝も、もし昌幸が沼田城をあっさり手放していたら、何か裏があると疑念を抱いていた。ところが、昌幸の意志は首尾一貫していた。
「徳川と北条に譲らぬ真田の覚悟、こたびは真と認めよう。上杉は再び真田と手を携える」
兼続が、景勝の起請文を差し出した。そこには、上杉は真田の庇護と援軍の派遣を約束し、沼田や小県を真田の領分と認めると記されていた。

起請文を受け取った昌幸は、即座に家康に書状を送り、真田と徳川の手切れを宣言した。敵に城を進呈した家康は、面目丸つぶれだ。事ここに至っては、真田を滅ぼすしかない。

天正13(1585)年8月。徳川は参加の信濃衆を加えたおよそ7千の軍勢で、上田城に向けて進軍を開始した。迎える真田の兵は2千に満たない。定石では籠城戦だが、当然、徳川は対策を練っているだろう。昌幸が知恵を絞っても、難しい戦になりそうだ。

景勝は手を結んだ真田に援軍を出したいが、上杉自身が抱える戦に兵力を動員してしまっていた。
信繁はその気持ちだけでありがたいが、もし許されるなら、一つだけ厚情にすがりたい。
「真田の行く末が懸かったこの戦、どうしても加わりたいのです」
「存分に戦ってこい。そして、戦が終わったら、必ずまた戻ってこい」
景勝の激励をしっかりと受け止め、信繁と三十郎は春日山城を出て馬を駆った。

(続き:第13話

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