真田丸 家康の参謀・本多正信は名軍師!近藤正臣が語る役作りとは

家康をうまく誘導し、卓抜な策を授ける名参謀
徳川軍議

徳川家軍議

徳川家康の軍師である本多正信。鷹匠から側近にまで成り上がった名参謀として、『真田丸』では、ときにシリアスに、ときにコミカルに描かれています。

演じる近藤正臣さんが語った役作りの見どころを探るとともに、三谷幸喜さんが書く脚本の裏話も紐解いてみたいと思います。

本多正信とは?

知略をもって家康を天下取りに導いた名参謀。信長の没後、武田旧領をめぐって諸大名の駆け引きが活発になると、真田家ら国衆たちの取り込みに腐心。真田家に翻弄される家康に卓抜した策を授け、その甲斐・信濃統治を助けた。

家康の関東入封後は、相模・玉縄一万石を与えられ、関東総奉行に就任。その後も徳川政権の中枢を担い続ける。家康との信頼関係は、後年、「君臣の間、遭ふこと水魚の如し」と言われた。

近藤正臣が語る本多正信の役作りの見どころ

僕は『真田十勇士』が大好きなんです。だから真田と聞いただけでワクワクしちゃう。そんなわけで、真田丸への出演を依頼されたときは、「あの真田だ!」と舞い上がりました。ところが非情なもので、私がオファーの打診を受けたのは真田の敵方の武将・本多正信だったんです。撮影が始まるまでは、「徳川を出奔して、真田の家臣になりたい!」と思っていました。

正信は人の弱みにつけ込んで、誘導していくのがうまい。例えば、家康が気乗りしないことがあると、「お願いですからやってください」とは言わず、あえて「そうですか。じゃあ、お断りになりますか」としれっと言う。すると家康は、「いやいや、そうは言ってない。早く片づけてしまおう」となるわけです。家康をうまく操縦し、ここぞという機を逃さずに伝えていたんだろうなと思います。

前半は家康もただのやんちゃ坊主で、正信もまさか彼が天下人になるなんて思ってもいない。つまり正信も自分が軍師だという自覚がないんです。”徳川家康”になる前の、ある一人の武将と家臣の姿が描かれているのが、三谷さんの脚本のおもしろいところです。三谷さんの脚本からは本多正信への愛情をヒシヒシと感じています。

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出典:www.shes-management.co.jp

ただ、恐ろしいことに、三谷さんの脚本にはあまりト書きがないんです。そのため、脚本をさらっと読んでしまうとミスをおかしそうになります。たとえば、話し相手とその言葉を聞かせたい人物とが異なるシーンでは、たいていの脚本家の方はト書きで記すんです。ところが、三谷さんはお書きになりません。意地悪ですよね(笑)。「もう!気づいたからいいものの、もし気づかなかったらどうするんですか」と思いました。「役者としての近藤を信用しているからあまりト書きがないのでは」とおっしゃる方もいますが、この世の中はそんな信頼と善意のうえで成り立っているものではないですよ(笑)。だからといって、三谷さんから「この芝居はなんですか」と指摘されても癪ですので、脚本を一生懸命読み込んでいます。

僕は、今回は正信の史実には縛られず、脚本から見えることだけを頼りに演じようと決めました。すると、ト書きにはなくても、セリフの合間合間から、三谷さんの正信への要求が見えてくる気がするんです。それを注意深く読み取って、声のトーンは抑えようか、軽口をたたくように言おうか、目線はどう運ぼうかなど、どんな芝居にしようかを、その場で考えることがとても楽しいですね。

そういう意味で、僕は、今日演じている時点の正信のことしか知りません。だから、今は真田一族のことも、さほどのものとは思っていないですよ(笑)。恐らく、『上田合戦』でようやく、真田の本当の底力を感じるのではないでしょうか。そのときの正信を演じるのが楽しみです。

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