おんな城主直虎 第35話のあらすじとネタバレ!「蘇えりし者たち」

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堀川城での徳川の苛烈な手段は、遠江の国衆に知れ渡り、ただならぬ恐怖を与えた。そして、浜名湖畔の制圧につながっていった。

忠次「堀江城の大沢基胤が降伏してまいりましたが、本領の堀江は安堵、気賀は近藤に任すという形でよろしゅうございますか?」

家康は怒りを込めて忠次を睨みつける。

忠次「…気賀では手向かいもございました。故に打ち懲らしたまでにございます」
家康「降伏してきたただの民まで、射殺したそうではないか」
忠次「切り取った地を治めるには、寛容だけでは足りませぬ。逆らえば恐ろしいことになると示すことも肝要かと」
忠勝「まぁ、これで後顧の憂いなく掛川を攻められるようになったのも事実でございましょう、殿」

家康は忠次ほど非情になれない。忠勝が言うことも否定はできないが、彼らほど前向きになれないのだ。
忠次と忠勝が話し込んでいるところで、二人に気付かれないように、そっと数正に言った。

家康「常慶を呼べ。誰にも気付かれぬようにな」

ようやく体温が戻った龍雲丸だったが、今度は高熱が襲いかかった。
直虎は寝不足と疲れでふらついていた。

昊天「寝ておらぬでしょう、次郎。少し休みなさい」
直虎「大事ございませぬ」
昊天「次郎ができることは私にもできます。休みなさい」

直虎は素直に従った。自分まで倒れて迷惑を掛けている場合ではない。
部屋を出たところで、「もし」と声を掛けられた。
年の頃12、3あたりの武家の少年が立っていた。

直虎「そなたは?」
少年「鈴木重時が一子、重好と申します」
直虎「鈴木殿の…」

たしかに父親にそっくりだ。

重好「はい。こたび、跡を継ぐことになりました」
直虎「え…?」
重好「父はこたびの大沢攻めに徳川方として参陣、みまかりました。どうか、井伊の殿に経をあげていただけぬかと」

鈴木は井伊と縁深い家でありながら、近藤に協力して井伊谷を乗っ取りにきた。そのせいで政次は死に追いやられたのだ。
政次の辞世と碁石を持ってきてくれたのは、自身の後ろめたさからだろう。

直虎「もうしばしすれば和尚様がお戻りになる。和尚様にあげていただいたほうが鈴木殿も喜ばれよう」

心から悼むことなどできぬ者が経をあげても、供養になるまい。

重好「父は生前、殿──次郎様の歌うような経を聞いてみたいと申しておりました。父のやったことは存じております。なれど、どうか、どうかあわれと思ってやってはいただけませぬか」

直虎は断りきれなかった。
尼のはしくれ、仏殿で本尊と向き合えば自然と無我の心になる。

経をあげ終え、重好に向き直って一礼する。
重好もきちんと礼を返し、泣き笑いのような表情を浮かべて言った。

重好「美しい経でございました。父も喜んでおりましょう。かたじけのうございました」
直虎「…そなたは、父上の代わりに参陣なさるのか」
重好「はい」
直虎「そうですか。武運を祈ります」

武家に生まれた以上、当然のことだ。
父親に対してはわだかまりがあるが、重好には無事でいてほしいと直虎は思っていた。
とはいえ、まだ小さい少年が戦場で生き永らえるのは、並大抵のことではあるまい。

そこに、辰がすごい勢いで駆けてきた。
「頭が!」

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