おんな城主直虎 第34話のあらすじとネタバレ!「隠し港の龍雲丸」

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南渓「おったか?」

直虎は井戸端を散策しながら政次を探していた。

直虎「昨夜、確かにここで待っておると言うたのですが…」
南渓「…そうか、おかしいのぅ」

そのとき、「もし」と声が聞こえた。
直虎が笑顔で振り向いた。そこにいたのは政次ではなく、目付の鈴木だった。

鈴木「あの、お渡ししたいものがございまして」

申し訳なさそうに、折り畳んだ紙と碁石を一つ、直虎に差し出した。

鈴木「但馬殿の辞世だそうです」
直虎「……辞世?」

直虎はきょとんとした。
「何故、辞世などがあるのじゃ」

鈴木「牢番の者が捨てるにも忍びないと…」
直虎「牢? どういうことじゃ?」
鈴木「但馬殿が最後に入れられておった…」

ここまで話して鈴木もようやく直虎の異変に気付いたようだ。

南渓「鈴木殿、私がお預かりしておきます」

紙と碁石を預かって直虎を見やると、両手で頭を抱え込んでいる。思い出そうとしてもなかなか思い出せないのであろう。

南渓「次郎、失礼するか」

言いかけたところで、直虎が南渓の手から紙を奪い取った。

白黒をつけむと君を独り待つ
 天伝う日ぞ楽しからずや

「…白、黒を……白黒……」

歌の意味を理解した瞬間、直虎はすべてを思い出した。

城の門前で政次に逃げろと怒鳴ったこと。
直虎の代わりに政次が牢に入れられたこと。
そして井伊を、直虎を救うために政次が犠牲になったこと。

直虎「…あぁ、もう、おらぬのでしたね、但馬は…」

すべての罪を背負って、見せしめとなって、たった一人で。
約束したのに。政次は笑ったのに。明るい陽の光の下で、碁を打とうと。

渡された碁石を握りしめ、直虎ははらはらと涙をこぼした。

寺に戻った直虎に付き添っていた昊天が、一人部屋から出てきた。

南渓「次郎は落ち着いたか」
昊天「はい。ようやく今、横になりました」

傑山が政次の辞世を昊天に渡した。
読み終えた昊天は、そっと目頭を押さえた。

昊天「良い歌ではないですか。あの世でゆるりと待っておるゆえ案ずるな、と」
傑山「うむ。鶴らしい」

2人は幼いときから政次を知っており、その死は痛ましくもある一方、己を貫き通した清々しさもあった。
直虎が正気に戻ってからが辛い日々になるだろうことは、皆十分に分かっていた。

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