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おんな城主直虎 第33話のあらすじとネタバレ!「嫌われ政次の一生」

おんな城主直虎あらすじ第33話「嫌われ政次の一生」

8月20日放送の大河ドラマ「おんな城主 直虎
第33話「嫌われ政次の一生」の詳細なあらすじです。

前回(第32話)はこちら。
おんな城主 直虎 第32話のあらすじ「復活の火」

ネタバレ注意!

おんな城主直虎 第33話「嫌われ政次の一生」あらすじ

近藤の軍が城内になだれ込もうとする寸前、ギリギリのところで井伊谷城の門は閉じられた。

近藤「尼殿、これはいかなることにございますか。手向かいはせぬとのお約束では!」
直虎「井伊の者ではない!」
忠次「とにかく、門を開けられよ」

それ以上抵抗することもできず、開門させた。
幸い、城内には政次の姿はなかった。
話し合いをすべく、陣で忠次、近藤と向かい合った。

直虎「お約束どおり、井伊は城を明け渡しました。つきましては、井伊領を安堵し、家名を再興させていただきたく存じます」
近藤「手向かいをせぬことと引き換えに、であろう! 矢を射かけておきながら何を」
直虎「井伊はやっておりませぬ」
忠次「…但馬守とやらがやったのではないか?今川の犬だという話ではないか」

忠次は、直虎を試しているのだろうか。

直虎「但馬が井伊家を乗っ取ったというのは今川への見せかけ。その話もお伝えしておったかと存じます」
忠次「そこも含め、騙されておったのではないかの?」
直虎「ならばなおさら、あのような折に戦を仕掛けるなど愚かなことはいたしませんでしょう。城を明け渡し、一服盛るほうがよほどたやすい。但馬ではございませぬ!」

忠次は、ふむ…と頷いた。
近藤は、相変わらずしつこく噛み付いてくる。
直虎は不退転の覚悟で、家康への取り次ぎを申し出た。

そこへ、早馬が駆けてきた。
「申し上げます! 武田より使者が参りました」

しばらくして、家康と数正、忠勝が陣に入ってきた。
菅沼「実は、われらの兵がにわかに襲われまして」

家康がピクリと反応した。

数正「井伊が襲ったと申すのか」
近藤「井伊というよりは小野の者ではないかと言うておるのですが、井伊殿は一行に認めず、但馬も逃してしまう始末で…」

恨みを晴らさんと、近藤は言い放った。
近藤「徳川に弓を引くとは言語道断。井伊殿に罪がないなら、小野但馬には罪を償ってもらわねば示しがつきませぬ」
家康「…ご苦労でござった。あとはこちらでいたそう」

家康はそう言うと目付の3人を退出させ、徳川の者だけを残して意見を訊いた。

家康「この騒ぎ、あの者たちが謀ったということはないか。どうにもうさんくさい」


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武田から届いた書状を忠次が差し出した。
目を通した家康は、深く溜め息をついた。

家康「武田はすでに駿府を落とし、氏真は掛川に逃げ延びた由。急いで掛川を攻めよとのことじゃ」
忠次「遅れれば、武田は遠江まで切り取りに参るやもしれませぬ。今この揉め事に手間取っておる時はないかと」
忠勝「戦を進めるうえでも、近藤殿らのほうが頼りになるのは確かですしな」

謀略を疑いつつも、忠次や忠勝は井伊を切り捨てろと言うのだ。
家康は返事をすることなく、立ち上がって言った。

家康「…牢はどこじゃ」

牢の中で、直虎は家康からの書状を見つめていた。
と、扉が開いた音がした。
真っ暗な暗闇の中、松明も持たず近付いてくる。
人影が牢の少し前で足を止めた。

直虎は、もしや、と勘が働いた。
「…徳川様?」

確信はなかったが、牢格子に近寄って話しかけた。

直虎「こたびのこと、神明に誓いまして、われらは徳川様を襲ってなどおりませぬ。徳川様の軍勢には決して逆らってはならぬと民百姓にまできつく言い聞かせておりました」

反応はないが、聞いてくれているようだ。

直虎「今川の野伏か、または、考えたくはございませぬが…近藤殿に謀られたのやもしれませぬ。どうか、徳川様の手で事の次第をお調べいただけませぬでしょうか」

返事はない。

直虎「二心ない証しとして、われらは虎松の母まで差し出しました。さようなわれらが何故、手向かいなど…」

そのとき、人影が動いた。うずくまっているようだ。
目を凝らすと、直虎に向かって土下座しているように見えた。

直虎「それは…いかなる意味にございますか?いかなる意味かと訊いております! お手を上げ、お答えくださいませ!」

うずくまったまま動かない。直虎の怒りは頂点に達した。

直虎「あなた様が指図できぬことなどございますまい! ご自分で書かれたことを、ここに書かれたことを今すぐお命じくださいませ!」

人影は、そのままの姿勢で後ずさり始めた。

直虎「待たれよ!徳川様! お待ちあれ!」

牢舎から出てきた家康に、外で待っていた数正が声を掛けた。
数正「何をおやりになったのですか」
家康「…また、瀬名を怒らせてしまうの」
数正「厭離穢土(おんりえど)にございます。致し方ございますまい」

翌朝、徳川軍は井伊谷を出立した。


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政次は隠し里に落ち延びていた。
なつと亥之助、小野や関口の郎党たちも共に連れている。

政次は一人になると、これまでのことを考え込んでいた。
そこに、なつが食事を運んできた。

政次「休んでおれ。疲れたであろう」
なつ「義兄上こそ、お疲れにございましょう」

なつが、木の葉に包んだ握り飯を差し出した。横には栗が添えてある。
会話をしている政次の様子が、どこかいつもと違う。なつが不思議に思っていると、政次は握り飯を戻し、なつに膝枕した。

誰かに見られたら…なつが辺りを気にしていると、それに気付いた政次が身を起こそうとする。

なつ「あ! 大事ございませぬ!」
このままでいたくて、つい大きな声を出してしまった。

政次「ん?」
政次は頭の下に違和感を覚えて、挟まっていたなつの袖を手繰った。

なつ「あ、これは…」
動揺を隠して、なつは袖の中から碁石を取り出した。

なつ「義兄上の着物のお袖に入っておったのです」

碁石を手に取り、しみじみと見つめた。脳裏に浮かんでいるのは、間違いなく直虎だ。
なつは、石を隠すようにその手を自分の手で包み込んだ。

なつ「…今はなしです。今だけは…」

これが2人で過ごす最後の時間になるかもしれぬ。
政次はなつに優しく微笑んだ。
 

その頃、直之が龍潭寺に戻ってきていた。
政次を城を襲ったのは近藤の手の者だと分かったという。顔に見覚えがあった。

直之「捕らえて突き出そうかと思うたのですが、自害されてしまい…」

直之が床に置かれた矢を手に取った。
傑山が拾ってきたのだという。矢の先は丸まっていて、刺さらないようになっていた。どうりで、味方である近藤の配下の者たちにも射かけていたわけだ。

「ご丁寧なことで…」
直之が吐き捨てた。

直之「それで、殿は今?」
南渓「牢に入れられておる」

南渓が経緯を説明するが、直之の怒りは収まらない。
直之の怒りを抑えるように、南渓は言った。

南渓「之の字、ひとつ頼まれてほしいのじゃがの」
 

直之に頼み事をした後、南渓は井伊谷城に赴き、陣内にいる近藤と相対した。

南渓「次郎は今はただの出家にございます。御仏に仕える者を捕らえるとは、あまりにも情けなきご所業。何とぞ、身柄をお返し願いたく」
近藤「それがしもそう思うてはおるのですが、但馬を逃されたのは尼殿で。徳川様を襲ったにもかかわらず、何もせず捨て置くわけにはいきませんでな」
南渓「では、どうすればお返し願えますかな」
近藤「まことの城主は小野但馬。但馬と引き換えならば、すぐにでもお返し申し上げます」
南渓「次郎めにはよく言うて聞かせますゆえ、まずは会わせていただけますかな」


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近藤は面会を許可し、共に牢に向かった。

南渓「そなたが但馬を逃がしたそうではないか。どこへ逃がしたか教えてくれぬか」
直虎「知りませぬ」
南渓「但馬を引き渡せば、そなたは助かるのじゃぞ」
直虎「但馬はやっておりませぬ! 何もやっておらぬ者を、何故引き渡さねばならぬのですか!」

南渓は牢格子の間から手を差し入れると、ギュッと直虎の手を握った。
南渓「落ち着け。井伊のため何をなすべきか、落ち着いて考えよ」

直虎は素直に頷いた。
近藤「あまり長く考えられても困りますぞ」

南渓と近藤が立ち去るのを見届けると、直虎はそっと手を開いた。
南渓に握らされた紙片があった。

南渓が龍潭寺に戻ると、すでに直之が一同を連れて戻っていた。

龍雲丸「中野様から話は聞きましたでさ。近藤ってのはあんときのあれだろ。しつけぇやつだな」
力也「で、また穴を開けりゃいいのか」

さすが手練の男たちだ。話が早い。

龍雲丸「で、尼小僧様はどこに連れて逃げりゃいいんだ」
南渓「当面は気賀がよかろう。かたじけない、頭」
龍雲丸「いや、俺らも近藤を怒らしちまったしな。んじゃ、ちょっくら見に行ってきまさぁ」

うまくいってくれるとよいが──南渓は仏殿に入り、仏と対座した。
そこへ傑山が供え物を持ってきた。

傑山「私は、和尚様は但馬を突き出すお考えかと思うておりました」
南渓「…政次が死ねば、あれは死んでしまうからな。片翼では、鳥は飛べぬ」

そんな思いとは裏腹に、別のところで事態は動いていた。
 

頭を頼り、そなたを盗み出してもらう。但馬と2人、気賀に逃げよ

南渓に手渡された紙片には、そう書いてあった。

頭なら、きっとうまくやってくれる。
それに、政次と一緒なら、井伊を奪還する何かよい策が浮かぶに違いない。

すると、牢舎に入ってくる足音が聞こえた。
直虎は慌てて紙片を懐に隠した。
次の瞬間、直虎は大きく目を見開いた。

「政次!?」

縄に繋がれた政次が連行されてきたのだ。身体中に傷を負っている。

混乱している直虎に、見張りの者が牢を開けて言った。
「出られよ、次郎法師殿。この者はわが主人を襲うたのじゃ」

後ろから近藤が現れた。政次が近藤を襲ったのだという。
確かに、近藤の腕には斬られたような刀傷がある。

直虎「政次! なんとか申せ!」
政次「…もう少しだったのだがな。もう少しで首を取れたものを」
直虎「な、何を言うておる! 政次! 共に徳川と話をしたではないか! 共にしの殿を差し出し、共に…」
政次「信じておられたとはおめでたい」

身代わりになるために、わざと捕まったに違いない。

直虎「われは騙されぬぞ。われはもう…」
近藤「尼殿をお連れせよ!」

直虎は力ずくで引っ張り出された。連れていかれる直虎の背後で、牢の扉が閉まる音が聞こえた。


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──これでいい。
これで自分の役目を終わりだと思うと、寂しいような、肩の荷が下りたような──。

近藤には恨みなどない。
自分はじきこの世のしがらみとおさらばできるが、近藤はこの先ずっと、戦乱の世の非情な定めに抗えず生きてゆかねばならぬのだと思うと、むしろ哀れなぐらいだ。

牢舎の出入り口のほうで物音がした。見張りが離れて様子を見に行った。
それと同時に、後ろから声がした。

「…行きますぜ」
龍雲丸だった。

直虎は1人、井戸端で政次の戻りを一心に祈っていた。
そこへ昊天がやって来た。

昊天「次郎」
直虎「政次は!? 戻ってきましたか」

暗い表情でうつむいてしまった。

直虎「昊天さん?」

昊天は答えない。
直虎は寺に駆け戻った。

寺には南渓と傑山、龍雲丸、直之が顔をそろえていた。

直虎「政次は? どこじゃ?」

龍雲丸が黙ったまま首を横に振った。
「まさか…政次はもう…」
「いや、生きておる」

困惑している直虎に、南渓が言った。
南渓「本懐ゆえ、戻らぬそうじゃ」

龍雲丸が、牢の中での会話を語り出した。

戻ってきた見張りを吹き矢で眠らせ、政次に声を掛けた。
政次「すまぬが、俺は行かぬ」
龍雲丸「え? なんで…」
政次「近藤がかような企てに出たのは、俺と殿への私怨を晴らそうという意味合いもあろう。殿や俺は逃げればよいかもしれぬ。しかし、恨みが晴れなければ、隠し里や寺、虎松様、民百姓、何をどうされるか分からぬ。そして、井伊にはそれを守りきれるだけの兵はおらぬ」

近藤は、おそらく井伊の者を片っ端から血祭りに挙げるだろう。

政次「俺の首一つで済ますのが、最も血が流れぬ」
龍雲丸「…けど、あんたがいなくなったら、あん人、誰を頼りゃいいんだよ」
政次「和尚様がおるし、そなたもおるではないか」
龍雲丸「ごめんこうむらぁ! 大体、あんたそれでいいのかよ! このままいきゃあ、あんたは井伊を乗っ取ったあげく罪人として裁かれるってことだろ? 悔しくねえのかよ! 井伊のためにって、あんなに誰よりも駆けずり回ってきたのはあんたじゃねえか!」

政次「それこそが小野の本懐だからな」

政次がフッと笑みを浮かべた。

政次「忌み嫌われ井伊の仇となる。恐らく、私はこのために生まれてきたのだ」
龍雲丸「…分かんねえわ、俺にゃあ」
政次「分からずともよい」
龍雲丸「何か、尼小僧様に言うことは…」

政次は首を左右に振るだけだった。

龍雲丸の話が終わると、皆、水を打ったように静かになった。
直虎が駆け出そうとした。それを予想していたのか、龍雲丸が腕を掴んだ。

龍雲丸「尼小僧様、もうやめとけ」
直虎「われが話をしてくる。忌み嫌われるために生まれてくるなど、そんなふざけた話があるか!」
龍雲丸「あん人はやりたくてやってんだよ!」

直虎は龍雲丸の腕に噛み付いた。

直虎「お前に何が分かる! 政次は幼いときから家に振り回され、踏み潰され…それの何が本懐じゃ!」
龍雲丸「あの人の井伊ってのはあんたのことなんだよ!あん人なら、井伊をひねり潰すことだってできたはずだ。そうしなかったのは、あん人がそれを選んだからだ!」

直虎が龍雲丸を睨みつける。

龍雲丸「あんたを守ることを選んだのは、あん人だ。だから本懐だって言えんでさ」

結局、自分のせいで政次は死んでしまうのではないか。
直虎「頼んでなどおらぬ。守ってくれなどと頼んだ覚えは一度もない!」

そう叫び、直虎は出ていった。


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政次のために、今何をしたらいいのか──。
答えを探すように、直虎は井戸端で座禅を組んだ。
一晩中考えたが、答えは出なかった。
そこに、南渓がやって来た。

南渓「…次郎。今日、政次が磔にされるらしい」

直虎の方がビクッと震えた。

南渓「われらは引導を渡しにいくが…行くか?」

無言のまま、微動だにしない。

南渓「…ならば、せめてここで経でも読んでやってくれ」
そう言うと、南渓は去って行った。

「…あいつは怒っておろうな」
支度を終えて政次が座していると、牢の扉が開いた。

「出られよ」

おとわとの日々が脳裏を巡った。

死出の旅へ旅立つ道すがら、直虎と過ごした日々に心を遊ばせる。
今思えば、碁盤を挟んで共に策を練り、心の中を語り合った日々が、一番幸せだったのかもしれない。

もうじき、陽の光の下で打てるようになるの

そんな幸せな空想を終えると、政次はしっかりと目を見開いた。もう迷いも後悔もない。
 

直虎は井戸端で一心に経を唱えていた。
ふいに、ザッと強い風が吹いた。
橘の葉が揺れ、ぽつりと雨滴が落ちてきた瞬間、直虎の繰っていた数珠が切れた。

予感がした。
政次は、もう生きてはいないと。

 
[次回] 第34話のあらすじとネタバレ!「隠し港の龍雲丸」

 
大河ドラマのノベライズ版はこちら。

 

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