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おんな城主直虎 第32話のあらすじとネタバレ!「復活の火」

8月13日放送の大河ドラマ「おんな城主 直虎
第32話「復活の火」の詳細なあらすじです。

前回(第31話)はこちら。
おんな城主 直虎 第31話のあらすじ「虎松の首」

ネタバレ注意!

おんな城主直虎 第32話「復活の火」あらすじ

今川と武田の緊張状態は続き、いつ開戦してもおかしくない状態になっていた。

岡崎城の徳川家康(阿部サダヲ)は、武田から届いた書状を受け、重臣たちを集めて軍議を開いていた。
あと10日で、武田が駿府に攻め入るというのである。

家康「こちらもそれに合わせ遠江入りし、その後、早々に掛川を落とせと」
本多忠勝「掛川? 掛川でございますか!?」

年若の本多忠勝が思わず声を上げた。
家康の右腕である石川数正(石川織央)も、「遠江の東の端ではないですか!」と驚いた。

家康「武田にしてみれば、駿府に近い要所を落とし、今川を挟み撃ちにしたいというところなのであろうの」
忠勝「相変わらず、勝手なお方にござるのぅ」
家康「数正、調略のほうは今どうなっておる」
数正「引間は常慶が入っておりますが、なかなか…。匂坂城、あとは井伊には話がついてございますが」

忠勝が遠江の絵図を見ながら、湖岸沿いの戦略を練っている。

数正「大沢、浜名、この辺りは難しいと思われますが、気賀は芽があるのではないかと。酒井様が調略に向かっておられるはずですが」

そんな話をしている最中、「酒井様が戻られました!」と家人が知らせてきた。
戻りが早すぎるのを怪しんでいると、酒井忠次が倒れ込むように入ってきた。

家康「忠次! 何があったのじゃ!」
忠次「お、襲われましてございます!」

気賀に向かっているところで、いきなり鉄砲で襲われたのだという。

忠次「恐らくは大沢か浜名、湖岸の国衆ではないかと。湖の周りは今もって今川への忠義があついようで、どうにもやっかいにございます」

家康は絵図を見ながら言った。
家康「陣座峠から井伊谷、これが最も軍勢を進めやすいのではないか」

陣座峠からは遠州がよく見渡せる。さらに井伊は内通してあるので問題ない。
すると、忠次が思わぬことを言い出した。

忠次「井伊はどうも今川に取り潰されたとの知らせにございます」
家康「取り潰された!?」

家康にとっても予想外の事態だ。
夜になって、瀬名(菜々緒)にそのことを伝えた。すると、瀬名の顔から色がなくなっていった。

瀬名「それで今、井伊は、井伊はどうなっておるのですか!?」
家康「今川方の目付家老であった小野但馬守という者が乗っ取り、後継ぎの首も取られたらしい。先代を陥れた張本人じゃそうじゃ」
瀬名「…存じております。その者は、母を今川への人質に差し出した小野の息子にございます!」

幸薄かった亡き母を思うと、恨み骨髄に徹する思いだ。


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家康「そう思うての、瀬名。一つ調略を試みたのじゃ」

瀬名の表情が明るくなった。

家康「井伊には小野以外に三人の目付がおってな。そのうちの一人は、野田の菅沼の親戚なのじゃ」

東三河にある野田城城主・菅沼定盈(さだみつ)は、今川義元に仕えていたが、桶狭間のあと徳川に帰属した。目付の菅沼忠久と同族にあたる。

家康「この者を通じて三人の目付に調略をしかけ、その者たちと共に井伊に攻め入り、但馬を討ち取ろうという話を持ちかけておる」
瀬名「では…」
家康「わしからの、せめてもの井伊への手向けじゃ」
瀬名「殿…」
瀬名は嬉しくて声を詰まらせた。

そこに、石川数正が声をかけてきた。井伊からの書状が届いたという。

三河守殿、戦にて慌ただしき折にご無礼ながら、なんとしてもお伝えせねばならぬことがあり筆を執りました。こたび、井伊が取り潰され、跡継ぎの首まで取られたというお話がお耳に入っておるやもしれませぬが、あれはすべて見せかけにございます。

差し出したは偽首。跡継ぎの虎松は、三河の鳳来寺にて修行に勤しんでおります。これは、私と家老・但馬守が示し合わせましたはかりごと。今川の直轄になったと見せかけ、徳川様が攻め来る折には、今川方の目付らを捕らえ、城を開ける段取りとなっております。

故にどうか、その折に井伊の名をお認めいただき、国衆の列に加えていただければと、心よりお願い申し上げる次第でございます

家康「まぁ思い切ったことをするお人じゃ。いやいや、早う会ってみたいものじゃ」

家康はすぐに返事を出すと言って、文机に向かった。
心配そうに瀬名が声をかけた。

瀬名「よろしいのでございますか? 別の調略も持ちかけてしまわれたのでは…」
家康「その者たちがこちらにつくとなれば、事情を明かせばよいだけじゃ。つかぬとなれば、敵というだけのこと。差し支えはなかろう」
瀬名「殿。それでこそ、日の本一の豆狸でございます!」

褒め言葉と受け取った家康は、笑って頷いた。

その頃、今川では軍議が開かれていた。
側近の小倉内蔵助資久が、北条は駆けつけてくれると報告した。
上杉も兵を出してくれる約束をしたと、庵原安房守忠胤が言った。
続いて、関口(矢島健一)の名が呼ばれると、何か後ろめたいことがあるかのように、跳び上がって答えた。

関口「は、はい! 井伊は準備万端!整えさせております」

氏真(尾上松也)は、関口の様子がおかしいことに気付かない。迫りくる戦の緊張で余裕がなくなっていた。

数日後、家康からの返書を預かった傑山(市原隼人)が龍潭寺に戻ってきた。

傑山「徳川様はこの話をおもしろく思われたそうで、井伊の殿に会ってみたいと仰せだったとのことです」

傑山の話に、直虎(柴咲コウ)は感激し、南渓(小林薫)も安堵している。

南渓「こたびは、まことの徳川様にお会いしたいところじゃの」
直虎「和尚様。政次と一度、会ってきていただけぬでしょうか。関口の手前、私みずから赴くわけにもまいりませぬし」

家康からの書状のことを伝える必要もあるし、このたくらみのことを、まだ一度も確かめたことがないからだ。


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南渓「じかに聞いてはどうじゃ」

そう言って目で庭先へと促した。そこには境内を歩いてくる政次(高橋一生)の姿があった。
聞くと、関口の家来が駿府に引き揚げたのだという。

政次「恐らく、関口は武田に寝返ったのだ」

寝返ったと聞いた直虎は一瞬驚いた。
しかし、すぐに薄情な関口の顔を思い出した。

直虎「小野の家来たちはどう思うておるのじゃ。虎松の首でないことは知っておるのであろう?」
政次「偽首のことは知っている。ただし、それは俺が井伊を乗っ取るためにやったことと思うておる、と思う」

久しぶりに政次と話していると、直虎は何か違和感を感じた。
政次「言葉ではないか?まぁ、殿様気分でも味わおうかと思うてな。つかの間のことであるし」

政次が珍しく冗談を言ったので、直虎もそれに乗った。

直虎「殿、徳川からの書状にございます」

恭しく書状を渡し、政次は急いで目を通す。

政次「こちらは約束どおり、徳川が攻めてきた折に城を開け、臣従を誓えばよいということですか」
直虎「うむ。それで井伊の家はよみがえり、徳川の国衆となることになる」

慣れない言葉遣いは、すぐに元に戻っていた。

直虎「もし、そなたが主の座にとどまりたいというのならば、われはそれで構わぬと思うておる。こたびのことが終われば、今川を欺かずともようなるわけであるし。色々やってはみたが、やはり、われがこの役目に向いておるとも思えぬしな」

政次「よその商人たちに、ぜひうちの領主にと望まれる。潰れるとなれば、何一つ言わぬのに百姓たちが体を張って刃向かってくれる。盗賊たちまでが尼小僧のためならしかたがねぇと一肌脱いでくれる。そんな領主が、この日の本のほかのどこにおられますか」

「政次…」
思わぬ発言に、言葉が詰まる。

政次「私では到底さような芸当はできませぬ。殿には、降りる道などもはや許されませぬ」

直虎の瞳に嬉し涙がにじんだ。

政次「殿の番にございますよ」
直虎「なんじゃ、よう見えぬの」

政次が月明かりのさし込む場所に碁盤を動かした。

直虎「もうじき、陽の光の下で打てるようになるの」

縁側でひなたぼっこをしながら、二人で碁を打つ。庭先には虎松(寺田心)や祐椿尼(財前直見)や六左衛門(田中美央)直之(矢本悠馬)や…皆が笑顔でそこにいる。そんな光景を思い浮かべていた。


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政次は館に戻ると、直虎から聞いた話をなつ(山口紗弥加)に伝えた。

なつ「徳川が来れば、私のお役目も終わりにございますね」

なつは玄蕃(井上芳雄)が亡くなっても小野にとどまり、政次を陰ながら支え続けた。井伊と小野の橋渡し役を続けたのだ。

小野にとどまった理由がそれだけではないことは、色恋に疎い政次でもさすがに気付いていた。

政次「なつ。こたびのことが終われば、俺と一緒にならぬか」

なつは驚いて政次を見る。

政次「夫の菩提も弔わず、私の慰み者になっておると、心ない噂を立てられたこともあろう。恥ずかしい思いをさせ、いつもすまぬと思うていた…もちろん、形ばかりの夫婦ということだが、どうだ?」
なつ「事が成れば、次郎様の還俗もかなうことになりますが、よろしいのですか?」

なつが、いつしか女の顔になっていた。

なつ「ずっと、それをお望みになっておられたのでは?」
政次「うまく伝わらぬかもしれぬが…私は幼きときより、伸び伸びとふるまうおとわ様に憧れておったのだと思う」

初恋だったことを明かした。

政次「それは今も変わらぬ。殿をやっておられる殿が好きだ。身を挺してお助けしたいと思う。その気持を何かと比べることはできぬ。捨て去ることもできぬ。生涯消えることもあるまい」

直虎とは違う強さや、献身的な内助は、間違いなく政次の支えになっていた。

政次「そなたを手放したくはないのだ」

感極まったように、なつが抱きついてきた。

なつ「かようなときには、殿のことはもうなんとも思うてないと言うものですよ…」

なつの涙が、政次の肩衣を濡らした。

なつ「私がお慕い申し上げておるのは、さような義兄上様にございますゆえ…致し方ございませぬ」

政次はぎこちない手で、なつを抱き締めた。

直虎は南渓と共に、寺の井戸端で手を合わせている。
亡くなった一族と縁者たちの名を挙げた。

直虎「こたびのことがうまく運べば、ようやく今川に振り回される日々が終わります。夜明けがやってまいります。どうか、どうかご加護を…」

井伊の生ける者たちをお守りください、と一心に祈った。
 

永禄11(1568)年12月6日。武田軍1万は、駿河を目指して甲府を出立した。
武田軍は破竹の勢いで攻め進み、氏真は今川館に戻って立て直しをはかっていた。

氏真「北条の援軍はいつ来るのじゃ」
小倉「すでに小田原を出立したとのことにございますので、明日にはこちらに到着するかと」

氏真は焦っており、軍議は殺気立っていた。
庵原が、お館は城としては使えないため、賤機山城に籠もるべきだと進言すると、氏真は素直に聞き入れた。


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再出陣の支度をした氏真が本陣に戻ってくると、本陣はがらんとしていた。
そこへ、伝令が走ってきた。
「申し上げます! 朝比奈信置殿、岡部忠兵衛殿、関口氏経殿をはじめ、二十一名が逐電いたしました!」

氏真は呆然とした。
戦が始まってまもなく、有力な武将ら二十一名が武田に寝返るという前代未聞の事態に襲われた。
さらには、武田に先を読まれ、賤機山城も武田軍に占領されてしまったというのだ。

もはや氏真は、戦には不向きな今川館に籠もるしか手立てがなくなっていた。

その頃、家康は陣座峠まで軍を進めていた。
そこに井伊の目付たちが訪れていた。
仲立ちの菅沼定盈が、菅沼忠久、鈴木重時、近藤康用らを家康に紹介した。

家康「こたび、徳川に味方し、遠江の先導を務めてくださる由、まことでござるか」
一同「は!」

数正から起請文が渡された。
遠江地方の方々の地を安堵する内容が記されている。

菅沼「ここまで安堵いただけるのですか」
数正「切り取り次第ではあるが、不足はござらぬか」

花押をいれようとしたそのとき、近藤が口を挟んだ。
近藤「お待ちくだされ。井伊がどこにも入っておりませぬが」
数正「井伊はすでに徳川と結んでおるゆえ、攻め入るには及ばず、と」
近藤「小野但馬は実に狡猾な男にございます。井伊と共に徳川に寝返ったと見せかけ、その実、徳川様の首をかくつもりなのではございませぬか?」

近藤は政次を口実にしているが、井伊が切り取り次第にならぬことが不満なのだ。

数正「井伊殿みずから、その者は味方であると言うておられる」
近藤「ですから、井伊殿も但馬に味方であると騙されておるのではないかと」

家康の脳裏に母・佐名の顔が浮かんだ。
佐名を人質に差し出した小野の息子──
恨み骨髄だった瀬名の顔が浮かんだ。

家康「小野但馬とは、さように油断ならぬ男なのか」
近藤「はい。井伊の先代をはじめ、有力な者たちを次々と戦に送り込み、皆殺しにした奸臣にございます。用心の上にも用心を重ねるが肝要かと」

家康はしばし考え込んだ。

近藤「いかがでしょう。われらは井伊の目付でもございました。われらが先に参り、様子を確かめてまいろうかと存じますが」
忠次「そこでおとなしく開門すれば、無事済みましょうし」

家康は頷いた。

いよいよ徳川が井伊谷にやってくる。
直虎は、直之を龍潭寺に呼び出した。

直虎「但馬の手助けをしてほしいのじゃ」

直虎が頼むと、直之はムッとして言い返した。

直之「心得ました。混乱に乗じて、小野の首をかけばよいのですな」
直虎「之の字…」
直之「偽首を出したことで、皆は但馬を信じておりますが、それがしはまだ信じておりませぬぞ。」
直虎「…では、それでよい。ただし、但馬を見て信じることができると思えば、指図に従って…」

そこに慌ただしく南渓が入ってきた。

南渓「殿! 徳川が近付いてきたようじゃぞ」


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井伊谷城の曲輪で、政次は戦の用意をしている。
そこに徳川勢が近付いている知らせが届いた。

政次「では、その者たちを捕らえよ!」

そう言うと、井伊谷に残っていた関口の郎党たちに切っ先を向けた。

政次「これより、小野は徳川に城を開け渡す。徳川につき、その下で井伊家を再興する。そなたらの中で、共に参る者がおるならば口添えしてやろう」

郎党たちはお互いの様子をうかがっていたが、一人が「参る!」と声を上げた。
他の者たちも次々と武器を置いた。

直虎と直之は、門前で徳川一行の到着を待ち構えていた。
やがて、松明の明かりと共に、家康の旗──金扇の大馬印が見えた。
最初に見えてきた顔は、近藤たち三目付だった。

近藤「これはこれは、尼殿様。今は次郎法師様にございましたかの」
直虎「近藤、殿。そなたらも徳川についたのか」
近藤「はい。ご縁がございまして」

徳川の重臣・酒井忠次と挨拶を交わすと、忠次が言った。
忠次「お取り次ぎを願いたい」

促されて門のほうへ向かっていくと、なぜか後ろから荷車がついてくる。
直虎「あの荷は?」
近藤「兵糧を運ばせてきました。井伊の世話になっては申し訳ないと思うての」

積んである箱の隅には穴が開いている。
近藤の言っていることは本当だろうか。
今はそれを確かめる手立てはない。

忠次「徳川の使者・酒井忠次と申す! 開門せよ!」
政次「かしこまった! しばし待たれよ!」

ゆっくりと門が開いていく。それを見ている近藤の表情が、まるで舌なめずりしているかのようだ。直虎は胸騒ぎがして仕方がない。
気になって茂みを見やると、夜目にキラリと何かが光った。
あれは…!

とっさに城を見ると、すでに門は開いている。一行を迎えようと待っている政次の姿があった。
直虎「但馬! 罠じゃ! 門を閉めよ!」

叫ぶと同時に、茂みから無数の矢が放たれた。

直虎「逃げよ!」

闇を切り裂いて、矢の雨が降り注いだ。
放たれた矢は、徳川の旗下にある近藤たちの隊列にも降りかかった。

直之「かかれーっ!」
いち早く直之が茂みに向かった。

近藤の号令が辺りに響き渡ると、荷車の箱から近藤の兵たちが飛び出した。

12月13日。くしくも、信玄によって今川館が焼け落ちたのと同じ日のことだった。
 

[次回] 第33話のあらすじとネタバレ!「嫌われ政次の一生」

 
大河ドラマのノベライズ版はこちら。

 

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