おんな城主直虎 第32話のあらすじとネタバレ!「復活の火」

[2/6ページ]

家康「そう思うての、瀬名。一つ調略を試みたのじゃ」

瀬名の表情が明るくなった。

家康「井伊には小野以外に三人の目付がおってな。そのうちの一人は、野田の菅沼の親戚なのじゃ」

東三河にある野田城城主・菅沼定盈(さだみつ)は、今川義元に仕えていたが、桶狭間のあと徳川に帰属した。目付の菅沼忠久と同族にあたる。

家康「この者を通じて三人の目付に調略をしかけ、その者たちと共に井伊に攻め入り、但馬を討ち取ろうという話を持ちかけておる」
瀬名「では…」
家康「わしからの、せめてもの井伊への手向けじゃ」
瀬名「殿…」
瀬名は嬉しくて声を詰まらせた。

そこに、石川数正が声をかけてきた。井伊からの書状が届いたという。

三河守殿、戦にて慌ただしき折にご無礼ながら、なんとしてもお伝えせねばならぬことがあり筆を執りました。こたび、井伊が取り潰され、跡継ぎの首まで取られたというお話がお耳に入っておるやもしれませぬが、あれはすべて見せかけにございます。

差し出したは偽首。跡継ぎの虎松は、三河の鳳来寺にて修行に勤しんでおります。これは、私と家老・但馬守が示し合わせましたはかりごと。今川の直轄になったと見せかけ、徳川様が攻め来る折には、今川方の目付らを捕らえ、城を開ける段取りとなっております。

故にどうか、その折に井伊の名をお認めいただき、国衆の列に加えていただければと、心よりお願い申し上げる次第でございます

家康「まぁ思い切ったことをするお人じゃ。いやいや、早う会ってみたいものじゃ」

家康はすぐに返事を出すと言って、文机に向かった。
心配そうに瀬名が声をかけた。

瀬名「よろしいのでございますか? 別の調略も持ちかけてしまわれたのでは…」
家康「その者たちがこちらにつくとなれば、事情を明かせばよいだけじゃ。つかぬとなれば、敵というだけのこと。差し支えはなかろう」
瀬名「殿。それでこそ、日の本一の豆狸でございます!」

褒め言葉と受け取った家康は、笑って頷いた。

その頃、今川では軍議が開かれていた。
側近の小倉内蔵助資久が、北条は駆けつけてくれると報告した。
上杉も兵を出してくれる約束をしたと、庵原安房守忠胤が言った。
続いて、関口(矢島健一)の名が呼ばれると、何か後ろめたいことがあるかのように、跳び上がって答えた。

関口「は、はい! 井伊は準備万端!整えさせております」

氏真(尾上松也)は、関口の様子がおかしいことに気付かない。迫りくる戦の緊張で余裕がなくなっていた。

数日後、家康からの返書を預かった傑山(市原隼人)が龍潭寺に戻ってきた。

傑山「徳川様はこの話をおもしろく思われたそうで、井伊の殿に会ってみたいと仰せだったとのことです」

傑山の話に、直虎(柴咲コウ)は感激し、南渓(小林薫)も安堵している。

南渓「こたびは、まことの徳川様にお会いしたいところじゃの」
直虎「和尚様。政次と一度、会ってきていただけぬでしょうか。関口の手前、私みずから赴くわけにもまいりませぬし」

家康からの書状のことを伝える必要もあるし、このたくらみのことを、まだ一度も確かめたことがないからだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました