3月5日放送の大河ドラマ おんな城主 直虎
第9回「桶狭間に死す」の詳細なあらすじです。
ネタバレ注意!
おんな城主 直虎 第9話「桶狭間に死す」あらすじ
次郎(柴咲コウ)は龍潭寺の涸れ井戸にいた。
直盛(杉本哲太)たちの戦での活躍と無事を祈って手を合わせていた。
その直後、とんでもない知らせが井伊谷に届いた。
尾張の桶狭間で今川軍が大敗を喫した!
織田の奇襲で、義元公(春風亭昇太)も討ち死されたとのこと!
井伊谷は恐怖に包まれた。
その日のうちに、負傷した兵が次々と戻ってきた。
次郎や昊天(小松和重)、傑山(市原隼人)は、重傷を負った者の手当てに当たった。
その中には、足を負傷した奥山朝利(でんでん)の姿もあった。
直親(三浦春馬)の正室・しの(貫地谷しほり)と、政次の弟・玄蕃(井上芳雄)に嫁いだなつ(山口紗弥加)の父親だ。
朝利「かようなことになってしもうて、面目ない…」
なつ「ようお戻りくださいました。…あの、父上、玄蕃様は…」
朝利「…見事な戦いぶりじゃった」
なつは顔を覆って、肩を震わせ泣いた。
次郎は政次(高橋一生)を目で追った。
仲のいい弟をなくした兄は、宙をじっと見つめていた。
うつむいている朝利に、次郎は声をかけた。
次郎「殿はそのとき…?」
朝利は、戦場で殿のお姿を見失ってしまったのだという。
どこかに落ち延びておられれば…と皆が身を案じていた。
その日の夕方、直盛が首だけになって帰館した。
朝利の息子・孫一郎(平山祐介)がか細い声で経緯を語った。
織田の奇襲で劣勢が明らかになり、直盛や孫一郎たちはなんとか戦場から逃げ出した。
人気がない所で、直盛が孫一郎に言ったのだという。
「儂は腹を切る覚悟を決めた。儂の首を掲げ、お前は織田の兵のふりをして、戦場を抜けよ。」
敵に捕まれば、この首でも手柄にされる。どうせ死ぬなら井伊の役に立ちたい、ということだ。
誰かが、殿らしい最期で…
と言ったが、次郎の耳には届いていなかった。
井伊家の家臣のうち、15人が命を落とした。
龍潭寺では葬儀が執り行われた。
井伊家は多くの家臣を失い、体制の立て直しが急務だ。
家督は直親が継ぎ、政次を軸に立て直すと誰もが考えていた。
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評定の席で、直盛からの遺言を預かっていると孫一郎が切り出したのだ。
孫一郎「今際の際におっしゃったのは、井伊谷を中野殿に任せるとのこと」
その場にいた皆が一様に驚いた。
もちろん中野直由(筧利夫)も困惑している。
直由「それがしは何もうかがっておりませぬ」
すると、政次が落ち着いた口調で語り始めた。
政次「遠江・三河が乱れるのは明らか。唯一のご嫡流である直親様を、矢面に立たせたくなかったのではないでしょうか。
ここは、戦にお詳しい中野殿にお任せするのが最も理にかなうことかと」
直平(前田吟)や直親もこれに納得した。
井伊家の親戚衆筆頭の奥山朝利は、この事態に焦りを募らせていた。
自分に任せられなかったことに不満を抱いていたのだ。
この混乱は、政次が仕掛けた井伊家を牛耳る作戦ではないかと考えた。
すると朝利は、小野家に嫁いだなつと、玄蕃との間の息子・亥之助を呼び戻そうとした。
次郎は、夫を失った母のことが心配になり、しばらくそばについていてやろうと考えた。
しばらく井伊の居館に戻ることを決心した。
この申し出を南渓(小林薫)も快諾した。
南渓は、義元の葬儀を手伝いに駿府へ向かうところだった。
南渓「何が起こるかわからぬものじゃの。あの大今川が織田の小童に敗れるとは」
次郎が居館に戻ると、千賀(財前直見)は何通も文を書いているところだった。
桶狭間で討ち死にした家臣の妻や親に宛てた文だという。
千賀「お悔やみや礼を言うのは、私しかおらぬではないですか」
母のその抑えた口調に、悲しみが滲んでいた。
部屋に戻った次郎は、机に置かれた自分宛ての文に気が付いた。
母からの文だった。
私心はなく、井伊のためとあらば、どこまでも身を削られる覚悟のある、そういう方にございました。
井伊のために出家をし、井伊のために還俗も諦めた。そなたはお父上に似ています
出家してからの次郎のことや、直盛との思い出が延々と書かれていた。
父と母の溢れんばかりの愛情に、涙が噴き出していた。
文を読み終えると、次郎は声を押し殺して泣いた。
夏を迎えた頃、嬉しい知らせが井伊谷を駆け巡った。
しのが妊娠したというのだ。
娘の懐妊に、朝利は大いに喜んだ。
朝利「まことか!まるで殿の生まれ変わりのようではないか!」
朝利は文を書き、小野の屋敷に届けさせた。
夕方になって、政次が祝田の奥山屋敷を訪れた。
政次が現れるなり、なつと亥之助を引き取りたいと、朝利は改めて申し出た。
政次は丁寧な口調で返した。
政次「何度もお伝えしておりますが、なつ殿自身が小野にとどまりたいと申しております」
朝利「そなたが戻れと命じれば済むではないか。戻したくない理由があるのか?」
政次「亡き殿が結んでくださったご縁にてございます」
朝利「亥之助がこちらに来てしまえば、人質を取られた形になるからか?」
政次「さようなことは毛頭考えておりませんでした。裏を返せば、そちらに戻したら奥山殿は亥之助をそのようにお考えになるということにございますか?
新野様も中野様も、この大事なときに、奥山殿は己が家のことばかり考えておられると失望なされましょう」
朝利はしどろもどろになり、そういう訳ではないと否定した。
そして、なつがそこまで言うならと、引き取る話を取り下げた。
政次「お聞き入れいただき、かたじけのう存じます」
そう言うと、政次は退室した。
その瞬間、政次は背後から殺気を感じた。
よける余裕もなく、左腕から血が噴き出していた。
朝利「今が好機と思うておるのじゃろうが、そうはさせぬ!」
朝利はもう一度身構えた。
次郎は、しのの懐妊の話を龍潭寺で耳にした。
複雑な感情を押し殺し、御本尊に手を合わせた。
そのとき、ガサッと物音がした。
物音がした方向を探すと、血まみれの人影が見えた。
政次だ。
次郎「何があった!」
政次「奥山殿を…斬ってしまった…」