2月19日放送のおんな城主 直虎
第7回「検地がやってきた」の詳細なあらすじです。
ネタバレ注意!
おんな城主 直虎 第7話「検地がやってきた」あらすじ
井伊家の跡継ぎは直親(三浦春馬)に決まり、井伊家内に平穏が戻った。
そんな中、今川からある知らせが届いた。
「今川は今一度検地をやり直し、国衆たちへの賦役と軍役を見直すそうじゃ」
検地となれば、井伊谷の石高や集落の人数などを今川の役人が調べ直すことになる。
これには、川名で暮らす井伊直平(前田吟)が抵抗した。
「一歩でも川名に立ち入ろうものなら、血の雨が降ることになるからな!」
直親は川名を訪れた。
直平に導かれて山道を登っていくと、突然現れた絶景に息をのんだ。
何段にも重なる棚田には稲穂が揺れている。
そこに夕日が差し込む景色は、例えようがないほど美しい。
「ここは、もしもの時に井伊の民が逃げ込む隠し里でな。
今川に追い込まれたときも、ここに隠れて命脈を保った。
文字通りの最後の砦なのじゃ」
居館に戻った直親は、川名の隠し里を今川に隠し通すという決意を直盛(杉本哲太)に話した。
「以前、今川に差し出した絵図にも、この里のことは描いていないという話ですし、この件はそれがしにお任せいただけませんでしょうか」
帰参後の初仕事として直親に任された。
直親は手始めに龍潭寺に向かった。
次郎(柴咲コウ)の子どもの頃からの友に、今川の居館に出入りしている者がいることを思い出したのだ。
直親の思いがけない訪問に驚く次郎だったが、直親は口早に用件を伝えた。
次郎はすぐに瀬名様(菜々緒)のことだと理解した。
「検地に来る方々の名前、好み、弱み。要するにどうしたら抱き込めるかを知りたい」
やれるだけやってくれないか、
という次期当主の頼みを受けて、次郎はすぐに文を書き始めた。
直親は再び川名に戻った。
直平や家人を連れて、隠し里に通じる道が見つからないよう細工をすることにした。
この仕事を終えると、小野の屋敷を訪れた。
川名の指出*を持ってきたのだ。
田畑の広さや農作物の取れ高、集落の人数などを記した帳簿のこと。
指出を受け取った政次は、すぐに目を通した。
「隠し里の分が欠けているようですが…」
直親は、こちらにあると言って、別の冊子を出した。
「こちらは出さずにおきたい。
つまり、川名の隠し里をないことにしてしまいたいのだ」
政次が、やはりそうか…という顔になった。
直親は賭けに出た。
小野政次(高橋一生)は、井伊家では家老、今川家にとっては目付。
板挟みになっているであろう政次の心に訴えることにした。
「鶴が加担したくないと思うなら、この冊子をつけて出してくれ。
ひと肌脱いでくれるというなら、そのまま破り捨ててくれ。
俺は鶴の決めたほうに従う」
翌朝、各地の指出をまとめた政次は、提出する検地帳を持って直親のもとを訪れた。
「指出をおあらため願えますか」
川名の隠し里が書かれていないことを確認した。
「但馬守、恩に着る」
直親は深く頭を下げた。
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今川から派遣された検地奉行は、岩松(木村祐一)という男だった。
岩松は検地帳を丹念に眺め、領内の絵図を要求した。
左馬助(苅谷俊介)が、どこかお気になるのですか、と聞くと、
「短く回るには、どちらから行けばよいか確認しておるだけです」
と答えた。
直親は気がかりだった。
現地での調査は、細密で執拗なものだった。
検地帳と所領をじっくり見比べ、場合によっては持参した道具で田畑の大きさを測らせた。
夜になると、直親は豪華な膳を用意し、酒を飲ませて懐柔しようとした。
ところが、岩松は酒を断った。
翌朝になって、次郎のもとに瀬名の文が届いた。
検地奉行のことは、”三河のぼんやり”がよく知っていたはずと書かれていた。
「その三河のぼんやりが申すことには、岩松様がこよなく愛するものは数と算術、それと…」
続きを読んだ次郎は、急いで駆け出した。
川名では検地が続いていた。
直親や直平、政次も立ち会っている。
川名の里の検地がひと通り終わり、直親がホッとしてしると、岩松の目が鋭く光った。
怪しい山道に目をやり、奥へと入っていった。
「岩松殿、そちらは違いまする!」
直親が追いすがったが、岩松は止まらず山道を進んでいく。
やがて山道が開け、岩松ら一行は眼前に広がる棚田を見つめていた。
「直親殿。この棚田の里は、指出には一切ござらぬようじゃが」
岩松の部下が続けた。
「まさか我らをたばかられようとしたのではあるまいな!」
直親はとっさに声を上げた。
「この里は井伊のものではございませぬ。
ゆえに、指出には入っておらぬものと存じます」
「では、ここの里はどこのものじゃ?」
帰参したばかりでわからないと、政次を頼った。
いきなり名指しされた政次は、狼狽した顔になった。
「井伊の里ではないのであろう?指出を渡したときも、何も言うてはおらなかったが」
そう言うと、直親は政次の顔をまっすぐ見つめた。
ここで政次が隠し里の指出を見せたら、井伊家は潰れるだろう。
「……ここはかつて、南朝の皇子様が隠れてお住まいになられた里にございます」
政次が言った。
「ゆえに、かねてより井伊の中にありながら、井伊領にあらずという扱いにございます」
岩松は、それ以上追及することはなかった。
このやり取りの様子を、次郎は物陰から窺っていた。
視線を外し、次郎に気付いた直親が驚いて声を出した。
岩松が、誰なのかと尋ねると
「龍潭寺の僧にございまする」
と答えた。
次郎は近付いて語りだした。
「瀬名姫より、岩松様の奥方様の月命日だと伺って参りました。
私でよろしければ、経などあげさせていただこうかと…」
次郎は合掌し、高らかに誦経した。
「妻も喜んでおりましょう」
岩松は目を閉じ、一同は経に聞き入った。
後日、政次は直親を訪ね、隠し里の指出を渡した。
「それがしを信じているふりをされるのは、気分がよいものではありませぬ」
「井伊のためにすべてを捨てたのはおとわだ」
立ち去ろうとしていた政次の足が止まる。
「おとわのために、共にこの国を守っていこうとは思うてもらえぬか」
政次は、怒りが混じった顔をして振り向いた。
「お前のそういうところが好かぬ」
政次は本心だけを語っていた。
しばらくして、政次の弟・小野玄蕃(井上芳雄)に、直親の妻・しの(貫地谷しほり)の妹である「なつ」(山口紗弥加)が輿入れした。
小野家の親族を取り込んで和を成すという直盛の策だ。
そのころ、駿府でも縁組みの話が進んでいた。
竹千代(阿部サダヲ)から元服した元信と瀬名だ。
三河の旧領主・松平家を取り込もうという今川家の策だ。
「三河のぼんやり」こと松平元信、のちの元康。
彼がやがて井伊の命運を握ることになろうとは、誰も想像することができていなかった。