2月26日放送のおんな城主 直虎
第8回「赤ちゃんはまだか」の詳細なあらすじです。
ネタバレ注意!
おんな城主 直虎 第8話「赤ちゃんはまだか」あらすじ
永禄2(1559)年。井伊直親(三浦春馬)としの(貫地谷しほり)が夫婦となって、4年が過ぎた。
懐妊の兆しがない2人は、子宝祈願や薬草など、あらゆる手段を試してはいるが、効果は現れない。
気がかりな次郎(柴咲コウ)は、博学で名を馳せる昊天(小松和重)に聞いてみた。
「麝香(じゃこう)があります。
井伊では見たことがなく、駿府まで行かないと手に入りませぬ。
相当に値も張りますぞ」
禅僧には金銭の余裕はない。唯一の財産である鼓を抱えて、次郎は小野の屋敷を訪れた。
これまでの経緯を話すと、政次(高橋一生)は憮然とした顔で答えた。
「何ゆえ俺が鼓を売って麝香とやらを買ってこねばならぬのでしょうか」
和尚様はしばらく出掛けないというし、新野の伯父上に頼んだら父や母に伝わるだろう。
「まことに売ってしまってよいのですか?」
次郎の鼓は、直親の父・直満(宇梶剛士)が亡くなる前にわざわざ買ってくれたものだ。
第2話のあらすじとネタバレ!「崖っぷちの姫」
一瞬迷ったものの、次郎は明るく笑って答えた。
「禅僧の身でかようなものを持っておるのもおかしいのじゃ。
本来は無一物だしの!」
その薬を自分でも使ってみてはいかがかと、からかった口調で政次が言った。
「直親様のお子をはらめば、問答無用で奥方の座につけるのではないか」
寺を訪れたしのが恨みがましい目で次郎を見たことがあったのを思い出した。
「さような戯言が、しの殿にわれを睨ませるのではないか。
いい迷惑なのじゃ!」
そのころ、駿府では今川義元(春風亭昇太)は家督を嫡男の氏真(尾上松也)に譲っていた。
駿河は氏真に治めさせ、義元自身は新しい領土である三河の経営に集中していた。
もちろん、その先の尾張侵略を目論んでのことだ。
井伊家には、槍200本を納めるよう達しがあったばかりだ。
「いよいよ織田攻めかの。
また金がかかるのぅ」
ため息をつく直盛(杉本哲太)に、新野左馬助(苅谷俊介)が言った。
「今の今川と織田では虎と猫。
皆喜んで今川に加わるのではないでしょうか」
そんな2人の話に、直親は聞き入っていた。
何しろ直親にとってはこれが初陣となる。
「武勇の井伊」の一員にようやく加わることができるのだ。
そんな直親に対し、直盛が歯切れ悪い口調で言う。
「直親には留守居役をしてもらいたい」
大事な跡取りにもしものことがあっては大変だからだ。
食い下がる直親だったが、横から政次が口を挟んだ。
「跡継ぎがおらぬ状態で、戦に出すわけにはいかぬということです。
直親様にもしものことがあれば、井伊の家中はまた混乱することになりますので」
言い返せない直親は、直盛に「承知いたしました」と答えた。
後日、政次が駿府に赴き麝香を求め、次郎のもとに届けてくれた。
次郎はさっそく直親の屋敷に出向くと、しのが応対した。
「唐渡りの、子を授かりやすくなる薬でな。
試されてみてはいかがかと」
しのは次郎を睨めつけた。
「次郎様は、私が子を授からねばよいと思うてらっしゃる方ではないですか。」
そんな薬を誰が飲めるかという顔をしている。
次郎は呆れた。
子ができない薬を盛るとでも言いたいのだろうか。
2人の邪魔をしたことが一度でもあったかと問うた。
「かように授からぬのは、呪うておいでではないのか!」
次郎は思わず「恥を知れ!」と叫んでいた。
「あまりにも情けないお言葉。
そなたはそれでも直親殿の、井伊の奥方様なのか!」
その夜、直親は龍潭寺を訪れた。
「しの殿はずっとあんな様子なのか?」
「もともと涙もろくはあったが、このところ浮き沈みは激しくてな」
直親はそう言うと、ため息をついた。
「側女を持とうかと思っている」
と直親が明かした。
子を残すのは当主の役目だというわかるが、今のしのに側室が受け入れられるだろうか。
次郎はとてもそうは思えなかった。
「お家のためじゃ」
直親の態度や口ぶりに、理由はわからないが引っ掛かるものを感じた。
数日後、突然しのが姿を消した。
しのは書き置きを残していったのだという。
「次郎殿、お恨み申し上げます」
と書かれていた。
直親の側室の話が決まったからではないか、という。
次郎を恨んで死ぬつもりなのだろうか。
そのつもりなら、龍潭寺を選ぶのだろう。
すると、しのを見つけたと傑山(市原隼人)が知らせにきた。
一同が裏庭に向かうと、井戸端にしのがひざまずいている。
懐剣を首元に当てがっているではないか。
次郎はしのの手を掴み、懐剣が飛んで転がった。
「いい加減になされよ!
私はそなたにここまで恨まれるようなことは何もしておらぬ!」
「…私がおとわ様じゃったらと、誰もが思うておる。
…口には出さねど、殿もお方様も、屋敷の皆も…直親様も…」
次郎は懐剣を拾い、しのの前に放り投げた。
「そこまで言うなら、ご自害なされよ」
驚くしのに向かって、次郎は続けた。
「正室が亡くなり、誰もふさわしい者がおらぬとなれば、私の還俗も認めていただけるかもしれぬしの。
私がそなたの後釜になるゆえ、ほれ、早うお取りなされ」
怒りをたぎらせたしのが懐剣を掴んだ。
すぐに傑山が羽交い締めにした。
「決してそなたを還俗などさせませぬ!」
しのが泣きわめいたそのとき、直親が姿を見せた。
取り乱したしのの姿を見て、直親はため息をついた。
これだ!そう思った次郎は
「ため息をつくな!」
と叫んだ。
「なぜいつも、さように他人事なのじゃ。
なぜもっと、ともに悲しんでやらぬのだ。
悩んでやらぬのだ!」
次郎は麝香を取り出し、直親に渡すと
「そなたの女房なのだから、そなたがなんとかせよ!」
怒りが鎮まらない次郎はその場を去った。
とはいえ、子が授かりさえすれば、しの殿は自分を取り戻すだろう。
次郎はそんな思いを抱いていた。
永禄3(1560)年5月。
今川義元から直盛のもとに、尾張への出陣の命が下った。
直盛率いる精鋭の井伊軍団を結成し、尾張に向けて出陣した。
留守を見守るのは直親や政次、左馬助、中野直由ら。
今川軍の総勢は2万5千。織田はわずか3千。
誰もが今川の勝利を疑わなかった戦が始まろうとしていた。