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グッドワイフ9話感想|深い人間ドラマを描く脚本&役者陣の演技力に高評価

TBS日9ドラマ「グッドワイフ」

2019年1月期のTBS日9ドラマ「グッドワイフ」。

第9話(2019年3月10日放送分)を見た視聴者の感想をお届けします。

また、ネタバレを含むあらすじや、次回の見どころも紹介していきますよ。

「グッドワイフ」第9話のあらすじ

壮一郎(唐沢寿明)の一連の事件を計画した “裏切り者” の正体がついにわかった。その “裏切り者” は、壮一郎に衝撃の理由を語る。

そんな中、法律事務所では、円香(水原希子)のある秘密が波紋を呼び、円香は事務所を辞めることを決意していた。

また、杏子(常盤貴子)と朝飛(北村匠海)の本採用を懸ける争いも、ついに決着がつく。果たしてどちらが採用されるのか !?
 

一方、一連の事件が解決した壮一郎だったが、あることがきっかけで多田(小泉孝太郎)からの留守電を消したことが杏子にばれてしまう。そのことで言い合いになり、夫婦の間に亀裂が…。

さらに、壮一郎は、多田に関して何か仕掛けようと画策していた。

そんなある日、多田の想いを改めて聞いた杏子は多田と二人きりになり、急接近する…

引用:ドラマ公式サイト

 

「グッドワイフ」第9話の感想

当サイト読者の方から寄せられた、「グッドワイフ」第9話の感想をご紹介します。

上質サスペンスから深い人間ドラマへの大転換

最終回を前にしてドラマがまったく変わってしまったような、そんな印象を受けた。いい意味で、物語のテイストが変わったということだ。

蓮見壮一郎の贈収賄疑惑と大物政治家、南原の不正捜査という2点が、このドラマの核心エピソードだ。

最終章に来て、物語はここを軸にして二転三転するサスペンスを見せてきた。
 

それが視聴者をグイグイと引っ張ってきたのだが、今回それが一転した。

サスペンスが一段落すると、一気に奥深い人間ドラマに切り替わったのだ。

しかも序盤と中盤に2つ、胸に刺さるドラマを見せてくれた。
 

過ちを認め、責任を取ることの美しさ

前回の最終盤に現れた裏切り者は検事の佐々木だった。

筆者はパラリーガルのみちるではないかと推測したが、見事にドラマの巧みなミスリードに引っかかってしまったというワケだ。
 

佐々木はシリーズを通してずっと元検察上司の壮一郎を支え続けてきた。

そもそも壮一郎が拘置所に収監されていた時ですら協力を惜しまなかった。

そのため、彼が裏切り者だったという真相にはインパクトがある。
 

意外性だけではなくミステリーの適合性も持つ。

佐々木が裏切り者であれば、特捜時代に壮一郎の極秘捜査が南原にもれていた理由も、また脇坂が壮一郎に肩入れしているのに気づきながら佐々木を泳がせていた理由にも合点がゆく。
 

ドラマの序盤、壮一郎と佐々木は2人きりになって意見を戦わせる。

佐々木が壮一郎を裏切りながら南原のインサイダー疑惑をもみ消そうとしていたのは、南原が検察を強化してくれる政治家だったためだ。
 

佐々木は検察を強くして日本も強くするという大儀の元で、不正を行ったと主張。

それに対し、壮一郎は不正にまみれた手で正義を行うことは出来ないと反論。2人は真っ向対立するかに見える。

だが、ドラマはそこで深化する。佐々木はすでにそれを分かっていたのだ
 

蓮見さんならそう言うと思いましたよと前置きし、「見せてください。あなたが作る強い検察を」と言う。

そして高層階の駐車場のフェンスを越えて地上に身を投げる。

そこで、南原の不正隠しに加担するうちに、佐々木の中にも疑いが生まれていたことが分かる。

このアンビバレント*な感情こそドラマを進化させるポイントになる。
 

佐々木に扮した滝藤賢一は一連のシーンですばらしい演技を見せた。

夜、雨に打たれながら後ろ向きに地上へ落ちてゆく姿には、人間が過ちを認めて責任を取ることの美しさが凝縮されていた。

それが見事に映像に昇華されていた。

*アンビバレント

同じ物事に対して、相反する感情を同時に抱くこと。ambivalent。一人の人物について、好意と嫌悪を同時に持つ、などのような場合が該当する。

出典:weblio辞書

 

無明の苦しみに重なる杏子の号泣

胸に刺さるドラマ、もう1つは女たちの戦いだった。

検察勤務の頃、パラリーガルのみちるは、上司の壮一郎と不倫関係にあった。

中盤、それが発覚し、杏子は壮一郎との離婚を決意、交友関係にあったみちるとも距離を置く。
 

そんな中、みちるはちゃんと話し合おうと夜、弁護士事務所の屋上に杏子を呼び出す。

みちるにはDV魔だった元夫がいて、壮一郎がその別れを強くプッシュしてくれた。

そこで、みちるは一時だけ彼と恋に落ちたのだ。
 

それは共感を誘う弁明だったが、杏子は一切聞き入れなかった。

不倫という過去の過ちは変えられないとして、今後はビジネスライクにつきあうようにと言い、半ばみちるをその場から追い払ってしまう。
 

だが、このシーンもそこで一気に深化する。みちるを見送った後、杏子が泣き崩れるのだ。

屋上のコンクリートに頭をつけるくらいに号泣する。

普通に見れば、親友に裏切られたことで傷ついたのだとなる。
 

だが、杏子の泣き方には明らかに自責の念があった。

自分のやってしまったこと、みちるを冷たく突き放したことを後悔しているのだ。

ここにもまた佐々木が見せたアンビバレントな感情が見て取れる。
 

仏教の中心概念に無明むみょうの苦しみというものがある。

それは様々な解釈の出来るものだが、その一説にありもしない悪を作り上げることで、自分自身を苦しめることになるという考え方がある。

きっと杏子の中では「不倫=絶対悪」という図式があり、それによって、みちるを悪人として見るようになった。

みちるを見送った後、杏子は彼女と過ごした時間を思い出し、そして号泣する。
 

本当は、杏子は今すぐにでもみちるを追いかけて、手を握りすべてを許したかったのではないか。

だが、それを「不倫=絶対悪」という図式、みちるは悪人だという思い込みが邪魔をする。

杏子はその苦しみから泣いているのではないか。
 

それこそがまさに無明の苦しみである。

滝藤同様、杏子に扮する常盤貴子も素晴らしい演技を見せた。

常識やモラルがときに、人間をここまで苦しめるものになるのか。

常盤はその苦悩を嗚咽によって見事に体現していた。

滝藤と常盤が見せた、2つのシーンともに映画並みの感動を呼ぶものだった。
 

サスペンスよりも人間ドラマの決着に期待の最終回

ブーメラン効果というのか、続くシーンでは今度は杏子の方が、かつてのみちるのように不倫の誘惑にさらされることになる。

ずっと思いを寄せてきた多田が杏子に「君を忘れられない」と言って、キスを迫るのだ。

だが、杏子はそれを押しのけ部屋を後にする。

杏子はすでに離婚を決めており、多田の支えによって最もつらい時期を乗り越えることもできた。
 

拒絶する理由はない。

だが杏子にはやはり「不倫=絶対悪」という思いがあり、それが彼に飛び込もうとする自分を押さえ込んでいたハズである。

彼女が半ば放心状態で会社を後にするのは、その苦しみからではないか。
 

今回はシリアスな面だけでなく、ユーモアが効いている点もある。

離婚を決意した杏子を元気付けた多田が「別にあわよくばとか思ってるワケじゃないから」というシーンは笑いを誘う。

また、最終盤に、ワイドショーのコメンテーターでお馴染みの本物の弁護士ばかりが次々に出てくるシーンもオモシロい。
 

次回(最終回)の見どころ

次回はいよいよ最終回である。

今回、南原が出なかったが、彼のインサイダー疑惑の決着はきっと容易につくのではないか。
 

それよりも今回のように人間ドラマがどう決着するのかが重視されるだろう。

杏子を巡って対立する多田と壮一郎は折り合えるのか。

事務所を解雇された腹いせに多田を検察に売った朝飛は改心するのだろうか。

そして杏子は不倫という壁を越えて、みちるに、そして多田に素直にこころを開くことができるのだろうか。

ドラマは最高の形で最終回を迎える。

「グッドワイフ」これまでの読者の感想

当サイト読者の皆さんが書いてくださった視聴後の感想をお届けしています。

 

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