1月17日放送の真田丸 第2話『決断』の詳細なあらすじです。
ネタバレ注意!
あらすじ
岩櫃城を目指す真田の一行は、途中、信幸と信繁とで、どの道を進むか意見が対立した。信繁は、危険だがその日のうちに到着する十石峠を越える近道を選び、慎重な信幸は、とりや薫の足を考慮して軽井沢で一泊する道程を推した。あげく疲れた薫の不満が募り、もたもたしているうちに武装した百姓たちに取り囲まれてしまう。
信幸、信繁、三十郎らが、襲いかかる百姓から薫、とり、松を必死に守った。
「ねらいは兵糧だな」
信繁は気付いたが、百姓に与える兵糧の余裕がない。とっさに薫の反物を野原に放り投げ、百姓たちがそれに群がっている間に逃げようとした。
突然、松の険しい声がした。1人の百姓が松の手をつかんで連れ去ろうとしている。信繁は刀を抜いて駆け寄ったが、どうしても斬れない。百姓は躊躇せずに刀を振りかざした。と、次の瞬間、信幸が一刀のもとに斬り捨てていた。
「ためらうな。お前のためではない。一族のためだ」
ついぞ触れたことのない信幸の非情な行いに、信繁は真田家を背負う責任の重さを見た。
主君
このころ、昌幸のもとに、勝頼が岩殿城に向かったという信幸からの知らせが届いていた。そばに控える高梨内記も、その書状に目を通した。
「なぜ、御屋形様は、殿のことをお信じになられぬのか」
「悩まれた末のことであろう。それよりも、わしが気になるのは、小山田信茂」
昌幸は嫌な予感がした。なぜ信茂は岩殿城に勝頼を誘ったのか。まさか裏切ったのか。昌幸は佐助を呼んで、岩殿城の様子を探り、勝頼の無事を確かめるように命じた。
勝頼は甲斐・木賊山のふもとにある田野村にいて、甲府が織田勢の手に落ちたというつらい知らせを聞いた。岩櫃城へ向かっていればと跡部は歯がみしたが、あとの祭りだ。
「これも天命である」
勝頼は煩悩が消え、穏やかな表情をしていた。
徳川家康は焼け落ちた新府城に入り、側近の本多正信とともに検分した。
「わしなら、ここに残って、最後まで戦ったであろう。もしくは……」
正信が間髪入れずに「真田の岩櫃城」と応じた。
「さよう、あそこは攻めにくい城じゃ」
家康には、勝頼の行動が腑に落ちない。勝頼は決して愚鈍ではなく、むしろ武勇に秀でた武将だった。それがなぜ、最善の策を選ばなかったのか。家康は武田信玄にさんざん苦しめられた。その武田が滅びたのは一安心だが、勝頼の末路を思えば、有為転変は世の習いだとつくづく感じる。
「……正信、これからどうなる」
「信長公の力はますます強大なものになりましょう」
「……わしはどうすればよい?」
のちに乱世を治め、250年に及ぶ徳川幕府を築く家康も、今はまだ三河、遠江を領する一大名だ。生き延びられれば十分だと、正信を見て気弱な笑みを浮かべた。
扇
真田の一行は粗末な服を身につけ、顔に泥を塗るなど百姓に変装して、どうにか一夜を無事に過ごした。翌朝、先を急いでいると、どこかの武士の一軍が進んでくる。織田勢かもしれず、信繁たちは道の脇に平伏してやり過ごそうとした。
そのとき、薫の胸元から品のいい扇が落ち、指揮を執っていた武士の目を引いた。
「似合わぬ品じゃの。お主ら、まことに百姓か?」
信幸がそっと懐の短刀に手をやった。
「あれ?八左衛門!」
松が驚いた声を上げた。信茂の家臣・小山田八左衛門だ。
「あなた方をお助けに参ったのです」
とっさに八左衛門は、岩櫃まで警護するという嘘をついた。信茂の命で真田一行を捕らえに来たのだが、信繁たちはまだ信茂の裏切りを知らない。
八左衛門の先導で一行が歩きだすと、信繁はそれとなく信幸に近づき声をひそめて言った。
「気になります。今は、岩殿城の守りを固めるとき。わざわざ小山田様が、われらのために兵を割くとは思えませぬ」
最期
勝頼に最期の時が迫っていた。田野村に、織田家重臣・滝川一益の軍勢が攻め入ったのだ。勝頼に従う兵は、跡部勝資など40人ほどしかいない。勝頼はみずから刀を振るって戦った。
「もはや、これまで」
勝頼は林の中に分け入り、小さな祠の前に座した。ふと見ると、夕暮れの薄明かりに信玄の姿が幻のように浮かび、勝頼をじっと見つめている。
「……今からそちらへ参ります。四郎を、たっぷり叱ってくだされ」
勝頼は吹っ切ったように笑い、見事に自刃して果てた。武田四郎勝頼、享年37。亡夫・信玄を越えることだけを夢見て生きた人生だった。甲斐武田家は、勝頼の死をもって滅亡する。
その夜、昌幸の前に信玄の幻が現れた。信玄はじっと昌幸を見つめ、何も言わずに消えた。その直後、勝頼の様子を探っていた佐助が戻ってきた。
「……悪い知らせか」
昌幸の問いに、佐助がうなずいた。すべてを察した昌幸の目に、悔し涙が浮かんだ。
「御屋形様……わしに何を託された……」
胸騒ぎを覚えた昌幸は、翌早朝、およそ100人の兵を引き連れて岩櫃城を出た。
同じ朝、家康は陣屋にて家臣の石川数正から、勝頼の自刃と、その首が織田信忠に届けられたという報告を受けた。今回の武田攻めにおいて、大いなる功労者が穴山梅雪と言える。その梅雪が目通りを願っていると聞き、家康は顔をしかめた。
「梅雪は好かん。信玄入道の娘婿でありながら、わが身かわいさに武田家を裏切った、薄汚い男だ」
もっとも、梅雪に餌を与え、織田方に引き込んだのは家康自身だ。それだけに、徳川家中からは裏切り者を出してはならないと肝に銘じている。
「徳川家中は一心同体。心配ご無用でございます」
数正がしたり顔をした。
裏切り
信繁の危惧が現実となった。八左衛門の合図で、配下の兵たちが抜刀して真田一行を取り囲んだ。
「殺すな!生け捕るのじゃ!」
信幸、信繁、三十郎らは、薫たちを守りながら必死に戦うが、多勢に無勢で次第に追い詰められていく。万事休すかと思われたそのとき、昌幸が一隊を率いて駆けつけた。
「迎えに参ったぞ!」
真田と八左衛門の兵たちは激しい攻防を繰り広げた。その渦中、松や薫を連れ去ろうとした八左衛門の兵を、信繁はためらわずに切り捨てた。
形勢が不利になった八左衛門が配下の兵を連れて逃げていくのを、昌幸は深追いしなかった。
「わしにとって何より大事なのは、真田の一族じゃ」
幸い家族にけが人はなく、信幸と信繁は安堵の息をついた。ただ、勝頼の自害を知ると、痛ましさに胸が塞がった。
不忠者
武田家が滅び、その領国はほぼ織田の手に落ちた。織田信忠が甲斐の善光寺に入ると、小山田信茂はすぐに拝謁を求め、織田家への従属を誓った。
ところが、信忠は斬首を言い渡した。
「長年の恩を恩とも思わず、主君を裏切った逆賊。われらに、そのような不忠者は要らぬ」
木曽義昌や穴山梅雪は、織田方の調略によって寝返った。それが、最後に主君・勝頼を見捨てた信茂との決定的な違いだ。信茂が一益の家臣たちに引きずられていくのを、茂誠は茫然と見ていた。
軍議
織田勢が岩櫃城を攻めてきた際、真田は討って出るべきか、籠城して戦うべきか。昌幸は軍議を開いて重臣たちの意見を求めたが、信幸をはじめ皆黙り込んでいる。
「……さて、どうしたものか」
昌幸が思案顔をした。
信繁は次男であり、軍議の場に呼ばれることはほとんどない。刀の手入れをしながら、三十郎を相手に、信繁なりに織田の行動を予想していた。
「武田を滅ぼしたあと、織田が真っ先にやらねばならないことは何だ。甲斐を治めること。攻めてくるのは、そのあとだ」
軍議を終えた昌幸は、今、何をすべきか、1人策を練った。主君である武田家を失い、昌幸は真田家当主として人生最大の岐路に立たされている。やがてある結論を導き、信幸と信繁を居室に呼んだ。これからは、1つ打つ手を誤ると真田の滅亡につながる。心してかからなければならない。
「御屋形様はわしを見放された。このうえは、織田と戦ういわれはない」
昌幸は、2つの道があると言う。
「北の上杉景勝のもとへ身を寄せるか、はたまた、東の北条氏政のもとへ行くか」
武田と上杉は同盟を結んでいて、同義を尊ぶ家風から温かく迎えてくれるだろう。北条とは、昌幸の実弟・信尹の働きにより水面下で気脈を通じてきた。やはり、真田を受け入れてくれるはずだ。だが見方を変えれば、上杉につけば織田との戦の矢面に立つことになる。また北条はすでに織田に臣従していて、真田を信長に突き出しかねない。
信幸と信繁とでは意見がまとまらず、ついに昌幸が第3の道を決断した。
「真田は織田につくことにする!」
(続き:第3話)
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