京
まもなく景勝一行が京に入ると、三成はひと足先に大坂へ向かい、信繁は景勝とともに京に滞在することとなった。「上洛」という形式にこだわっていた三成は、景勝をすぐに大坂に下らせるわけにはいかないと考えていた。そういう癖の強い三成を、信繁は不快に思う。
そのとき、石川数正が信繁に対面を求めてきた。家康から口封じのために命を狙われていた数正は、半月前からここに匿われていたのだ。家康と秀吉の間を取り持っていた数正は、ふたりが争うと居場所をなくしていた。そんな折に数正は信繁の叔父・信尹からの誘いに乗ったのだが、家康に対して恩をあだで返したことを後悔し、真田氏への恨みを募らせた。それに対して信繁は、裏切ってしまったのだから仕方ないとして、こう諭す。
「先が読めないのは、みな同じです。だから必死に生きているんです。人を騙したり、裏切ることもあるでしょう。でも、それは善とか悪で計れるものではないと、私は思うのです」
とりあえず先へと踏みだすよう信繁に促された数正は、その後、秀吉の下で信濃松本十万石の大名となった。
やがて景勝たちは大坂城へ赴いた。ところが秀吉への謁見は、当人が多忙のため翌日に日延べされる。景勝と兼続は大坂城内に、信繁は城下の三成邸に滞在することとなり、きりは三成邸の納戸をあてがわれた。
その晩、三成は酔った加藤清正から、関白となった秀吉への愚痴を聞かされていた。信繁はそのようすを、じっとうかがうのだった。
翌日、景勝たちと信繁は大坂城で別々に待たされていた。すると、信繁の前に天真爛漫な娘が現れる。茶々である。彼女は、信繁に矢継ぎ早に話しかけると、秀吉が信繁に会いたがっていたと言い残して去っていく。
この娘は、やがて豊臣秀頼の生母・淀の方となり、信繁の人生に大きく関わってくるのだが、それはまだ先の話である。
その直後、片桐且元によって、信繁は別の部屋へと案内される。片桐によれば信繁が秀吉に謁見できるというのだ。わけがわからず混乱する信繁の前に、ついに秀吉が姿を現した。ところが秀吉は、屏風の裏側に隠れるという怪しい行動に出るのだった。
(続き:第15話)
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