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真田丸 「お潰しになったらいかがですか」斉藤由貴が語る阿茶局の役作り

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“だだっ子”のような家康を、全面的に支えていく

家康お気に入りの側室である阿茶局。
『真田丸』でも家康を叱ったり、地震から守ったり、真田潰しを進言したり。
家康をコントロールする舵取り役をこなすという独自の存在感で、家康を支える重要な役割を演じています。

阿茶局を演じる斉藤由貴さんが語ったインタビューから、役作りのポイントを紐解いてみたいと思います。

阿茶局とは?

武田信玄の家臣・飯田直政の娘。今川家の家臣・神尾忠重に嫁いで1男をもうけたが、夫と死別。その後、家康の側室となる。家康とは子に恵まれなかったものの、側室の中でもとりわけ寵愛を受けており、家康にもものおじせずに進言する。家康が最も信頼した側室。

才知に長け、馬術や武芸にも秀でていたため、徳川氏の重臣たちからも一目置かれるようになり、家康の陣中にしばしば伴われるなど、家康から多大な信頼を寄せられ、次第に側近的な役割を果すようになる。大奥の統制、家康の息子・秀忠の養育にも尽力する。

大坂冬の陣では徳川家を代表して和睦の使者となり、大坂城に赴いて豊臣家と交渉にあたった。

斉藤由貴が語る役作りの秘密

実在の阿茶局は、家康から全幅の信頼を得ていた女性で、『大坂冬の陣』で和睦の使者として活躍したそうです。きっと頭がよく、強い女性だったのでしょう。

出演を依頼されたときは、家康の側室ということでプレッシャーがありました。台本を頂く前、三谷さんからは、「今回の大河では、登場人物の人間らしいところを描いていきます」とうかがっていたんです。送られてきた台本を見たら、本当にそうなっていました。中でも家康はけっこう情けないところがあって(笑)、今までのイメージとは全然違うんですよ。

出典:www.toho-ent.co.jp

今作の家康は、情けなくて、弱くて、二枚舌の部分もあって、どこかこずるい感じなんですよね。阿茶局からすると、「大した男だ」という気持ちと同じ分量で、「困った坊やね」と思っているような気がします。なにしろ、家康は敵に攻め込まれるとオロオロして、阿茶局にしがみついて「怖かった~」って泣きべそをかいたりもするんです(笑)。でも、母性の強い阿茶局だからこそ、家康は弱みを見せるのかもしれません。

阿茶局は、内野聖陽さん演じる”だだっ子”のような家康を、健康とメンタルの両面から全面的に支えていきます。きっと彼女は、家康に夢を託して生きているのでしょう。夢といっても「天下を取る」といったはっきりしたものではなく、ただ、自分の愛する夫に突き進んでほしい、輝いてほしい、そんな思いだった気がします。

家康のそばにいるうちに、重圧の大きい公人であればあるほど、表と裏のギャップが激しいのかもしれないと感じるようになりました。たとえば現代の社長さんも、いつもネクタイを締めているわけではなくて、家に帰ったら気が抜けてまるで別人になるという方も少なくないと思います。内野さんが演じる家康も、家臣の前ではそれなりにふるまいますが、阿茶局とふたりっきりになると子どものようになってしまうんですよね。でも、私たちの先入観としてある泰然自若とした家康になるまでの過程に、きっと葛藤や逡巡はあったと思うんです。そこを内野さんが説得力を持って見事に表現されているような気がします。

現代は、男性がなかなか夢を持ちづらい時代ですし、阿茶局のような生き方をしている女性は少ないかもしれませんね。でも私は、彼女の生き方を見ていて、懸命に生きているパートナーを全力で支えるというのは、とても素敵なことだと改めて感じました。

三谷作品と言えばコメディータッチな味わいで知られていますが、演じる側としては、コメディーを意識する必要はないと思っています。人物の感情を一つ一つ追っていくと、結果的に自然とおもしろくなるように台本が書かれているからです。そうやって人間の感情に丁寧に向き合ってみると、おかしみっていろんなところに転がっているのだと、気付かされます。

今回の大河でも、三谷さんは、そんなふうに登場人物たちの心を描き出しながら、おもしろく、分かりやすく、ドラマを書かれるのでしょう。とても楽しみです。

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