最終回が近づいている月9ドラマ「民衆の敵 ~世の中おかしくないですか!?~」。
ドラマ「民衆の敵」の脚本家・黒沢久子さんが書いている脚本が、イプセンの戯曲「民衆の敵」を彷彿とさせる展開になってきたと話題になっています。
ネットでも「民衆の敵をリスペクトしている」「もう一捻りあるかも?」という意見があります。
果たして、ドラマ版「民衆の敵」に裏テーマはあったのでしょうか。そして、原作はイプセンの戯曲なの?
そんな仮説を考察してみました。
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ドラマ「民衆の敵」には裏テーマがあった!
ドラマでは、終盤になって一気に核心の問題「ニューポート計画」がクローズアップされてきました。
反対派市民を強制排除させて佐藤智子市長(篠原涼子)にその責任を背負わせる犬崎(古田新太)に対し、智子はクーデターを起こします。
しかし、智子は市民を味方につけたかに思えたすぐ後に、市民から非難と中傷を受けて家族もろとも危機を迎えてしまうのです。
この話の流れ、ちょっとイプセンの戯曲「民衆の敵」と似ていると思いませんか?
今さらですが、ドラマ「民衆の敵」の脚本には、戯曲「民衆の敵」を彷彿とさせる裏テーマがあったと感じるのです。
イプセンの戯曲「民衆の敵」とは?
「民衆の敵」は、ノルウェイの劇作家ヘンリック・イプセンが1882年に書いた戯曲。
1978年にはスティーブ・マックイーンが主演したアメリカ映画に、2005年にはノルウェーでも「人民の敵」というタイトルで映画が作られています。
戯曲・民衆の敵のあらすじ
ドラマと比べるために、イプセンの戯曲のあらすじをご紹介しておきます。
この話は温泉が湧き出たノルウェイの片田舎の小さな町が舞台です。
温泉の発見者でもある医師のトマス・ストックマンは、町にある製革工場からの廃液が流れ出て温泉を汚染していることを突き止めます。
医者であるストックマンは、汚染された温泉に観光客が浸かれば、身体に害があると兄の町長に事実を公表して温泉を閉鎖するように訴えます。
始めは町の住民も地元新聞の記者もストックマンの味方になりますが、温泉の閉鎖によって町の財政が揺るぎかねないと分かると、皆、ストックマンから離れてゆき、彼の訴えに反対し始めます。
この民衆の態度に怒りを感じたストックマンは集会を開いて「民衆の愚鈍こそが世の中を堕落させる」と演説します。
ところが、そのストックマンの言葉に強い反感をもった民衆はその場にいた全員が彼を「民衆の敵」だと叫ぶのでした。
その後、市民から敵視されたストックマンは、汚染された温泉によって観光者がもたらす富で栄える町の片隅で身を潜めて暮らすことになります。
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ドラマ版の類似ポイント
ドラマの「民衆の敵」とイプセンの戯曲とでは、設定も背景も全く違うことは明らかですが、その上でも、両者の類似するポイントがあるのです。
すなわち、主人公が民衆に訴えかけようとしていた「利害を超えてでも守るべきことはある」という点が同じだったのです。
温泉を止めてでも守るべき観光客の健康
ドラマ「民衆の敵」
港の建設に反対する市民が自分の意見を訴える権利
これらは利害を超えてでも守るべきことでした。
これこそがドラマ「民衆の敵」の裏テーマでもあったのです。
時代や地域は異なっても、人は利害によって行動をするものです。
しかし、人が集まり多くの人が関わると利害だけで行動をすると権利を奪われる人も同時に出てしまうのです。
それを調整するのがリーダーや政治家の役割だと「裏テーマ」は言っているのです。
ネットの反応は?
ドラマ「民衆の敵」とイプセンの戯曲についてツイッターの反応を抽出してみました。
https://t.co/yYjJgEQFsA 今さら見ている秋ドラマ 「民衆の敵」フジテレビ月9 金無し中卒の主婦が市議会議員になり、庶民目線で姿勢を切る。……でもタイトルからイプセンの戯曲を「民衆の敵」をリスペクトして、もう一捻りあるかも?
— すずきmatt (@silvax222) 2017年11月19日
結末にもうひと捻りがあるとドラマも名作の1つになるかも知れませんね。
「民衆の敵」といえば近頃では原発事故に擬えての上演もされるイプセンの傑作戯曲。だからタイトルで既にヲイヲイ感はあったのだが、安く消費されてる感じがよろしくないなー。脚本はオリジナル。#民衆の敵 #月9 #イプセン
— takeshi (@takecrow) 2017年11月9日
きっとイプセンの戯曲をドラマのモチーフに使ったという感じじゃないでしょうか?
あぁ、民衆の敵なぁ。
イプセンのアレを元に起こすなら、ワクチンとか原発なんかやると良いかなぁ。とね、テレビのアレは名前負けしちょる。どうにもね— けるかりあ (@kerukaria) 2017年12月1日
確かにちょっと、テレビの「民衆の敵」の最大のテーマが「ニューポート計画」では、ちょっとスケールが小さいかも知れませんね。
篠原涼子の「民衆の敵」、イプセンともあまり関係がなさそうだ…。
— パウル (@paul1895h) 2017年11月27日
確かに、物語の設定や主人公の置かれている立場など違いますね。
私にとって「民衆の敵」(「人民の敵」とも)と云えばイプセンの戯曲。ドラマはドラマとして視るけど @minshuuno_teki pic.twitter.com/tJJwMlidC7
— かんかん@環境部 (@newskankyobu) 2017年10月14日
確かに、全くの別物と見れば軽~く楽しめるパロディ番組ですね。
話の主題や展開が似ていると評する人もいれば、全く違うという人もいて、意見が分かれているようですね。
でも、皆さんタイトルが同じだからですかね、一度は似ているのかな?と関心を寄せてみたようです。
まとめ
ドラマ「民衆の敵」がイプセンの戯曲と共通する裏テーマは「利害を超えてでも守るべきことはある」でした。
但し、違う点は、主人公の民衆への訴え方です。
ストックマンは自分たちの利害を優先して観光客の健康被害を無視しようとした民衆に対し蔑(さげす)む発言をしました。
それに対し、佐藤智子市長はニューポート計画の反対者を排除した強引なやり方を市民から非難されて、幼稚園で開いた記者会見で非難する側の立場にも配慮した上で、愚かな自分を操り人形から脱却させることを宣言し市民の指示を得たのです。
今後、どんな展開が待っているのか?
結局、智子にもストックマンと同じような運命が待っているのか?注目してドラマの最終回まで観ていきたいと思います。
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