大河ドラマ 真田丸 第9話『駆引』あらすじとネタバレ

饅頭

信繁が居室で物思いにふけっていると、きりが饅頭を持って入ってきた。落ち込んでいる信繁を慰めたいのだが、押しつけがましいのが難点で、かえって信繁には煩わしい。

信繁は一人になりたくて屋敷を出た。池のほとりに行くと、返り血を浴びた作兵衛が来た。隣村の者が畑の作物を盗むもめ事が頻発し、この日も村の若衆総出で追い払った帰りだと言う。

作兵衛の家に行くと、梅が棍棒を持って飛び出してきた。怪しい者ならたたき出す迫力だ。
「案ずるな、けがはしておらん。源次郎様も一緒だ」
作兵衛が安心させると、梅は慌てて棍棒を捨てて「お帰りなさいませ」と頭を下げた。

梅の芯の強さと優しさに癒され、信繁は問わず語りに信達調略の顛末を語っていた。
「春日様には申し訳ないことですが、私は、ホッとしています。だって、戦をしなくて済んだから」
梅が偽らざる胸の内を吐露した。戦が続くと、畑が荒れ、食べ物の奪い合いとなり、農民も武器を手にしなくてはならない。
「……それに、源次郎様には死んでほしくないのです。大事なのは、人の命をできるかぎり損なわないこと。そんな気がします。源次郎様のお父上は、きっとそれを分かっていらっしゃるのではないですか」
たとえ勝ち戦でも人の死はつらいと、梅はひたむきに思いを伝えようとしている。
信繁は胸のつかえがおり、昌幸が今回の策を講じたことを受け入れられるようになってくる。
「……お前の命を守るためなら、私も知恵を絞れる。そういう侍になればよいのだな」
信繁にとって、梅はかけがえのない女性となっていた。

翌日、昌幸、信幸、昌相、正武は真田屋敷の広間に小県の国衆たちを集めると、上杉や北条に頼らない独自の国作りを持ちかけた。だが、積極的に取り組もうという国衆はいない。

信繁は寄り合いに呼ばれず、庭で刀の素振りをしていた。すると、正武が通りかかり声をかけた。
「お主の父親、なかなかの男よ」
正武が去っていくのを見送りながら、信繁は少し前に、信幸が昌幸のことを「俺たちが考えていたよりも、はるかにすごい人かもしれない」と評していたのを思い返していた。

駆け引き

昌相は、最後まで広間に残っている。
「真田昌幸、腹をくくれ。お主が大名となれば、わしは身命を賭して、もり立てていくつもりだ」
「少し、考えさせてくれ」
昌幸の気持ちが揺らいだとき、家康から手を結びたいという書状が届いた。徳川は窮地に立っている。真田が手を貸し、恩を売るのも一興だ。
「従うのではない。利用するのだ。信濃・上野をこの真田が治める日まで」
昌幸は即座に考えを切り替え、寄り合いの計画を棚上げにした。

すぐに信尹が呼ばれ、昌幸の指令を受けて新府城に赴いた。真田が味方になる旨を伝えると、家康は大いに喜び、それなりの見返りを申し出た。
「北条が引いた暁には、信濃の一郡を進呈いたそう」
「それだけでございますか。足りませぬ」
こうした駆け引きは信尹の真骨頂で、真のねらいは沼田領だ。沼田城は一時、織田方の預りとなったが、もともとは真田が実力で勝ち取った城だ。
「上野の沼田領を真田のものとはっきりお認めいただきたい」
「よし、話は決まった」
家康は沼田領安堵を保証した。このときの約束が、いずれ昌幸と家康の間に亀裂を生むことになる。

真田と徳川が手を結んだことを、正武は、いずれ信濃を小県の国衆の手に取り戻し、寄り合いで信濃を治めるための布石だと信じ、みずから音頭取りになって国衆たちを次々と徳川になびかせた。まさか昌幸が信濃・上野の大名の座に食指を動かしているなど、みじんも疑っていない。

生真面目な信幸は、黙っているのが心苦しい。

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